対中ODA全廃でなく「削減」という「誤ったメッセージ」 |
下記ニュースについて
前原誠司外相が、中国に対する政府開発援助(ODA)を削減の方向で見直すよう指示したという。削減ではなく全廃が筋だろう。例によって、腰砕け、尻すぼみとなる気配が濃厚と言える。
外務省内では、関係を改善したいのに「中国に誤ったメッセージを送らないか」との異論も出ているという。
が、相手国の「軍事支出、大量破壊兵器・ミサイルの開発・製造、武器の輸出入などの動向」や「民主化の促進、……基本的人権及び自由の保障状況」に「十分注意を払う」という日本政府のODA4原則に照らしても、いま中国共産党に資金を出すことこそが最も「誤ったメッセージ」となる。
外務省幹部は例によって「中国への外交ツールとして必要」云々と主張しているという。では、例えば尖閣事件の対応で、外交当局はODAをどのように「外交ツール」として機能させたのか。説明して欲しいところだ。
尖閣侵出を含む膨張政策にも拘わらず、日本が援助を出し続けるなら、中国はその「誤ったメッセージ」をしっかり受け取るだろう。
【参考】政府のODA4原則
(1) 環境と開発を両立させる。
(2) 軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避する。
(3) テロや大量破壊兵器の拡散を防止するなど国際平和と安定を維持・強化するとともに、開発途上国はその国内資源を自国の経済社会開発のために適正かつ優先的に配分すべきであるとの観点から、開発途上国の軍事支出、大量破壊兵器・ミサイルの開発・製造、武器の輸出入などの動向に十分注意を払う。
(4) 開発途上国における民主化の促進、市場経済導入の努力並びに基本的人権及び自由の保障状況に十分注意を払う。
■外務省HP 政府開発援助(ODA)大綱より
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/seisaku/taikou.html
毎日新聞
2011年3月1日 23時55分
ODA:対中国、削減を指示 前原外相
前原誠司外相が中国に対する政府開発援助(ODA)を削減するよう見直しを指示していることが1日、分かった。ODA本来の目的は途上国支援だが、外務省幹部は「中国が国内総生産(GDP)で日本を抜いて世界2位になったのに、同じようにやるわけにいかない」と述べた。12年度予算編成に向け、同省内で6月ごろをめどに協力案件の絞り込み作業を行っている。
対中ODAのうち有償資金協力(円借款)は自民党政権時代の07年度に終了。無償資金協力(09年度実績13億円)と技術協力(同33億円)は現在も続いている。政府関係者は「環境対策や感染症対策などを中心に続けているが、交流事業などでODA以外の予算に入れられないか、精査している」という。
対中ODA見直しは、昨年9月の沖縄県・尖閣諸島沖の漁船衝突事件を受け、中国への世論が悪化していることも影響している。
ただ、外務省内では「中国への外交ツールとして必要。来年の国交正常化40周年に向けて関係を改善しようとしているのに、中国に誤ったメッセージを送らないか」との異論も出ている。【犬飼直幸】
【ついでに】

福井県丸岡町『そば処 まどか』のおろしそば。喫茶店を改造した外観・内装、並びでクリーニング店も経営するなど「風情」とは無縁の店だが、味はいい。麺は緑色に近い。値段は標準、量は標準より多い。