福井県知事の大人の言動、関西首長らの子供の言動、そして政府の無責任 |
普天間問題と原発再稼働問題はよく似ている。
政界トップがムード的世論に迎合し、無責任な約束(「最低でも県外」や脱原発)を振り回した挙げ句、結局、県内移転や再稼働という「現実路線」に戻るが、決断力を欠くため混乱を収拾できない。
関係者で、大人の対応、責任ある言動をしているのは西川一誠福井県知事くらいだ。
目の前に経済・市民生活の混乱が迫っていながら、朝日岩波文化人のごとき評論を弄ぶだけの関西緒知事や市長らの「御都合主義は話にならない」(西川知事)。
おそらく関西圏に破滅的混乱が生じ、弱者(高齢者や乳児)に未曾有の犠牲が出なければ目が覚めないのだろう。いや、それでも鳩山由紀夫や菅直人のように目が覚めない可能性が高い。
したがって、混乱を生じさせてはならない。西川知事が示唆するとおり、野田首相は、関西の無責任な首長らへの「説得」など打ち切り、自らの責任で原発再稼働を決断すべきである。
原発全廃の方向に闇雲に踏み出し、その間に、国際情勢から石油や天然ガスの輸入が止まったらどうするのか。「この夏」をどう凌ぐかという目先の考慮を越え(それすら真面目に考えない関西首長連は論外だ)のみならず、中期的にも原発再稼働は必要である。
なお、下記エントリ参照。
■「全方位24時間迎合男」枝野幸男も更迭せよ
http://island.iza.ne.jp/blog/entry/2657624/
産経
【「改革」あれこれ】JR東海会長・葛西敬之 再稼働がリーダーの使命
2012.5.29
夏季の電力需給への危惧が強まっている。国民に苦い薬を処方するときは、弥縫策と綺麗ごとを言い続け万策尽きた時に初めて本音を出すというのが日本的な常套手段である。この余りにも日本的なやり方を1年間続けてきたことの棚卸の時期を政府も国民も迎えている。平時はともかく、今回の原発事故のような非常時においては、政府はいかに厳しくとも現実を直視し、具体的で実効的な対策を最初から国民に告げるべきだった。今回の事故に際して最も本質的で死活的な課題は良質の電力を、産業競争力を持てる価格で十分に安定的に供給し続けることである。
日本経済の活力は製造業の競争力に、製造業の競争力は電力の安定供給に懸かっている。そして安全性を確保した上で原発を最大限活用する以外には、高品質な電力をリーズナブルな価格で安定的に供給することは不可能である。災害の復旧や被災者への十分な支援は勿論のこと、国民生活の維持がすべて原発の速やかな再稼働による経済力の維持という一本の蜘蛛の糸にぶら下がっているのである。初動として政府はこの冷厳な現実を国民に告げ、原発パニックになってはならないと訴えるべきだった。「教訓は生かす。安全性を一層強化する。そして無傷の原発はすべて稼働させる。それ無しに国民生活の維持は不可能である」と明言し、政府を信頼するよう訴えかけるべきだった。それこそが真に民意に沿うことだった。
ところが政府が事故直後に取った行動はその対極だった。事故が収束するまでは原発の必要性を言うべきではない。あらゆる努力をしても、当面は原発への依存は避けられないという型を整えるべきだと考えたのである。自然エネルギーなどで原子力の代替が可能だという幻想を振りまいているうちに「表層民意」は脱原発から反原発へと自己成長した。今、1年の大衆迎合路線の後、政府は万策尽きた形で、化石燃料の輸入増分の値上げと原発の再稼働という本音を打診し始めた。この1年間で国民に浸透した反原発の空気も、東京電力がすべて悪く電力料金の値上げは困るというムードも、政府自らがまいた種であり、国民の説得は1年前よりもさらに困難になった。
「本音は万策尽きた最後に」という日本型のコンセンサス手法は、非常時には全く通用しない。今からでも遅すぎることはない。この1年間に重ねてきた綺麗ごとを清算して、「無傷の原発は最大限稼働させなければならないし、今回の教訓を踏まえ、今後政府は安全に全責任を持つ」、「輸入増になった燃料の対価は東電合理化によるコストダウンでは賄えず、電力料金で回収するしかない」、「電力自由化は長期的な検討課題である」と、すべてを本音で単刀直入に語りかけるべきだ。
そもそも、「民意」というものは意向調査などで分かりはしない。自分が何を望んでいるのかは潜在意識の奥底によどんでおり、自分でも分からない場合が多い。その「深層民意」を洞察し、つかみ出すのがリーダーシップである。また、自らの目で事実を直視し、合理的で正しい目標を定め、それを具体化し、人々を牽引するのも非常時のリーダーの使命である。
政府の覚醒を期待している。(かさい よしゆき)
産経
【風を読む】論説副委員長・高畑昭男 「決められない」政治のうそ
2012.5.29
……「震災1年」はとうに過ぎたのに復旧・復興は進まず、問題なく稼働していた原発もすべて停止した。昨夏の節電の苦痛は、被災地域でもない関西へ広がろうとしている。
菅政権からの宿題である環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加問題も決着していない。そして今は、消費増税法案をめぐって首相が何を考えているのかが皆目わからない状態だ。
とどのつまりが日本国債の格付け引き下げではないか。中国やチリ以下の水準に引き下げた理由について格付け会社は「日本の政治リスク」を挙げている。日本の衰退の原因がどこにあるかが、外国ウオッチャーの目には明白なようだ。……
産経
電力消費地vs供給地が激突?30日の近畿知事会 主役“欠場”で精彩かく
2012.5.26
関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働が大詰めを迎える中、30日開催の福井県を含む近畿ブロック知事会議での議論に注目が集まっている。再稼働に反発する大阪、京都両府県など電力消費地側と、供給地側が顔をそろえる会合とあって、電力問題での建設的な議論も期待されているからだ。ただ、福井県の西川一誠知事は急遽(きゅうきょ)、知事会議への欠席を表明。副知事が代理出席するが、“主役不在”の議論は精彩を欠くとの見方も浮上している。
近畿ブロック知事会は、近畿2府4県に加え、福井、三重、徳島、鳥取の計10府県で構成。鳥取県内で開催される今回の議題は、(1)東日本大震災支援(2)北陸新幹線(3)広域観光-で、電力問題は上がっていない。
ところが、大阪市の橋下徹市長が19日、関西広域連合での会合で大飯原発の再稼働について「臨時か期間限定の動かし方もあるのではないか」と言及。これに対し西川知事は24日の会見で「ご都合主義」と批判し、「一部の消費地で電気が必要でないと言うならば無理して動かす必要はない」と発言したため、知事会議で電力問題は避けて通れない情勢になっている。
西川知事の発言に対しては、大阪府の松井一郎知事も即座に反応。同日、記者団に「思いを伝えられるなら西川知事に言いたい」と率直な意見交換を行いたい意向を示していた。
具体的な「思い」の中身については、「(電力を)供給される側として立地県には感謝している」と述べる一方、橋下市長の臨時再稼働の提案に対しては西川知事側に「誤解がある」とも指摘。「立地県の安全性も含め、政府が(原発を)動かすなら限定期間じゃないですか、と(橋下市長は)言っている」と述べ、夏場の電力不足を念頭に置いた関西圏だけの発言ではないと強調した。
また、原子力規制庁の発足前に、全国の原発の中で大飯原発3、4号機だけを再稼働させることの是非についても西川知事に問いかける意向を示していた。
知事会議には大阪府をはじめ、「被害地元」を主張し立地自治体並の“発言権”を求める滋賀県の嘉田由紀子知事、隣接自治体として再稼働に反発する京都府の山田啓二知事らも出席予定。約40年にわたり地元独自の取り組みで原発の安全性を確保してきたことに強い自負を持つ西川知事との間で「激しい論戦になる可能性もある」(大阪府関係者)との見方もあった。
しかし、25日になって「都合がつかないため」(福井県)として、西川知事の欠席が発表された。福井県関係者は「西川知事は再稼働に向け、関西圏の理解を得ることは国の役割だと以前から繰り返しており、知事会議に出席することで事態の混乱を招く可能性があると判断したのではないか」と推し量る。
今回の知事会議に対しては、「せっかく知事たちが集まるのだから、注目の高い電力問題で真剣に議論してほしい」(原子力専門家)との声もあるが、議論の行方は不透明だ。
朝日
「電気必要ないなら動かさない」 大飯再稼働で福井知事
関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働について、福井県の西川一誠知事は24日の記者会見で「(電力消費地や国が)電気が必要でないと言うならば、無理して動かす必要はない」と述べた。西川知事は、再稼働に反発している関西の自治体に対する政権の対応の遅さを批判しており、改めて再稼働に向けた政権の決意を促す意味があるとみられる。
19日に開かれた関西広域連合の首長会合では、細野豪志原発相が再稼働への理解を求めたが、出席した知事らから「安全確認の態勢が不十分」として再稼働に否定的な見解が相次いだ。西川知事は、こうした関西の首長らの言動について「消費地が将来の見通しもないままいろんなことを言うのは望ましくない」と批判。同会合で大阪市の橋下徹市長が「1~3カ月の臨時運転」を提案したことについては、「ご都合主義は話にならない」と不快感を示した。
一方で、西川知事は「いくら何でも政府の対応が遅すぎる」と政権の対応にいらだちを見せた。「関西の同意を待っているわけではない。政府が姿勢を示すことで解決できる」とも述べ、関西の首長への説得を打ち切ってでも再稼働への決意を示すよう政権に求め、野田佳彦首相のリーダーシップを改めて促した。
日本経済新聞
首相の早期決断カギ 大飯再稼働で福井知事
「関西の同意待っていない」
2012/5/24
福井県の西川一誠知事は24日の記者会見で、関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働について、野田佳彦首相による意思表示と決断が問題の早期解決のカギを握るとの見方を示した。電力消費地である関西の自治体の首長が慎重姿勢を示していることに「関西の同意を待っているわけではない」と述べた。
――関西の自治体では依然として再稼働に否定的な意見がある。
「関西の理解を得るというのは、国がしっかりとした姿勢を打ち出すことであって、関西の同意を得る必要があるという意味ではない。その意味を誤解するから話がおかしくなる」
――大阪市の橋下徹市長の夏場だけの再稼働提案については。
「そういうご都合主義の勝手なことでは話にならない。消費地の一部が将来の見通しの確信もないまま、色々なことを言うのは望ましくない。もっと真剣に問題を考えるべきだ。電気が必要ないというなら無理してその地域のために原発を動かす必要はない」
――野田首相は17日夜のテレビ番組で先頭に立ってこの問題の解決に当たる決意を示した。
「特定のメディアでのみ話すようでは積極的な対応とは言えない。すべての国民、メディアに向かってはっきり発言すべきだ。福島事故から1年以上が過ぎ、夏を迎えるわけで、いくらなんでも政府の対応は遅すぎる。そういうことでは日本全体がおかしくなってしまうし、国家的に大きな無駄が生じる」
――首相は何をすればいいのか。
「国民に向かって原子力の必要性や国益との関係、原発の安全性確保のために何をどう強化したかといったことについて語りかけるべきだ」
――再稼働に当たり将来の国の電源構成も考慮すべきだとの声もある。
「当面の再稼働の議論をしっかりしてもらわないと。現実の話と将来の夢のような話を混同してはいけない。そういう議論が消費地でも行われているようだが」
――国は高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市)について存廃も含めた検討を始めた。
「もんじゅは国の核燃料サイクルの中核。エネルギーの安全保障など大局的な観点から慎重に議論してほしい。なんと言っても文科省や文科相がしっかりとした見解と説明をしないと問題があやふやになる」
【ついでに】
品川駅に対抗してか、東京駅の「ラーメンストリート」でも早朝から営業の店が2軒に増えた。六厘舎は朝から行列ができているが、七彩の方はすんなり入れる。
喜多方風の醤油ラーメン
朝7時半から営業。焼きそばを頼んでいる客も多かった。