誤った温暖化認識に立つ「鳩山イニシャティブ」の愚 |
下記ニュースについて
鳩山政権が、気候変動に関する誤った認識のもと、「鳩山イニシアチブ」と称して、差し当たり1兆7500億円を海外に差しだそうとしている。
帽子の P が「パー」の略に見えてくる…
鳩山由紀夫氏や、民主党で環境問題の責任者を務めた福山哲朗外務副大臣らは、IPCCすなわち国連の「気候変動に関する政府間パネル」(Intergovernmental Panel on Climate Change、IPCC)の報告書を、ナイーブにも、確立された科学的真理のように受け止めている。
その上で彼らが、これまたナイーブに、犠牲を伴っても日本が温暖化ガス削減で「リーダーシップ」を果たすべきなどと前のめりに走るなら、日本国民の税金は止めどなく海外に流出し、日本企業は競争力を失うことになろう。
しかし、IPCC報告書、特にその「政策決定者向け要約」は、意図的な“政治的要約”として、つとに悪名高いものだ。要点を列記しておこう(第1作業部会、2007年2月)。
・気候システムの温暖化には疑う余地がない。
・二酸化炭素は最も重要な人為起源の温室効果ガスである。
・工業化以後における大気中の二酸化炭素濃度上昇の主要な原因は化石燃料の使用である。
・20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほとんどは、人為起源の温室効果ガスの増加によってもたらされた可能性がかなり高い。
・温室効果ガスの排出が現在以上の割合で増加し続けた場合、21 世紀にはさらなる温暖化がもたらされ、世界の気候システムに多くの変化が引き起こされるであろう。その規模は20 世紀に観測されたものより大きくなる可能性がかなり高い。
原文は下記サイトにある。
■A report of Working Group I of the
Intergovernmental Panel on Climate Change
Summary for Policymakers
http://www.ipcc.ch/pdf/assessment-report/ar4/wg1/ar4-wg1-spm.pdf
気象庁による翻訳は下記。
■IPCC 第4次評価報告書第1作業部会報告書
政策決定者向け要約
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/ipcc/ar4/ipcc_ar4_wg1_spm_Jpn_rev2.pdf
アメリカの保守派は、今や一致して、人的起源の温暖化説を「でっち上げ」(hoax)と一蹴している。そのことは、本ブログでも何度か紹介した。
彼らは、エネルギーの効率使用や有害物質の排出規制は支持しても、米国民の自由な生活や経済活動にマイナスとなるようなCO2規制には真っ向から反対している。CO2を「有害物質」と規定することにももちろん反対だ。
私も関係する国家基本問題研究所などでは、同様の主張を展開しつつあるが、日本の保守派の動きははっきり言ってまだ鈍い。
このままでは、保守派パワーの差で、アメリカは“環境全体主義勢力”からの不当な負担要求をかわしきり、日本はつかまって絞られる、という展開になりかねない。
温暖化政治で、国際社会は日本はカモと見ている。“友愛”鳩山はカモ中のカモだ。
今後も、適宜この問題を取り上げていきたい。
読売新聞
2009年12月17日13時24分
日本、1兆7500億円拠出へ…COP15
【コペンハーゲン=読売取材団】国連の気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)に出席している小沢環境相は16日、記者会見し、途上国支援の「鳩山イニシアチブ」として2012年までの3年間で、すべての主要国が公平で意欲的な削減目標に合意することを前提条件に総額約1兆7500億円(約195億ドル)を拠出すると発表した。
協議は議長国デンマークによる政治合意の新案が途上国の反対で、提示できないまま難航している。日本は巨額の支援をテコに、協議の打開を促したい考えだ。
1兆7500億円のうち、約1兆3000億円(約145億ドル)が公的支援。気候変動対策を目的とした国際的な基金への資金拠出などを想定している。残りは民間資金を活用する。日米と欧州連合(EU)は、途上国も参加する温室効果ガス削減の枠組み作りに向けて途上国から譲歩を引き出すため、12年までに年100億ドルの途上国支援策を3者で分担して行うことでほぼ合意しており、日本はこの相当部分を担うことになる。
小沢環境相は支援実施にあたって、「COP15で、すべての主要排出国による意欲的な削減目標を盛り込んだ公平かつ実効性のある温室効果ガス削減の大枠を決める政治合意ができることが条件」と述べた。また、「条件が整わなければ、(日本の支援は)国際公約としての意味を失う」と強調した。
日米英仏など6か国は16日、途上国での森林保護のために35億ドルの資金支援策(12年までの3年間)を行うことでも合意した。このうち、米国が10億ドル、日本は鳩山イニシアチブとは別に5億ドル程度を負担する。
交渉は16日、デンマークが、新たな政治合意案を「まもなく出す」と発表したものの、17日朝まで提示できていない。16日までCOP議長を務めたデンマークのコニー・ヘデゴーCOP担当相は同日、議長を突然辞め、ラスムセン首相が引き継いだ。唐突な議長交代は、デンマークが提示を試みた政治合意の新案が協議の紛糾を招いたことが絡んでいるとの見方がある。英BBC放送は16日、ブラウン首相が「コペンハーゲンで政治合意が達成できないかもしれない」と認めたと報じた。ロイター通信によると、中国代表も「実効力のある合意は困難で、短い宣言を出すだけで終わるだろう」と語った。