韓国の鬱陶しい反日、中国の凶悪な反日 |
中国の太った女性歌手、韓紅が、慰安婦を題材にした反日映画を見て、「日本人!中国人はおまえらの永遠の敵だ。釣魚島(尖閣諸島)に触れようと思うな。今後、おまえらの製品は二度と買わない」とツイッターに書いたとして話題になっている(下記、産経記事参照)。
が、この発言は例えば、中国外務省の崔天凱次官が昨年秋、南シナ海問題に関して日本に「警告」を発した際の論理とほとんど変わらない。下に引いた『人民網』(中共の機関誌『人民日報』のネット版)の記事を参照、実に参考になる。
韓国の反日は、親北左翼が主導し、しつこく恨みをぶつけてくる、一言で言えば鬱陶しいタイプのものだが、中国の反日は、共産党政権が主導し、憎しみを執拗に日本に向けようとする凶悪かつ陰湿なタイプのものだ。
中国民衆のさまざまな怒りや不満が、中国共産党に正当に向かうよう、日本は戦略的に動かねばならない。
産経
2012年新春、ネットは反日のあらし
2012/01/09 09:55
【中国ネットウオッチ】
中国では昨年末から年明けにかけて、日中戦争中に起きた南京攻防戦を題材にした映画「金陵十三釵」が大ヒットしている。「小日本(日本人の蔑称)を絶対に許せない」といった映画の感想がインターネットにあふれ、反日の嵐が起きている。今年は日中国交回復40周年に当たる年で、さまざまな祝賀イベントが予定されている。しかし、中国当局がこの時期に、国民感情を刺激するような映画を上映させた真意は何か。対日関係者の間でさまざまな憶測が飛び交っている。(北京 矢板明夫)
「金陵十三釵」は北京五輪の開・閉会式をプロデュースした張芸謀(チャン・イモウ)監督の最新作品。中国映画史上最高額となる制作費、6億元(約72億円)を投じた超大作だ。日本軍が南京を占拠した直後、教会に逃げ込んだ13人の娼婦が、一緒に避難した女子学生たちを助けるために、身代わりとして日本軍のクリスマスパーティーに赴き、慰安婦になる-というあらすじだ。米国人牧師役には米国の人気俳優クリスチャン・ベールが出演しているほか、複数の日本人俳優も制作に参加している。
昨年12月16日に上映スタートしたこの映画は、31日の時点で興行収入が4・5億元(約55億円)を突破した。12月の映画ランキングではトップを独走した。映画の中には、日本軍の残虐性を強調するシーンが多い。2時間あまりの上映中、映画館の中では、すすり泣きと日本人を罵倒する声があちこちから聞こえてくる。
映画を見た著名な歌手、韓紅氏は自身のミニブログで「日本人!中国人はおまえらの永遠の敵だ。釣魚島(日本名・尖閣諸島)に触れようと思うな。今後、おまえらの製品は二度と買わない」という感想をつづり、話題となった。韓紅のブログには多くのコメントが寄せられたが、そのほとんどは彼女を支持するものだ。まれに「冷静になりましょう」といった書き込みもあるが、こうした意見を書き込んだ人は即座に「売国奴」と一斉攻撃される。
中国では、完全に政府の管理下に置かれている映画は、世論を誘導する役割を持っている。内容や上映時間に関しては、メディアを統括する共産党宣伝部の許可が必要だ。これまでに張監督自身の作品を含め、発禁処分となった映画は多い。2000年のカンヌ国際映画祭で審査委員特別グランプリを受賞した「おにがきた」(姜文監督、中国語名、鬼子来了)は、同じく日中戦争が舞台だが、「日本軍兵士を美化した」などを理由に中国国内での上映が禁止され、DVDなどの映像出版物の販売禁止処分を受けている。
今回の「金陵十三釵」の上映は、「反日感情をあおり、愛国主義教育を通じて国民をまとめたい」とする中国当局の意向が反映しているとみられる。ある日本問題研究者によれば、2005年春に各地で発生した反日デモ以降、中国政府はメディアやネットなどでの日本批判を抑え、学校などでも「愛国主義教育」と称する反日教育を減らした。中国政府が日中学者による共同歴史研究を支持したことも、日中関係を改善したい思惑の表れだったという。
しかし、最近になって、こうした日本との関係修復の意思は薄れたとみられ、国内での反日教育がまた増え始めたという。
中国の外交関係者によると、昨年秋に尖閣諸島近くで起きた中国漁船衝突事件をめぐり、対日協調路線を主導した温家宝首相が批判され、軍部や保守派が台頭した。今は対日強硬姿勢が主流になりつつあるという。また、今年秋には胡錦濤氏から習近平氏への権力交代がなされる中国共産党大会が控えており、国民の当局への不満をそらすべく、再び歴史問題を持ち出し、憎しみを日本に向けさせようとする思惑がうかがえる。
今年、日本政府と多くの日本の民間団体は、日中国交回復40周年を機に「日中両国の友好関係を発展させたい」としているが、中国側にその気持ちは、現在のところなさそうだ。
人民網日本語版
2011年10月17日
南中国海問題に手出しする日本に中国はどう対応すべきか
「南中国海問題が最近激化したのは、明らかに煽り立てている者がいるからだ。少数の者がもめ事を挑発しているかどうか、域外の勢力が背後で動いているかどうかについては、『司馬昭の野心は通りすがりの者ですら知っている』という中国の成語で答えておこう」…。
これは中国の崔天凱外務次官が10日、南中国海問題への日本の公然たる介入について行った発言だ。「中国は日本に、中国の核心的利益に関わる南中国海問題に介入するなと警告している。言い換えるなら、中国は日本の行動に対して対応手段を持っているのだ」と報じるメディアもある。中国紙・世界新聞報が伝えた。
昨年の中日船舶衝突事件では、中国政府が必要な対応措置を講じる考えを表明した途端に、日本政府は大急ぎで対中関係の速やかな修復策の検討に入った。それから1年も経たずして、日本は中国の核心的利益に関わる問題で再び事を起こしている。「日本は慎重に事を行うべきだ。歴史的要素を十分に意識するとともに、現実的な状況の下で何が真に日本の国益かを真剣に考量すべきだ」という崔天凱次官の意味深く、含みのある言葉について、日本はよく考えてみるべきなのかも知れない。
■中国は日本を抑えつける経済的手段を持つ
貿易において日本にとっての中国の重要性は言うまでもない。2009年以降、中国は米国に替わり日本最大の輸出相手国となった。……
10万社以上の日本企業が主に中国市場に頼って生きている。東日本大震災の復興には、なおさらに中国の協力が必要だ。……
商務省研究院で日本を専門とする唐淳風氏は「日本経済の回復は中国から切り離せない。世界の4分の1を占める中国市場を失えば、日本企業は生きていけない。この点において、中国は日本の南中国海撹乱に対する対応手段を完全に持っている。だが、まだ経済制裁カードを切る必要はない。日本企業は中国で多くの業務を展開している。中国での経営過程で、付加価値税、関税、所得税を脱税している日本企業も少なからずある。中国側はこの機会に合法的措置を活用して、中国における日本企業の経営を規範化するだけでいい。例えば、日本企業を標的にした徴税管理の強化や違法行為の徹底的な調査を行うだけで、日本をいくらか動かすことができる」と指摘する。
日本の対中依存は貿易だけに限らない。資源の極めて少ない島国である日本は、中国の各種資源を強く必要とし続けている。日本側統計によると、日本はレアメタルの半分、レアアースの83%を中国からの輸入に頼っている。国際未来科学研究所の浜田和幸代表は「製造業へのレアメタルの供給が中断されれば、日本経済にとって深刻な打撃となり、国の安全も脅かされる」と指摘したことがある。
昨年、中国がレアアースの輸出を規制すると、三井物産など日本の総合商社は、意外にもガラス屑などの『廃棄物』を中国から輸入して、ランタンやセリウムなどのレアアースを抽出した。
■日本最大の懸念は中ロ連携
唐氏は「南中国海問題と全く無関係な日本が中国の核心的利益に手出しした以上、中国も日本の懸念する『核心的利益』に足を踏み入れる理由を完全に持つ。例えば中国艦隊が今後、再び西太平洋に出て演習や訓練を行う際には、必ずしも宮古海峡ではなく、日本の島々により近い鹿児島海峡(トカラ列島と奄美諸島の間の海峡で、琉球群島に属する)を通過して全く良い。しかも、日本が東南アジア諸国と南中国海の主権の帰属について話し合う以上、中国の民間企業も南クリル諸島(日本名:北方四島)への投資を行って良い」指摘する。
ロシアは今年2月、南クリル諸島の開発に中韓企業を参加させる政策を初めて打ち出した。日本経済新聞によると、ロシアの水産会社と中国・大連の水産会社が国後島でナマコ養殖の合弁事業を行うことで合意した。この報道が事実かどうかは知らないが、唐氏は中国企業は南クリル諸島の開発により大胆に参加すべきだと指摘する。
胡錦濤国家主席が昨年9月に訪ロした際にメドベージェフ大統領と発表した第二次世界大戦終結65周年に関する共同声明は「国連憲章およびその他の国際文書によってすでに第二次世界大戦の結果への定論が打ち出されており、その改竄は許されない」としている。
唐氏は「日本が中国人民の感情を顧みない以上、中国も第二次大戦の結果を守る決意を示し、戦争中に侵奪した全ての領土の返還を日本に要求することができる。日本がこのような挑発を続けるのなら、中国とロシアは第二次大戦の結果を守る決意を共同で示すことになる。これはおそらく時間の問題に過ぎないだろう。そしてこれこそ、日本が最も心配する事態だ」と指摘する。
■日本の「離間の計」の勝算は小さい
中国現代国際関係研究院南アジア・東南アジア研究所の褚浩氏は「南中国海問題は現在、2002年の『南中国海における各国の行動宣言』以来、最も対立が鋭く、複雑な段階にある。日本がこのような時期を選び介入するのは、非常に不適切だ。ベトナムやフィリピンに南中国海問題で引き続き騒ぎを起こさせると同時に、両国内の反中・好戦感情を鼓舞することで、地域の平和と安定に一定のリスクをもたらし、さらには偶発的交戦の可能性も生じさせうる。こうした日本の行動は客観的にも、中国とASEAN諸国を離間させ、その関係をさらに複雑化させるものだ」と指摘する。
だが、日本が南中国海問題に全面的に介入する姿勢を打ち出した時、中国とベトナムは南中国海の平和・安定維持について前向きな共通認識に至っていた。中共の胡錦濤総書記とベトナム共産党のグエン・フー・チョン書記長は全方位的な会談の後、「中華人民共和国とベトナム社会主義共和国の海上問題の解決を指導する基本原則に関する協定」に調印した。協定は、政府国境交渉代表団団長の定期会合を年2回、必要時に特別会合を開くほか、海上問題について速やかな意思疎通と適切な処理を図るため、政府代表団にホットラインを設置することを定めている。
南中国海問題の解決は転機を迎えている。日本が南中国海の水をかき回すのは、そう容易ではないようだ。(編集NA)