大戦(おおいくさ)と中戦にはいまだ腰の定まらぬ橋下徹氏 |
下記ニュースについて
原発反対派に橋下氏「勝手な国民増えた」
2012/11/19
日本維新の会代表代行の橋下徹大阪市長が、大阪で街頭演説を行った。原発再稼働に反対するグループが抗議の声を上げたのに対して、橋下氏が「いつからこんな勝手な国民が増えたのか」と挑発。橋下氏に賛同する歓声、反対する怒声が飛び交い、騒然となった。
演説の間、少なくとも10人は超える反対派が「原発いらない」などと叫び声を上げ続けた。
橋下氏は演説の終盤、反対派が占める沿道の一角に体を向け、「原子力発電は大変申し訳ないが受け入れる。これはやる」と言及。反対派が抗議の声を強めたが、橋下氏は言葉を続けた。
「電力不安に苦しむ企業や産業空洞化で職を失う人々を見捨てることはできない。いつからこんな勝手な国民が増えたのか。専門家の意見をきいて、(原発の)安全はしっかりチェックする」
沿道では「いいぞ」「その通りや」などの歓声と拍手が広がり、橋下氏は「反対を叫ばれている皆さん。大変申し訳ないが、これが善良なる大阪市民の声だ」とたたみかけた。
反対派の女性は「なんでみんな拍手するの」と悔しそうに話していた。(記事の引用終わり)
すなわち、「原発」ではなく「震災がれき」受け入れをめぐる応酬に過ぎない。
橋下氏に野次を飛ばしたグループのプラカードを見ると、「原発いらない」と書いてある。何のことはない。仲間同士の、文字どおりの小競り合いではないか。
「小異」に関わる論争では、「喧嘩にだけは自信がある」とアピールするが、中韓が振りかざす歴史カードとの対決や、原発維持を含むエネルギー戦略の確立など、氏の好む言葉を使えば、真の「大戦(おおいくさ)」においては腰が定まらず、民主党の幹部らとほとんど変わらない“ゆるさ”を見せてきたのが、これまでの橋下氏である。
「安全が確認された原発は再稼働する」と明言した安倍自民党が、この点、一歩抜き出たと思う。産経の適切な「主張」も掲げておく。
産経
震災がれき受け入れ反対派に橋下氏「勝手な国民増えた」
2012/11/19
日本維新の会代表代行の橋下徹大阪市長が19日、大阪・難波の高島屋前で街頭演説を行った。大阪市の岩手県からの震災がれき受け入れに反対するグループが沿道の一角を占めて抗議の声を上げたのに対して、橋下氏が「いつからこんな勝手な国民が増えたのか」と挑発。橋下氏に賛同する歓声、反対する怒声が飛び交い、騒然となった。
橋下氏や維新幹事長の松井一郎大阪府知事らが演説を行ったが、少なくとも10人は超える反対派が抗議の文字を書いた大きな紙を広げ、「焼却反対」などと叫び声を上げ続けた。
橋下氏は約15分に及ぶ自身の演説の終盤、反対派が占める沿道の一角に体を向け、「がれきは大変申し訳ないが受け入れる。これはやる」と言及。反対派が抗議の声を強めたが、橋下氏は言葉を続けた。
「苦しむ岩手県民を見捨てることはできない。いつからこんな勝手な国民が増えたのか。専門家の意見をきいて、(がれき受け入れの)安全はしっかりチェックする」
沿道では「いいぞ」「その通りや」などの歓声と拍手が広がり、橋下氏は「反対を叫ばれている皆さん。大変申し訳ないが、これが善良なる大阪市民の声だ」とたたみかけた。
沿道付近は、警備担当の警察官とみられるスーツ姿の男性らが反対派に向かい合うように立つなど、緊迫した雰囲気に。反対派の女性は「なんでみんな拍手するの」と悔しそうに話していた。
産経
【主張】原発ゼロと衆院選 現実見ぬ選択では国滅ぶ
2012.11.20
日本の将来を左右する原子力・エネルギー政策が衆院選の大きな争点となっているが、民主党が「原発ゼロ」を打ち出したのをはじめ、多くの政党も「脱原発」を標榜している。
だが、エネルギー小国の日本が原発を完全に手放してしまうのは現実的でない。一時のムードに流された脱原発は、ただちに国力低下につながる危険な選択であることを改めて訴えたい。
政府・民主党は、革新的エネルギー・環境戦略として「2030年代に原発稼働ゼロ」を目指すことを決定した。原発の新増設は認めず、運転から原則40年での廃炉を徹底するという。
しかし、原発に代わる太陽光などの再生可能エネルギーを整備する道筋は描けていない。政府試算では再生エネ投資で50兆円、省エネ投資は100兆円が必要となる。発電コストが高い再生エネの普及によって、電力料金も現在の2倍以上にはね上がる。
電力の安定供給や代替エネルギーの確保、電力料金の値上げ、それに伴う産業空洞化にどう対応するのか。各政党は脱原発をうたうならば、選挙公約などでこのような疑問に、はっきりと答えなければならない。
原発の再稼働が進まない現在の日本では、足元の電力供給すら綱渡り状態だ。泊原発の運転が再開できない北海道の住民・企業に対し、政府は今冬、厳しい寒さの中で7%以上の節電を求める。住民の生命にも危険が及ぶ。
安定的な電力供給ができずに節電ばかり恒常化すれば、企業の海外進出が加速して雇用が失われ、国内総生産(GDP)も落ち込んでしまう。「原発ゼロ」が徹底されれば原子力技術者は日本で育たなくなり、廃炉作業に影響が出るのも必至だろう。
政権奪回をめざす自民党は「10年内に新たなエネルギーの供給構造を構築する」としているが、方向性は不透明だ。まずは安全性の確保できた原発について早期に再稼働させ、電力の安定供給を実現すべきである。
日本が蓄積してきた原発技術は、今なお世界的に評価が高い。福島第1原発の事故を教訓に一層安全性を高めた原発を開発し、国民の信頼を回復するとともに、世界に輸出して新興国のエネルギー需要に応える。これが日本に課せられている責務である。