望ましかった谷垣氏の入閣、総裁辞任―無責任な「原発」発言 |
管首相から打診された副総理兼「震災復興担当相」での入閣を、自民党の谷垣総裁が断った。当然の判断とはいえ、残念でもある。
むしろ谷垣氏が即諾、その後党内の批判を受けて総裁辞任、しっかりした新総裁選出、となるのが日本政治のためにはよかった。
震災直後の増税提起に始まり、「原子力政策の推進は難しい状況になった」という発言など、安易な増税による帳尻合わせと当面の空気への迎合が、この冴えない政治家の、いかなる大事件が起こっても変わらぬ本質だと言える。併せて、外交姿勢は一貫して媚中だ。
谷垣流の増税・原発抑制で今後に臨むなら、日本企業の一段の競争力低下、雇用情勢の悪化はあまりに明らかだ。
「われわれのパートナーが必要とする援助(火力発電所の燃料LNGの供給など)を行う用意がある」といったプーチン・ロシア首相の言葉など、もちろん頼りにしてよいはずもない。
谷垣発言を牽制し、「(原子力政策は)重要な課題なので党政調会などで議論さるべきものだ。冷静にしっかりと我が国のあるべき論を検討すべきだ」と述べた小池百合子氏(総務会長)や「今はいかに放射性物質の漏えい拡大を抑え込むかという段階で、原子力政策まで論じるべきではない」と釘を刺した石破茂氏(政調会長)の方が遙かに政治家として見識がある。
私も役員を務める国家基本問題研究所は、「地球温暖化問題提言」(2008年6月)で、「原子力か自然エネルギーかの択一論ではなく、戦略的なベスト・ミックスを模索することが必要」とし、「原子力発電は、環境保全とエネルギーの安定供給を両立させる有力な手段のひとつであり、推進せざるを得ない重要なエネルギー源である」と論じた。
もし原子力発電に意義を認めるなら、感情論を排して国民を説得せねばならない。意義の有無には触れず、「原子力政策の推進は難しい状況になった」とうそぶくだけの人物に政治家の資格はない。
統率力不足、挙国一致できず 入閣要請も谷垣氏は「拒否」
2011/03/20
菅直人首相(64)は19日、自民党の谷垣禎一総裁(66)と電話で会談し、東日本大震災に対応する内閣機能を強化するため、副総理兼震災復興担当相での入閣を打診した。……
谷垣氏は19日、党本部に石原伸晃幹事長(53)や石破茂政調会長(54)らを集め対応を協議。入閣すれば震災対応をめぐる首相の政治責任が曖昧になるとして、要請には応じない方針を確認した。
また、首相とは別ルートで非公式に打診があった大島理森副総裁(64)ら他の党幹部に対する入閣要請も拒否することを改めて確認した。
谷垣氏はその後の記者会見で、入閣を要請する首相に対し「あまりに唐突すぎる。今の態勢をいじるときではなく、被災者へ支援、原発の対応に全力を尽くすべきだ」と述べたことを明らかにした。……
……せっぱ詰まった首相は19日昼すぎ、電話で谷垣氏にアタックをかけた。
首相「国家的危機だ。ぜひ会いたい。副総理兼震災復興担当相で入閣していただけないか」
谷垣氏は「申し出は党内で協議するが、難しい」
首相「直接会談して決める気持ちもないんですか!」
谷垣氏は首相との電話会談後、すぐさま幹部を党本部に招集した。しかし、入閣拒否の方針は当然の結論だった。「政権側に利用されかねない」。会合は30分程度で終了した。……
野党から原子力政策の見直し論 枝野氏同調
2011/03/18
東京電力福島第1原子力発電所で放射能漏洩が起きたのを受けて、政府の原子力政策が見直される可能性が出てきた。自民党の谷垣禎一総裁が17日に見直しの必要に言及、枝野幸男官房長官も18日に同調した。ただ、代替エネルギーの確保がままならないこともあり、早急な見直し論に慎重な意見も出ている。
枝野氏は会見で、谷垣氏が「原子力政策の推進は難しい状況になった。事故を速やかに総括・分析し、新しい対応を打ち出さないといけない」と発言したことを聞かれると、「政府として方向性を申し上げる状況ではないが、至極当然のことだ。まっとうな発言だ」と応じた。
一方、公明党の斉藤鉄夫幹事長代行は18日、国会内で記者団に、「これだけの不安を国民に与えている以上、安全規制のあり方や、事故が起きた時の対応、法体系などを見直す必要がある」と指摘した。原子力災害対策特別措置法など関連法制を見直しが念頭にある。ただ、原発推進の見直しには「必要なエネルギーをどうまかなうのか、全体の議論の中で検討していきたい」と述べ、慎重な姿勢を示した。
自民党の小池百合子総務会長も記者会見で、谷垣氏の17日の発言を念頭に「重要な課題なので党内の政務調査会の各部会などで議論されるべきものだ。冷静にしっかりと我が国のあるべき論を検討すべきだ」と、慎重な対応を求めた。
原子力政策の見直し論、民主・自民両党で強まる
……福島の事故が、原発を抱える各地に与えた影響は大きい。静岡県では、中部電力が浜岡原子力発電所(御前崎市)で計画しているウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使用したプルサーマル発電について、安全対策の見直しを求める声が強まっている。民主党幹部は「放射性物質の漏えいが懸念されている時に、『原子力を進めます』とは言いにくい」と語る。
民主党は2003年の衆院選マニフェスト(政権公約)で、原子力発電を「過渡的エネルギー」と位置づけ、太陽光や風力発電などへの転換を目指す方針を掲げた。しかし、その後の検討で、太陽光発電などだけで原発の発電量をまかなうのは困難と判断し、09年のマニフェストでは方針を転換して「原子力利用について着実に取り組む」と明記した。
菅政権は10年6月に閣議決定した「新成長戦略」で、原発の輸出拡大を「国家戦略プロジェクト」と位置づけ、諸外国と交渉を進めてきた。昨年10月にはベトナムでの受注を決めた。ベトナム政府は福島での事故発生後も開発計画に変更はないとしており、日本政府はトルコとも詰めの交渉をしている。政府筋は「福島原発に比べ、最新型の原発は安全面でかなり強化されている」と強調している。
ただ、高い評価を受けていた日本の原発事故がきっかけで、世界で原子力政策の見直しが進み、日本政府もエネルギー政策の転換を迫られる可能性もある。
一方、自民党では、原子力政策論議に一石を投じた谷垣氏の発言は、必ずしも党内の一致した方針にはなっていないようだ。「今はいかに(炉心を)冷却し、放射性物質の漏えい拡大を抑え込むという段階で、原子力政策まで論じるべきではない」(石破政調会長)という声も出ている。公明党幹部は「自民党がエネルギー政策を大転換したとは聞いていない」としている。
露プーチン首相、欧州経由で日本にガス供給増を提案
2011/03/20
ロシアのプーチン首相は20日、東日本大震災で日本が電力不足に陥ったことを受け、欧州への天然ガス供給を増加させ、欧州で液化天然ガス(LNG)に加工した上で、日本へのLNG供給を増やす提案を行った。LNGは火力発電所の燃料となる。
プーチン首相は極東サハリン州のユジノサハリンスクで行われた極東のエネルギー開発に関する会合で「われわれのパートナーが必要とする援助を行う用意がある」と述べ、日本に原油や石炭、ガスを供給する用意があると言明。
首相は100日間で欧州へ60億立方メートルのガスを追加供給することで、欧州での加工後「日本は400万トンのLNGを受け取れる」と語った。首相はサハリンから日本へ直接送るLNGの供給増も既に指示している。(共同)
【ついでに】
シーフード・イタリアン『オーシャンズ』(福井市西開発)の「アマトリチャーナ」。スタッフによれば、パンチェッタ(豚バラ肉を塩漬けし乾燥熟成させたもの)と玉ねぎが主体のシンプルなパスタだが、牛スジ肉とともに長時間煮込んだ玉ねぎソースが決め手という。しっかりした味で、満足感が得られる。これは1人前を二人で分けた量。