「後の世代」鳩山由紀夫に委ねた誤った「知恵」―現世代の責任で改革加速を |
鳩山由紀夫氏が、その主唱する「東アジア共同体」のモデルとして描くのは、ワルシャワ条約機構である。
建前は、ソ連と東欧諸国の自主的協力体でありながら、実態は、モスクワを帝都とした、さらに限定すれば、クレムリンを司令部とした帝国体制であったワルシャワ条約機構と同様に、北京の共産党本部を中心とした拡大版・中華人民共和国の保護のもとに、事実上の一自治区として組み込まれるのが、かつて日本の一方的な侵略で性奴隷とされたアジアの人々にとっても、日本人にとっても、争いを生まない幸福なあり方と考えるのが、鳩山流の友愛思想である。
鳩山氏は、「周恩来首相と田中角栄首相が(72年に)暗黙の合意をした」尖閣諸島領有権の「棚上げ」合意を称揚し、「後の世代に委ねようじゃないかという41年前の知恵だと思う」と述べている。
「後の世代」が鳩山のような首相を生み出すと予想できたなら、当時の日本の政治家も対応を再考し、尖閣の実効支配強化のための措置を取ったかも知れない。
われわれはこの誤った「知恵」から学ぶべきだろう。
尖閣問題、慰安婦問題、靖国問題、村山談話の修正など、いずれも「後の世代」に先送りせず、すなわち現世代の責任を回避せず、できるかぎりの措置を講じねばならない。
昨年秋の自民党総裁選で、国会議員票(1回目)で1位だったのは石原伸晃氏、地方党員票で1位は石破茂氏だった。安倍晋三氏はいずれも2位、最終的に勝ったものの、かなりの程度、薄氷の勝利だった。
安倍氏が、4,5年首相を続けられたとしても、次は石原、石破あたり、あるいは何らかの逆流の結果、細野迎豪志、前原清美、失礼、前原誠司、枝野幸男あたりが官邸の主と成る事態も起こりうる。
その意味で時間は限られている。参院選後(本来、それまで待つべきでもないが)、安倍政権は、日本再生のための大きな改革を一気に進めてもらいたい。
産経
鳩山氏「言ってない」けど行間から… 古巣も辟易した尖閣発言要旨
2013/06/29
鳩山由紀夫元首相は、香港・フェニックステレビの取材で尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領有権を主張する中国に理解を示す発言をしたことに対し、記者団に「言っていない」と反論した。しかし、「日本固有の領土」について「ポツダム宣言に書いてある」とも発言していた。政府はもとより、かつて首相に担ぎ上げた民主党内からも批判が噴出した同氏の発言。その行間からは何が見えてくるのか。
■鳩山氏の発言要旨は以下の通り
(日本が尖閣を盗んだと思われても仕方がないとの発言は)していない。中国側がそういう判断をする可能性はあると申し上げた。
日本は(1945年に)ポツダム宣言を受諾してカイロ宣言を守ることになった。カイロ宣言には台湾、澎湖島など清国からスチールした(盗んだ)ものは返しなさいと書いてある。「はい、わかりました」ということで日本はのんだ。
中国側からすれば「台湾、澎湖島など」というのがあるから、「など」の中に何が入っているのかと考える可能性はある。日本は必ずしもそうは思っていない。ならば、まさにこれは係争の土地ではないかという議論は当然成り立つ。
当時の周恩来首相と田中角栄首相が(72年に)暗黙の合意をした「棚上げ」というところに一回戻す。領土問題は存在する。係争地だから。今そんなことをやっているよりももっと大事なことがあるから、そのことを先にやろうと。後の世代に委ねようじゃないかという41年前の知恵だと思う。こういう知恵をもう一度学んだ方がいいのではないかということを申し上げた。
日本の固有の領土というのは、ポツダム宣言に書いてある。固有の領土は北海道、本州、四国、九州。日本は戦争に負けて、それが固有の領土になった。その後は連合国軍が決める島だ、残念ながら。他の島を日本のものにしてもらえるかどうかは連合国軍が判断するということになってしまった。したがって固有の領土という話じゃない。
その後、交渉次第で戻ってきたものもある。しかし、最初から固有の領土ということではなく、それぞれの国との間できちんと議論して、われわれの主張を貫くように努力をするべきだ。これが外交ではないか。(批判する菅義偉官房長官らは)もっと勉強していただきたい。
「霞ヶ関のトップフロア」霞山会館の窓から見た風景。2007年に開業したコモンゲート西館の最上37階にある。正面が皇居。
左に国会議事堂。時刻は夕方。
議事堂の左に3棟並んだビルが、最近改築なった衆参の議員会館。