集団的自衛権「行使できない」こそが条約違反の誤った解釈改憲 |
河野洋平が、集団的自衛権に関する安倍首相の「解釈改憲」姿勢を批判したという。
事実に反した自虐的な歴史解釈で国を壊してきた、いわば「解釈壊国」してきた河野が何を言うのか。
そもそも集団的自衛権に関する現行の政府解釈(保有はするが行使できない)自体が、河野の言葉を借りれば「閣議決定するからいいというのも、相当違う。閣僚も首相が選んでいるからだ」という手法で決められたものだ。
日本国憲法には、集団的自衛権を行使できないなどという一文は何処にもない。
それゆえ、憲法の「日本国が締結した条約および確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」(第98条)という規定に鑑みれば、この問題で最も規範力を有する文書は、サンフランシスコ平和条約、旧日米安保条約および国連憲章である。いずれももちろん、国会の承認を経ている。
旧安保条約(1952年4月28日公布)前文から引いておこう。
平和条約は、日本国が主権国として集団安全保障取り決めを締結する権利を有することを承認し、さらに、国際連合憲章は、すべての国が個別的及び集団的自衛の固有の権利を有することを承認している。
これらの権利の行使として、日本国は、その防衛のための暫定措置として、日本国に対する武力攻撃を阻止するため日本国内及びその附近にアメリカ合衆国がその軍隊を維持することを希望する。
日本が集団的自衛権を「有する」のみならず「行使」する(すでにした)ことも認めているのである。
その後1956年、鳩山一郎内閣が、ある社会党議員の質問主意書に対する答弁書(閣議決定)の形で、集団的自衛権に関する現行の解釈を打ち出すに至った。苦し紛れの国会対応により、大きな禍根を残したと言わざるを得ない。
安倍首相の方針は、以上の経緯に鑑みる時、きわめて正常なやり方で過去の誤りを正そうとするものと言える。下記エントリ参照。
■旧安保で認められていた「集団的自衛権」行使—撃論ムック『アメリカとは何か』
http://island3.exblog.jp/22027726/
中日新聞 2014年2月23日
解釈改憲に強い懸念 河野洋平氏、首相の手法非難
河野洋平元衆院議長(77)が本紙の単独インタビューに応じ、安倍晋三首相が集団的自衛権の行使を容認するための解釈改憲について、国会での議論を経ずに閣議決定する方針を示したことに関し「相当不安を感じている」と強い懸念を示した。
首相は、自らが設置した有識者懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が報告書をまとめた後に政府与党内で協議した上、憲法解釈の変更を閣議決定する手順を国会で説明している。
これについて河野氏は「安保法制懇は私的諮問機関だ。メンバーは首相が選んでおり、だれの(第三者の)同意も必要としていない。閣議決定するからいいというのも、相当違う。閣僚も首相が選んでいるからだ」と批判した。
さらに河野氏は「首相は『最高の責任者は私だ』と内閣法制局長官を抑えようとしている。これまで積み重ねてきた議論を、私的諮問機関の結論で簡単に乗り越えるのはいかがなものか」と、法的根拠のない機関が事実上、政策決定を担う手法を非難した。
首相は今国会で「政府として検討を進め、与党でも調整し、最終的なものを閣議決定していく方向になる」(20日)「改憲でなくても解釈変更で可能だ」(5日)などと、再三にわたり解釈改憲への意欲を示している。こうした首相の発言は、「集団的自衛権は国際法上保有しているが、憲法上行使は許されない」と解釈してきた歴代政権と、この解釈を担ってきた内閣法制局長官の答弁と矛盾する。
産経 2014.2.20
集団的自衛権、首相「閣議決定し、国会で議論してもらいたい」
安倍晋三首相は20日の衆院予算委員会で、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈見直しに関し「与党とも協議しながら、最終的には閣議決定していく方向になる」と述べた。閣議決定後に自衛隊法改正案など関連法案を国会に提出する方針も明らかにした。
首相は、憲法解釈見直しの手続きについて、有識者懇談会の報告が出た後に内閣法制局を中心に政府内で議論し、与党とも協議をしながら政府案を決定すると説明。さらに「今の段階で案を示すことはできない。政府が与党と責任を負って閣議決定した上で、国会で議論してもらいたい」と述べ、閣議決定後に国会に内容を示す考えを示した。
憲法解釈見直しにからみ、首相は12日の衆院予算委で「最高責任者は私だ」と述べたが、「行政府の憲法解釈は内閣法制局長官が決めることではない。私が首相として、内閣を代表して責任を持って答弁しているという当然のことを述べただけだ」と強調。その上で「集団的自衛権について私が1人で決めていいと言ったことはない。今までの積み上げもあり、国民の理解も大切だ」と語った。
衛藤晟一首相補佐官が首相の靖国神社参拝をめぐり米政府を批判したことについては「参院議員、衛藤晟一が個人として発言したことだ。衛藤氏は誤解を与える可能性があるので撤回した」と指摘。「(事前に)承知しておらず、報道で知った」とも述べた。
一方、首相は、カリフォルニア州グレンデール市の「慰安婦」像に焼香したエド・ロイス米下院外交委員長(共和党)ら超党派議員団と17日に官邸で会談した際、慰安婦問題に言及しなかったことについて「さまざまな議員がいたので、こちら側からあえて話をしなかった」と説明した。