伊藤隆『明日への選択』インタビュー―歴史、侵略、中国、北岡伸一 |
伊藤隆東大名誉教授が、月刊『明日への選択』(日本政策研究センター)の最新2015年7月号に、「イデオロギーの歴史を越えて」と題してインタビューに応じている。
例えば次の指摘など重要だ。
《中国人にとって歴史とはどう言えば自分たちの利益になるかという道具。中国人にとって歴史は政治なのです。だから、日本が侵略したと彼らは声高に言うけれども、アヘン戦争でイギリスにこっぴどくやられたことについてはあまり言わない》
例えば、中国共産党が主導する国際投資機関AIIBにイギリスは参加した。中共としては、リスク分散のため(損を押しつけるため)日本の参加も欲しい。従ってこのところ、安倍政権に歴史カードを振りかざすことを若干抑えているわけだろう。
伊藤氏は、著名な外務省の御用学者、北岡伸一氏の師匠筋に当たる。このインタビューでも、北岡氏の対中迎合に苦言を呈している。
《戦争とは、国家観で利害対立があり、決着がつかない場合に行うものです。……だから以前から、「日本はなぜ戦争をしたか」ではなく、「これらの国はなぜ戦争したか」を問うべきだと言ってきたんですね。……(だから)北岡伸一君が「安倍さんには『日本は侵略した』といって欲しい」と言ったことは、僕はけしからんと思っているのです》
北岡氏が「侵略」を安倍談話に入れようと躍起になる理由について伊藤氏は、《北岡君は以前、「日中歴史共同研究」の座長を務め、報告書に日本は侵略したということを書いたことがある。秀才ですからね、一貫性を求めたのではないでしょうか》と述べている。
中国共産党への迎合における一貫性という意味だろう。ちなみに北岡氏が主導した日中共同研究日本側報告書のタイトルは「日本軍の侵略と中国の抗戦」と中国側のそれと変わらないものとなっている。
外務省のチャイナ・スクール(媚中派)には学会支部があり、その筆頭ブローカー(になりたい筆頭)が北岡氏と言えよう。いかにも年季のいったブローカーらしく、いくら叩かれ、侮蔑されても、その表情に羞恥の念が浮かぶことはない。