趙甲済『朝鮮総督府・封印された証言』と管談話 |
韓国保守派の雄、趙甲済氏が日本統治時代について書いた文章を集めた『朝鮮総督府・封印された証言』(洋泉社、2010年)の序文から、印象的な部分を抜き出しておこう。
北朝鮮の人々の生活は、日本帝国主義の時代よりもはるかに劣悪だ。日本帝国主義の時代に300万人も飢えて死んだ時があったろうか。日本帝国主義の時代に、天皇の悪口を言ったからと一族郎党根こそぎ死地へと追いやられたことがあったろうか。……
(李朝末期の政治腐敗で著しく衰退した)韓半島の生活水準が、1900年頃から上がり始める。車命秀・嶺南大学教授は「日本から新しい種もみが導入され、韓半島に渡ってきた日本人が水利施設を修理、拡充し、やっと生活水準の下降が止まり、上昇への反転が起こった」と述べている。
日本帝国主義によって生活水準の向上が生じたという指摘は、韓国人としては認めたくないが、ほぼ事実だろう。……
日本帝国主義の36年間は、ただ暗黒と圧政だけの時期ではなかった。韓国の近代化を主導した指導層のほとんどすべてが、日本帝国主義の時代に呻吟しながらも、同時に実力を養ったのだ。日本帝国主義の時代にも、幸福があり、誇りがあり、学びがあった。この時代を生き抜いてきた人々の労苦と悩みに対する理解なくして、一方的な「左翼的」な見方で彼らを断罪することは、人間の存在に対する冒涜であろう。古い理念で目がくらみ、歴史のゴミ箱の隅をつつく者たちが、なぜか「良心家」と見られている。……
「日本帝国主義」時代にも、「幸福があり、誇りがあり、学びがあった」し、実力を養った韓国人が多数いたということは、それに協力し、尽力した日本人も多数いたということだ。
本書を読めば、日韓併合100年・管談話(2010年8月10日)の浅はかさが、改めてよく分かる。
管談話については下記エントリ参照。
■【今週の直言】 日韓併合より総連支援を反省せよ
http://island.iza.ne.jp/blog/entry/1752549/