拉致問題でも完全失格した菅政権―寺越事件認定せず |
常識ある人間にとっては、拉致であることがあまりに明らかな寺越事件について、政府認定しないとの「再検討結果」を菅政権が出してきた。言語道断という他ない。
本日朝9時過ぎからの家族会総会(私は救う会副会長としてオブザーバー出席)の場で、昨夜政府当局から説明を受けたという寺越家の3人から報告があった。
北朝鮮にいる寺越武志さんが、自分は「救助」された、拉致ではないと言っている、本人の証言は重い、といった政府側の「論理」に対し繰り返し抗弁したが、曖昧な答しか返ってこず、著しい徒労感と重い憤りのみ残ったという。
二人の叔父とともに失踪した当時、武志さんは横田めぐみさんと同じく13才だった。仮に100万歩譲って「救助」だったとして、子どもを「救助」して何十年も親に知らせなければ、それは普通、誘拐あるいは拉致と表現するのではないのか。
13才の少年を放置して顧みない政府が、13才の少女を真剣に助けようとするはずがない。
家族会総会の場で決め、午後の国民大集会で発表した緊急声明を貼り付けておく。なお、下記エントリ参照。
■「放置国家」 日本を象徴する寺越事件
http://island.iza.ne.jp/blog/entry/448629/
■西村眞悟代議士が寺越事件で質問趣意書
http://island.iza.ne.jp/blog/entry/368463/
■寺越武志さんの父、北朝鮮で死去
http://island.iza.ne.jp/blog/entry/449227/
■菅政権は誤った再検討結果を撤回し、ただちに寺越事件を拉致認定せよ
1963年5月11日、漁船操業中に北朝鮮に拉致された寺越昭二さん、外雄さん、武志さんの3名について、昨年12月10日、家族会・救う会・拉致議連代表と面談した菅直人首相は、政府認定を視野に再検討すると約束した。
ところが、半年近くを経た5月7日夜、政府が寺越昭二さんの家族に伝えてきた再検討結果は「関係機関で会議を開いたが、認定はできない」という完全に期待を裏切るものだった。
とりわけ、北朝鮮で抑留されつづけていて自由な言論が保証されていない武志さんの「証言」や北朝鮮当局の厭がらせを怖れる武志さんの母の意向を認定回避の理由とする姿勢は、政治責任のあからさまな放棄と言わざるを得ない。北から見れば、「拉致認定されそうなケースがあれば、そのお母さんを脅せばよい。そうすれば動きを止められる」とのきわめて誤ったメッセージとなろう。
首相自ら再検討を約束しながら、結局、拉致は国家として許さないとの原則を崩した今回の決定により、今後、個々の拉致被害者や家族に対する北の脅迫がむしろ強まりかねないと危惧される。
われわれは菅政権に対し、誤った再検討結果を撤回し、ただちに寺越事件を拉致認定するよう強く要求する。
平成23年5月8日
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会代表 飯塚繁雄
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会会長 西岡力