米保守ティー・パーティー運動の「創始者」 |
下記コラムについて
アメリカの草の根保守運動「ティー・パーティー」が、11月の中間選挙が近付くにつれ、政治的影響力を増している。
この運動の発端は、経済評論家リック・サンテリが、2009年2月19日、シカゴ商業取引所(CME:Chicago Mercantile Exchange)のフロアからテレビカメラを通して行った激越なオバマ政権批判であった。
サンテリが、ボストン・ティーパーティーの現代版を展開すべしと呼びかけたこの「熱弁」(rant)は、繰り返し、テレビや保守系トークラジオで流され、私も10回以上は聴く機会があったと思う。
ティー・パーティーの動向は、日本の草の根保守運動を考えるに当たっても、色々と興味深い。
リベラル派(民主党)にとって脅威である反面、整った組織や明確な権限を持ったリーダーがいない中、既成保守(共和党)への不満から第三党運動に走り、結果的に保守の分裂・共倒れを招来するのでは、との危惧の声もある。
現在、米保守派が最も信頼する政治分析者の一人マイケル・バローンが、改めてこのサンテリ発言を振り返るコラムを書いていた(6月10日付)。古森義久氏の記事と合わせて、引いておく。
一部のみ訳しておけば、バローンはまず、「経済逼迫は大きな政府への支持を増やす、というニューディール史家の教えとは逆の現象をどう説明すべきか」と問いかけ、そのヒントが、俗な表現で本音を語ったサンテリの熱弁に見いだせるとしている。
すなわち、「一所懸命働きルールを守ってきた人間が、払えない借金をした人間の尻ぬぐいをさせられてはならない」という一般の常識的感覚に訴えたということである。
バローンに従って、サンテリ発言からいくつか抜き出しておく。
(住宅ローン返済困難者に対するオバマ政権の救済策を取り上げ)「政府は悪い行為を奨励している。……ここはアメリカだ! 余分のバスルームをもち、その支払いに窮した隣人のローンを、代わりに払ってやろうという人間が、一体この中に何人いるのか」
「単に水を飲むだけでなく、水を運ぶことができる人間に報いねばならない」
「キューバにはかつて邸宅群があり、比較的まともな経済があった。ところが個人から集団に移行し、その結果、人々はいまだに1954年製のシボレーに乗っている。デトロイトが生み出した最後の立派な車ではあるが」
「わが『建国の父たち』、ベンジャミン・フランクリンやジェファーソンのような人々は、われわれが今していることを見て、墓の中でひっくり返っているだろう」
「われわれは7月にシカゴ・ティー・パーティーをやろうと考えている」
アメリカの保守派は、何を保守するかについて、「建国の父たちの精神」をよく挙げる。日本でいえば、「維新の精神」に当たろうか。サンテリもその例に、自然に倣っているようだ。
産経新聞
2010年5月1日
■【緯度経度】ワシントン・古森義久 「茶会」の反オバマ政権の背景
「人種差別主義者の集まり」「自己中心の白人富裕層」「エリート層の貧者憎悪」-など、いまの米国でオバマ大統領支持勢力から最もどぎつい非難の言葉が浴びせられるのは、草の根の政治運動「ティーパーティー」である。
オバマ大統領自身も「ふざけるのはやめよう」とか「そんな運動があることはまったく知らない」と、こきおろす。
運動自体の内容に関心を引かれる前に、その運動への攻撃の激しさから逆にその内容に注意せざるをえなくなった。
大統領側がこれほど敵意をむきだしにする相手ならば、なにか重要な意味や威力を発揮する存在に違いない。
そんな感じの政治潮流がティーパーティーなのである。
米国の独立直前、イギリスの植民地支配の圧政に反抗してボストンの市民たちがイギリス商船の茶箱をボストン港に投げ捨てて、気勢をあげた事件にちなんだ命名の運動なのだ。
だから「茶会運動」とでも呼べるだろう。
今年度の納税期限の4月15日の「税の日」、首都ワシントンで開かれた茶会運動の大集会に集まった数千人の多くは、過激や憎悪というイメージからはほど遠かった。
いかにも温和にみえる普通の米国人らしい、わりに年配の白人の男女たちが多かったのだ。
昨年2月、オバマ政権が苦境に陥った民間企業のAIGやクライスラーに巨額の政府資金を投入し始めたころから米国各地ではティーパーティーと呼ばれる抗議集会が開かれるようになった。
政府が民間に大幅に介入する「大きな政府」リベラリズムへの反対だった。
だから明らかに保守主義を基盤とする動きだった。
この茶会運動を担う緩やかな組織のひとつ、「ティーパーティー・エクスプレス」が全米各地から首都への長いバス行進を始め、その終着が首都での「税の日」の集会となったのだ。
茶会運動はすでに実際の政治をかなり明確に動かしてきた。
リベラルの牙城マサチューセッツ州の上院議員補選で無名の保守派候補を当選させたのも、フロリダ州で共和党の現職知事が十分に保守でないとの理由で上院への転進にブレーキをかけられたのも、さらにはアリゾナ州の現職上院議員の大物ジョン・マケイン氏が保守に徹していないとの理由で再選に苦労させられるのも、みな背後での茶会運動の動きが大きいからだとされるのだ。
だが肝心の茶会運動の実態がどうも不明のままだった。
ところがその茶会運動も4月上旬になって実像をかなりの部分、表に出すようになった。
「全米茶会連盟」という組織の結成が発表されたのだ。
まず運動の目的が明示された。
「財政上の責任」「憲法で制限された政府」「自由市場」という3目標だというのだ。
つまりは政府が民間をある程度以上には規制も抑制もしない。
「小さな政府」を目指す、ということである。
そしてあくまで緩やかに連携を保つ連合体をうたいながら、参加や協力の諸団体の名前を多数、列記していた。
全体で千を超えるという団体のタイトルには各州、各都市の名やティーパーティーという語に加えて、「税制改革」「納税者連合」「自由機能」「家族調査」「保守主義リーダーシップ」「愛国者」「草の根連合」「政府の浪費反対」「立憲主権同盟」「アメリカとの契約」「自由市場繁栄」「レーガン保守主義」などという言葉があった。
なるほど茶会運動側が、政府による支出や規制をトラブルの解決策として優先するオバマ政権の施策を「社会主義」だと非難するはずである。
そして米国民一般の間で連邦の政府や議会への反発や不信がいまほど強いこともないという現状が4月中旬、ピュー調査センターの世論調査で判明した。
「ワシントンの連邦政府を信じられる」と答えたのが全体の22%で、この半世紀ほどで最低の数字だというのだった。
連邦議会に対しても同じ調査は支持25%、不支持65%という結果を示した。
こうした反ワシントンの潮流こそが茶会運動を生み、広げたといえるだろう。
となると、茶会運動が11月の米国の中間選挙に及ぼす影響はまだ計り知れないほど大きいということになろう。
National Review
The Transformative Power of Rick Santelli's Rant
Michael Barone
Thursday, June 10, 2010
……Democrats' big government programs are hugely unpopular. Economic distress has made Americans yearn not for more government but for less.
How to explain something contrary to the New Deal historians' teaching that economic distress increases support for big government? Clues can be obtained, I think, by examining what amounts to the founding document of the tea party movement, Rick Santelli's "rant" on the CME trading floor in
"The government is promoting bad behavior," Santelli began. The object of his scorn was the Obama administration's Homeowners Affordability and Stability Plan providing aid to homeowners delinquent on their mortgages.
"This is
Granted, the words are not as elegant as those of Thomas Jefferson or John Adams. But the thought is clear. Santelli was arguing that the people who, in Bill Clinton's felicitous phrase, "work hard and play by the rules" shouldn't have to subsidize those who took on debts that they couldn't repay.
This was both an economic and a moral argument. Economic, because subsidies to the improvident are an unproductive investment. We know now that very many of the beneficiaries of the administration's mortgage modification programs ended up in foreclosure anyway. Subsidies just prolonged the agony.
But it's also a moral argument. Taking money away from those who made prudent decisions and giving it to people who made imprudent decisions is casting society's vote for imprudence and self-indulgence. It mocks thrift and makes chumps out of those who pay their own way. We should, Santelli argued, "reward people that can carry the water rather than just drink the water."
While scarcely taking a breath, Santelli went on to denounce the administration's Keynesian economists, deployed to defend the huge spending in the stimulus package and in the budget the new administration was preparing.
"They're pretty much of the notion that you can buy your way into prosperity. And if the multiplier that all of those Washington economists are selling us is over one that we never have to worry about the economy again, that the government can spend a trillion dollars an hour because we'll get 1.5 trillion back."
The reference is to the argument made by administration spokesmen that every dollar of government spending would put something more than a dollar into the economy. Past research, including some by Obama's chief economist, Christina Romer, cast doubt on that theory.
Now we can check the results, and the research seems to have been right. The administration said the stimulus package would keep unemployment under 8 percent. It's been at 10 percent, rounded off, for 10 months now. About 95 percent of new jobs in May were temporary Census Bureau positions.
"
"If you read our Founding Fathers, people like Benjamin Franklin and
"We're thinking of having a