長島昭久議員の尖閣 「政治判断」 論 |
発売中の月刊『ボイス』12月号のインタビュー記事で、民主党の長島昭久衆院議員(前防衛政務官)が尖閣問題に関し、以下のような正論を述べている。事情に通じた人の誰もが指摘する重要なポイントである。
これは「アメリカは(日米安保条約)5条を適用するといってくれましたよね。では、尖閣が取られたから、アメリカ軍を派遣して下さい」という話ではないということです。……あくまでも日本が主、アメリカが従なのです。その前提があって初めて、アメリカは「安保条約第5条の適用」の話をしていると理解すべきです。つまり、日本が尖閣を取られたら、取り返す努力をして、初めてアメリカに「手伝ってくれ」といえるのです。
ところが、同じインタビューで、海保の巡視船に体当たりしてきた中国船長の扱いについて、長島氏はやや不可解な主張もしている。引用しておこう。
あえて反省を込めて今回の一連の事案を俯瞰すると、少なくとも3回熟慮するチャンスがあった。逮捕するか、しないか。勾留期限を延長するか、しないか。そして最後の局面です。
1回目の「逮捕」という判断は正しかった。最後の結論も、4人の人質が取られていましたから、苦渋の決断をせざるをえなかった。
そう考えれば、勾留期限延長のところで一つ政治判断をすべきだったかもしれません。格好悪い結果になり、政府が批判されることにもなったでしょう。しかし、そこで「検察の判断で」などとするのではなく、逆に「国民全体でこの恥ずかしい結果を受けとめ、『臥薪嘗胆』していこう」と、総理が国民に説明する場面が作られるべきでした。
まず、4人の人質を取られたから、船長釈放という「苦渋の決断をせざるをえなかった」というのは、日本には今後も大いに人質外交が効くという対外メッセージとなる。危うい発言と言わざるをえない。中国共産党といえども、日本人ビジネスマンにスパイ罪を着せ処刑できるはずもない、とここは開き直るべきだろう。
また、氏は、船長を逮捕したのはよいが検察に勾留期限延長を許したのが間違いで、その時点で法相に指揮権を発動させ船長を釈放すべきだったと主張しているようだ。
確かに、露骨に腰砕けになった上、検察に責任を押しつけた“逃げ菅”政権の態度よりは、その方が、責任を明らかにする分、ましだろう。が、「国民全体でこの恥ずかしい結果を受けとめ……」というのは、政治家から「国民」への新たな責任転嫁とも聞こえる。
長島氏は、掃きだめ(民主党)に鶴というべききわめて優秀な政治家だ。それだけに、ここは、「衝突ビデオをいち早く公開し、国際世論に訴えつつ中国船長(およびその背後の勢力)の責任を問うべきだった」という正攻法の主張で勝負してほしいところである。
【ついでに】
東京駅一番街ラーメンストリートにある『2代目けいすけ』の「伊勢エビそば」。器の上部が斜めに切れた形状。昼の11時台に訪れたところ、並ばずに入れた。ダシが伊勢エビの味で、エビ本体がどこかに隠れているわけではない。