金正日の拉致指令とベトナム戦争の関連 |
金正日が、従来の工作活動は成果ゼロと総括、「工作員の現地化教育を徹底せよ。そのため、現地人を連れてきて教育に当たらせよ」という拉致指令を出したのが1976年初めである。その後、77年、78年に拉致事件が集中的に起こっている。
昨日の国際シンポジウムで、元駐日韓国公使の洪熒(ホン・ヒョン)氏が興味深い指摘をしていた。
すなわち、ベトナム戦争が、米軍撤退を経て、1975年4月30日にサイゴン陥落、北による南の吸収統一という共産側勝利に終わったことで、金正日としてはかなりの焦りを覚えたはずだ。それが強引な外国人拉致を発想させた。
なお、北による韓国漁船の拿捕は、1967年、68年に最も多く発生している。これも、洪熒氏によれば、海上での緊張を激化させ、第2戦線の形成で北ベトナムを間接的に支援するという共産側の戦略が窺える。
傾聴に値する見解だと思う。