【漫画】テロリストに甘いオバマ政権―Good Cop, Good Cop |
下記ニュースについて
一般市民の無差別殺害を旨とするテロリストを、戦争犯罪人ではなく通常の刑事被告人として扱うのが「文明的」とするオバマ政権のナイーブな姿勢に批判が強まっている。
ジャネット・ナポリターノ国国土安全保障長官は、保守派からジャネット・インコンピターノ(Incompetano=“無能”ターノ)などと呼ばれている。
Janet Incompetano
グアンタナモ他のテロリスト収容施設から一般の裁判所(ニューヨーク等)に移送して裁判に掛けるというオバマ方針を実行すれば、アルカイダによる奪回テロを誘発しかねない。裁判所近くのビルにでも乱入して人質を取り、仲間の解放を要求すれば、テロ組織から見て宣伝効果は大きいはずだ。
一般の裁判となれば、被告側は権利として捜査資料の開示も要求できる。テロ組織にとっては、米当局の手の内を知る絶好の機会だ。
かつて、1993年世界貿易センター爆破テロ犯の裁判で公開された関係者リストにオサマ・ビンラディンの名前があり、ビンラディン側に警戒を強めさせた事例もある。
一つ漫画を紹介しておこう。オバマ氏の甘さを揶揄したものである。
【米デルタ機爆破テロ未遂犯の取り調べ風景】 Eric Allie, Dec. 30, 2009
捜査官「クリームか砂糖は?」
オバマ「よし。じゃ、俺が入って“優しい警官”を演じよう」
イザ!ニュース
「テロ対策は機能不全」オバマ大統領、強い憤り
2010/01/07 01:35更新
バラク・オバマ米大統領(48)は5日、ホワイトハウスに情報・治安機関の関係閣僚を招き、昨年末の米デルタ機爆破テロ未遂事件に関する調査報告を受けた。大統領はその後に声明を読み上げ、情報・治安当局が別々にテロ情報を把握しながら、組織として情報の共有、分析を怠ったことが今回の失敗を招いたと指摘。「破滅的な失敗につながりかねないシステムの機能不全があった」と異例の強い口調で不満を述べ、欠陥の洗い出しを週内に終えるよう指示したと述べた。
関係閣僚会合にはテロ対策などを担当するジャネット・ナポリターノ国土安全保障長官(52)のほか、ロバート・ゲーツ国防長官(66)、レオン・パネッタ中央情報局(CIA)長官(71)ら約20人が出席し、なぜ未然に事件を阻止できなかったのかについて、オバマ大統領に報告した。
「攻撃を阻止する十分な情報を持ちながら、情報当局は点と点を結びつけることに失敗した。受け入れがたいことであり、許容できない」
オバマ大統領は国土安全保障省やCIA、連邦捜査局(FBI)などが別々にテロ情報を入手しながら、連携を怠ったことでテロの阻止に失敗した経緯に強い憤りを示した。あまりの語気の強さに米メディアからは「情報・治安当局の一部責任者の辞任は不可避」との観測さえ生まれている。
声明によると、米情報当局はイエメンが拠点の国際テロ組織アルカーイダ系の「アラビア半島のアルカーイダ」が、米国でテロを実行する可能性を事前に把握していた。さらには爆破未遂事件の実行犯、アブドルムタラブ容疑者(写真)と「アラビア半島のアルカーイダ」が連携している事実も把握しながら、犯行の未然阻止には至らなかった。
米中枢同時テロの報告書でも関係機関の連携に問題があったことが指摘されており、同時テロの教訓を生かせずに情報集約、分析能力の問題が再び露呈したことは秋に中間選挙を控えるオバマ政権への大きな打撃ともなりかねない。
一方、オバマ大統領は、グアンタナモ米海軍基地のテロ容疑者収容所で国外移送を待つイエメン人の早期送還を見送る方針を示したが、収容所の年内閉鎖の従来方針に変更はないことを強調した。(ワシントン 犬塚陽介)
イザ!ニュース
釈放後に2割がテロ組織へ グアンタナモ収容施設
2010/01/07 10:23
ロイター通信は6日、米政府当局者の話として、キューバ・グアンタナモ米海軍基地の収容施設から釈放された元テロ容疑者のうち、国際テロ組織アルカーイダなどの武装組織に復帰しているケースが増え、約20%に達していると伝えた。
グアンタナモには2001年10月のアフガニスタン攻撃開始後、アルカーイダのメンバーら一時750人を超す容疑者が収容され、これまでに560人以上が釈放された。
国防総省の推定では、テロ組織への復帰率は08年12月には11%、昨年4月には14%だった。モレル報道官は同日の記者会見で、最新の比率は明かせないとした上で「(増加する)傾向は変わっていない」と認めた。(共同)
イザ!ニュース
米機爆破テロ未遂で容疑者を起訴 米連邦大陪審
2010/01/07 08:25更新
【ニューヨーク=松尾理也】先月25日に起きた米デルタ機爆破テロ未遂事件で、米連邦大陪審は6日、拘束されているナイジェリア国籍のウマル・ファルーク・アブドルムタラブ容疑者(23)を大量破壊兵器(爆発物)の使用未遂や殺人未遂など6つの罪で起訴した。
米司法省によると、それぞれの罪名につき禁固20年から最長で終身刑までが言い渡される可能性がある。同容疑者は現在、ミシガン州の刑務所に拘置されており、罪状認否のためのデトロイト連邦地裁への出頭は8日に予定されている。
起訴状によると、アブドルムタラブ容疑者は昨年12月25日、オランダ・アムステルダム発米デトロイト行きのデルタ航空機に、PETNと呼ばれる高性能爆薬を下着に隠して持ち込み、着陸寸前に爆発させようとしたが、他の乗客に阻止されて失敗に終わった。
起訴状の中には「テロ行為」との言葉は使用されていないが、ホルダー司法長官は「捜査は地球規模で現在も続いており、この事件に責任があるとみなされるいかなる者も、米国は軍事力を含むあらゆる手段を使って裁きにかける」と述べた。
産経新聞 2009年1月7日
【あめりかノート】ワシントン駐在編集特別委員・古森義久
■オバマ大統領への巨大な難題
なんとも落ち着かない暗い空気が米国社会に新たに広がってきた。
「クリスマスの攻撃」と称される12月25日のデルタ航空機爆破未遂事件が「テロリズムと米国」という重大な課題を国民一般に再び突きつけたからだ。
米国民や米国機を「アメリカだから」という理由だけで無差別に破壊しようとする試みに標的となる側がどう対処すべきかの自問が改めて巨大な不安の影を広げたのだといえる。
爆破を図ったナイジェリア国籍の青年が国際テロ組織、アルカーイダの意図を受け、本格的な無差別破壊活動に走ったことには疑問の余地がない。
しかも犯人側の最終の小さなミスがなければ、標的の旅客機は爆破され、300人近くの男女は確実に殺されていた。
オバマ政権側では犯人の父親から政府当局が事前に警告を受け、犯人が現金で航空券を買い、預ける荷物もゼロだったのに、対策がなにもとられなかったことが判明し、非を認めるにいたった。
ジャネット・ナポリターノ国土安全保障長官も保安措置の欠陥を認め、その改善への具体策を発表した。
だがいまの米国社会のテロ問題での不安は現政権の単なる「無能とか無理解」に対してではなく、「オバマ大統領がテロの脅威の本質を過小評価し、否定する」ことに対してだと、ベテラン政治評論家のチャールズ・クラウトハマー氏が指摘する。
事実、オバマ大統領は就任直後からまずグアンタナモのテロ容疑者収容所の閉鎖を決め、テロリストを自国の敵として軍事裁判で裁くことをやめ、一般の犯罪容疑者収容所に移す措置を発表した。
続いてテロ容疑者への「水責め」と呼ばれる「強化された尋問」を禁じ、逆にその尋問を実行した政府係官を刑事訴追する手続きをとった。
さらにはブッシュ前政権時代の「対テロ戦争」という概念に背を向け、テロは戦争という軍事行為ではなく、刑法違反という犯罪行為として扱う姿勢をみせた。
オバマ大統領のこの姿勢はブッシュ前政権の政策の強烈な否定でもあった。
ブッシュ政権は2001年の9・11テロに対し、国家としての固有の自衛権を発動し、戦争を宣言した。
オバマ氏はそれに対しテロの原因をまず考え、テロの実行犯や容疑者の人権を重視するという構えだった。
その構えの基礎は大統領選の最中にテロ対策に関連して、「私がイスラム世界に手を伸ばせば、彼らも理解し、米国の安全も高まる」と述べた相互理解への信奉にあるとされる。
だがブッシュ政権のディック・チェイニー前副大統領は今回のテロ未遂事件の後、「オバマ大統領は対テロ戦争に直面しているのに、テロリストに低姿勢をとり、米国民なみの権利を認めれば、戦争がなくなるというふりをしている」と酷評した。
ブッシュ政権時代の8年間近くには、米国内でテロが一件も起きなかったという自負をちらつかせる論評だった。
一連の世論調査では、オバマ政権の対テロ政策へのこの種の批判や不安は、共和党や保守派だけには限られないことが証明されている。
テロへの対応はテロの本質をどうみるかに当然、発する。その背後には、人間をどうみるかという究極の課題さえ浮かびあがる。
話しあえば、合意できる。理解を示せば、衝突は遠ざかる。
オバマ氏の思考はそんなふうなのだろう。
だがその思考が現実の試練にさらされ、国内テロ対策が医療保険改革、アフガニスタン、イランなどと並んで、オバマ大統領への巨大な難題となってきたようだ。