「東大を出たから余計バカ」―「御曹司」井川意高と教授坂本義和 |
会社の資金を横領し、ギャンブルにつぎ込んだ優良企業三代目が逮捕された。
二代目社長である父親が、ジェット機で愛媛から東京の塾に通わせるなど、受験に破格のカネをつぎ込み、東大法学部卒の学歴を手に入れたようだが、子供をスポイルするだけに終わったようだ。
「東大を出てもバカはバカ」という言葉があるが、「東大を出たから余計バカ」と言うべきケースも多い。
例えば、逮捕された井川が東大法学部に在籍の頃、国際政治学担当の教授は坂本義和だった。私は、学生時代にこの男の本を読みかけ、余りに無内容なため、2ページ以上読み進むことが出来なかった。
知力、常識、文章力と三拍子欠きつつ、エリート意識だけは異常に肥大化した教養俗物の典型である。
卒業生に、福島“現実を”みずほらを排出したのも無理はない(「輩出」の誤変換だが、むしろこの方が適切か)。
坂本が北朝鮮問題を論じたインタビューを下に引いておく。
北朝鮮が、「元「従軍慰安婦」や強制連行労働者として「拉致」された数万、数十万の犠牲者への謝罪と補償なしに、「拉致疑惑」を交渉の場に持ち出そうとする日本の立場を受け入れないのは当然」というのが坂本の立場である。
真面目に講義を聴いた学生ほど「東大を出たから余計バカ」になると納得できるだろう。なお、下記エントリ参照。
■「東大を出てもバカはバカなんですね」(櫻井よしこ氏の鳩山評)
http://island.iza.ne.jp/blog/entry/1351174
■「東大です!」と憤然と叫んだ加藤紘一
http://island.iza.ne.jp/blog/entry/1308118/
■東大とハーバード―名門の「負債」(レーガン発言)
http://island.iza.ne.jp/blog/entry/1266898/
産経
孤独なエリートの破滅 大王製紙前会長「刺激欲しさ」の代償大きく
11/22 22:49
……東京地検特捜部に会社法違反(特別背任)の疑いで逮捕された大王製紙前会長の井川意高(もとたか)容疑者(47)は、……大王製紙創業者である故伊勢吉氏の直系の孫で、3代目に当たる。
愛媛県を拠点とする大王製紙は、井川容疑者の父親で元社長の高雄氏のもとで急成長した。……期待の嫡男である井川容疑者に高雄氏は、……「愛媛から東京までジェット機で塾通いをさせ、東大卒の社員を家庭教師につけていた」(同社関係者)
井川容疑者は名門・筑波大付属駒場高校から東大法学部へ進学。62年に大王製紙に入社し、4年で常務に昇格するなどエリート街道を突き進んだ。
……「俺は東大法学部を出ている。ほかの企業の創業家一族とは違うんだ」。近代的経営感覚の自負とプライドを、そんな言葉で漏らしていたという。
……創業家3代目の御曹司、東大出身という経歴をみると、井川容疑者は負けたことがなく、プライドが高い人のようだ。こういう人は負けを認めず、カジノで負けても「こんなはずはない。取り戻そう」という発想にとらわれる。ギャンブル依存症に多く、倍賭けて取り戻そうとする。……
朝鮮新報
2000年8月11・25日合併号
この人と語る
朝鮮半島を和解と統一に導く 指導者の構想力と決断
国際政治学者坂本義和さん
日朝交渉で謝罪と賠償実行すべき
――二十世紀最後の年に、朝鮮半島では、南北首脳会談が開かれました。
●南北首脳会談は、朝鮮半島の緊張緩和と和解、統一をめざす歴史的転換点となった。金正日総書記と金大中大統領は、どちらも全責任を負って、非常な勇気をもって、会談に臨み、それぞれのリスクを引き受けて、重要な決断を下した。会談の成功は、和解と統一を指向する指導者の構想力と決断に立脚した政治的イニシアチブによってもたらされたと思う。
北朝鮮について言えば、軍事境界線の向こう側に展開する巨大な米軍と対峙している厳しい状況がある。その中で、金正日総書記は軍事的緊張の緩和と経済重視を選択した。これは容易な決断ではなかったと思う。
私は一九八七年に招待されて、妻と一緒に訪朝したことがある。板門店に行った時、私たちをパチパチ写真に撮る体の大きい二人の米兵が正面にいた。その後に「韓国」軍の衛兵が立っていた。
この現場を見て強く実感したのは、軍事境界線の向こうにいるのは「韓国」軍よりも米軍だ、ということだった。北朝鮮の側から見ると、圧倒的な戦力を持つ米軍が正面にいるという感覚だろう。当時は戦術核を持って駐留する巨大な米軍がおり、その後方には日本とその米軍基地があり、背後に米国本土がある。冷戦時代の米軍との対峙が、いかに生々しいか、北朝鮮の厳しい状況を実感した。
これは北朝鮮の安全保障の点で重い問題であることが分かったし、北朝鮮がまず軍事優先を貫いた理由が、理解できる気がした。
一方、「韓国」内部においても、冷戦的思考は根強い。北への食糧・肥料支援などについても、「一方的な譲歩は相手を利するだけ」といった強い反感と警戒心があった。それを大統領の「同胞が二度と戦うことのないために、助け合い、相互不信を少しでも除いていかなければならない」という決断によって、支援を続けてきた。……
――朝鮮半島の緊張緩和の動きに、日本は取り残されている気がします。
●……戦後の日本は、植民地支配と侵略戦争に対する責任を終始、曖昧にしてきた。さらに、近年自虐史観批判なる居直りの主張まで出てきた。人間の誇りとは、誤りを犯したらそれを謝罪し、改めることで生まれる。ところが彼らは「謝罪することは、誇りを失うこと」という考え方。……
過去の「日韓条約」の交渉でも、日本側の謝罪や賠償はなかった。しかし、それを日朝交渉で繰り返してはならない。
北朝鮮に対して、歴史的責任を認め、謝罪と賠償・補償の問題に誠実に取り組むことから始めなければならない。日本政府は「拉致疑惑」から始める姿勢をとってきたが、北朝鮮としては、植民地支配下において、元「従軍慰安婦」や強制連行労働者として「拉致」された数万、数十万の犠牲者への謝罪と補償なしに、「拉致疑惑」を交渉の場に持ち出そうとする日本の立場を受け入れないのは当然であろう。
「拉致疑惑」問題は、今や日本では完全に特定の政治勢力に利用されている。先日、横田めぐみさんの両親が外務省に行って、まず、この事件の解決が先決で、それまでは食糧支援をすべきでないと申し入れた。これには私は怒りを覚えた。自分の子どものことが気になるなら、食糧が不足している北朝鮮の子どもたちの苦境に心を痛め、援助を送るのが当然だ。それが人道的ということなのだ。……