誤った「立場」での慰安婦海外広報「強化」をやめよ |
韓国の国会議員らが最近、慰安婦問題に関して歪曲した日本非難の情報をさらにアメリカで広めるよう外交官に求めたとする本日付の産経記事(中村将記者)に、「日本の外務省も在外公館に日本の立場を伝える取り組みを強化するよう指示しており」との一節がある。
問題は、この「日本の立場」なるものが、日本は慰安婦強制連行などしていないと正面から反論する内容か、それとも従来通り、「何度も謝罪しています。アジア女性基金でお金も提示しました」という逃げの反論を繰り返したに過ぎない内容かである。
11月5日付の産経記事にも次の記述があった。
日本外務省は4日までに「最近の韓国による情報発信」と題した文書をまとめ、慰安婦問題について「(昭和40年の)日韓請求権・経済協力協定に基づき『完全かつ最終的に解決済み』であるにもかかわらず、韓国側は請求権協定の対象外としている」と、韓国政府を批判した。……
韓国側の動きに対し、日本政府は削減傾向が続いた海外広報予算を増やし、対外発信に努めている。慰安婦問題では、米国の地方自治体を中心に記念碑設置の動きが続いているため、外務省幹部は「在外公館に対して日本の立場を各自治体や有識者、主要メディアに伝える取り組みを強化するよう指示した」と語る。
当該の外務省文書(説明資料、下に写真)を入手したのでチェックしてみると、案の定、朝鮮人慰安婦の強制連行という韓国側の最大の嘘については何の批判的言及もない。
「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」とする2007年の第一次安倍内閣答弁書にも触れていない。
強制連行や性奴隷云々は認めたかのような、こうした逃げ腰の「立場」で対外広報を「強化」するなら逆に誤解を振りまくだけである。
まずなすべきは、逃げない、しっかりした立場を打ち立てることだ。下記エントリ参照。
■現状での慰安婦「海外広報強化」は益々国益を損なう―まず河野談話を改めよ
http://island.iza.ne.jp/blog/entry/3215947/
産経 2013.11.10
韓国、慰安婦問題の拡大指示 米西海岸で戦略的展開
【ロサンゼルス=中村将】米カリフォルニア州グレンデール市に今年7月、韓国以外で初めて「慰安婦」像が設置された問題に関連して、韓国側が10月下旬、米西海岸の主要都市の総領事らに、今後も積極的に慰安婦問題を米国社会でアピールしていくよう求めたことが9日、分かった。
関係者や韓国メディア「コリア・タイムズ」によると、韓国国会外交統一委員会に所属する国会議員らが、米国西部を対象に国政監査を行うため10月27日、在ロサンゼルス韓国総領事館に、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトルの総領事を集め、慰安婦問題を国際人権問題として扱うよう指示した。
議員らは「日本は慰安婦の歴史を歪曲し、慰安婦を韓日間の問題で収めようとしている」「この問題は人権と人類に反する国際問題だ」と主張。問題を拡大させていくため戦略的に対処していくよう指示した。
議員らはさらに、グレンデール市のウィーバー市長が日本のインターネットテレビに、「像設置は間違っていた」と語ったことを批判した。市長は産経新聞の取材にも「日韓の問題になぜグレンデールが首を突っ込まなくてはいけないのか」と答えているが、議員らは「領事館の立場を同胞(在米韓国人)社会にしっかり説明し、理解を求めなければならない」と強調した。
総領事の一人は「慰安婦問題は国際社会が憂慮する人権問題であるにもかかわらず、日本は否定し続けている。被害国としてわが国(韓国)の立場を説明していく」と語ったという。
カリフォルニア州では、ブエナパーク市やアーバイン市でも慰安婦像設置の可能性が指摘されている。
監査した議員らは、現地の在米韓国人や韓国系米国人のコミュニティーと連携しながら、「米国市民レベルでの草の根運動」を促すとともに、親韓派の養成も求めている。日本の外務省も在外公館に日本の立場を伝える取り組みを強化するよう指示しており、「情報発信力」が、さらなる慰安婦像設置を阻止するかぎを握っているといえそうだ。
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グレンデール市の慰安婦像 7月30日、米西部グレンデール市の図書館脇に設置された慰安婦を象徴するという少女の像。ソウルの日本大使館前にある慰安婦像と同じデザイン。市議会ではウィーバー市長は反対票を投じたが、賛成多数で設置が決まった。
米西部グレンデール市内に設置された慰安婦を象徴する像と記念撮影をする韓国人ら=7月30日、米カリフォルニア州(黒沢潤撮影)