日本が設ける核障壁―インドとの原子力協定難航 |
先進諸国が次々インドと原子力協定を結び、また軍民両用技術の輸出解禁を進めるなど、戦略的に関係を拡大させる中、日本だけが自ら設けた「障壁」にぶつかり、動きが取れない状態に陥っている。
田久保忠衛教授から、『琉球新報』が最近やや詳しい記事を載せたと教えられた。下記、私の「直言」にある論点を裏付ける内容だと思う。
■インドを武器輸出緩和の対象にせよ―JINF今週の直言
http://island.iza.ne.jp/blog/entry/2130950/
琉球新報の記事(共同)と過去の参考記事(朝日)を引いておく。
琉球新報 2011年1月24日
日印 原子力交渉で対立
核実験再開めぐり 試される「非核原則」
日本がインドと進める原子力協定交渉で、インドが核実験を再開した時の対応や核開発につながる「機微技術」の移転禁止、使用済み核燃料再処理問題など日本が重視する主要争点をめぐり、双方の主張が真正面から衝突していることが23日、分かった。複数の交渉筋が明らかにした。
背景には核問題をめぐる両国世論の大きな隔たりがあり、交渉は難航、長期化する見通しだ。核拡散防止条約(NPT)未加盟のインドに対して被爆国の非核原則をどう貫くか、日本の姿勢が問われている。
交渉筋によると、インドは、自国の核兵器計画に支障が出ないことを担保する条項を協定に明記することを求めているが、日本は反対している。
一方、日本はインドが核実験を再開すれば協力を停止することを協定に明記したい意向だが、インドは拒否。このため日本は、インドへの原子力関連の禁輸を解除した原子力供給国グループ(NSG)が2008年にインドと合意した文書「約束と行動」に協定で言及する妥協案を示した。同文書には核実験凍結を継続するインドの意思が明示されているが、インドがこの案を受け入れる見通しも立っていない。
日本の資材、機材を使った原子力発電所から出る使用済み燃料をインドが再処理する権利も争点になっている。再処理されたプルトニウムは工程次第で兵器にも使える核物質になるため、日本は「再処理権」への同意に慎重だが、インドは全面的な事前同意を要求。日本が求める濃縮・再処理技術の両国間の移転禁止にも否定的だ。
交渉筋は「(日本とは別の意味で)インドも核に敏感な感情を抱いている。インドは原子力の世界で国際的に孤立してきた歴史があり、日印協定が自国のエネルギー主権や安全保障を脅かしてはならないとの思いが強い」と背景を解説する。
他方で、協定が発効すれば、米仏の原発大手と組む日本企業がインドの原発ビジネスに新規参入できるため、経済界には早期交渉妥結への期待感が強い。交渉は昨年6月に始まり、これまで計3回行われた。 (共同通信編集委員 太田昌克)
asahi.com
日印原子力協定締結交渉へ 政府、産業界要請で方針転換
2010年6月25日23時5分
菅内閣は25日、インドへ原子力発電の技術や機材を輸出するために必要な「日印原子力協定」の締結交渉入りを決めた。核不拡散条約(NPT)非加盟で核を保有するインドとの原子力協力にはNPT体制を弱めるとの懸念があり、日本政府は慎重姿勢だったが、インドに原発を輸出したい産業界などの要請を受け、方針を転換した。
岡田克也外相が記者会見で明らかにした。第1回会合は28、29両日に東京で行われる。2008年に「原子力供給国グループ」(NSG)が原子力関連の対インド輸出を解禁したことを受け、国際社会ではインドとの原子力協力の動きが活発になっていた。菅内閣は18日に閣議決定した経済政策「新成長戦略」で原発などのインフラパッケージの輸出を目標の一つに掲げており、菅直人首相が交渉入りを決断した。
岡田氏は会見で「中身次第だが、しっかり議論して迅速に締結を目指したいと考えている」と表明。ただ、核不拡散への取り組みの観点から「核実験についてどう考えていくか。今後の話し合いの中でしっかりと一定の歯止めを設けることができるようにしたい」とも述べた。核実験への制約を嫌うインドとの交渉が難航する可能性もある。(山尾有紀恵)
タンドリー・チキン一切れが載った皿の右、ナンの上はインド風釜飯。釜に入って出てきた。
店の入り口。インド人の昼食時間は遅めとのことで、席に着いた正午過ぎに空いていた店内が、帰る頃はかなり賑わっていた。