政治的チャンスを空費する渡辺喜美氏 |
自民党の渡辺喜美・元行政改革担当相が、24日、民主党提出の「衆院解散を求める決議」に、党の方針に造反、賛成した。
が、その後の渡辺氏の記者会見を見て、呆れざるを得なかった。
政策の話が全くなく、「党の前に国家国民がある」「閉塞感を打破するには解散総選挙しかない」といった曖昧なキャッチフレーズが並ぶばかりだったからだ。国民を舐めているとしか思えない。
「自分は行政改革に政治生命を掛けてきたが、麻生首相は骨抜きにするばかりだ。座してみているわけにはいかない」とでも言えば、反乱の動機も理念もはっきりするはずだが、せっかくニュースの時間帯に政策・政治理念を説明する機会を得ながら、いとも無造作に空費してしまっている。
行政のムダを厳しく批判してきた渡辺氏だが、政治的チャンスのムダには無感覚なようだ。
加藤紘一への敬慕を公言する後藤田正純のような間の抜けた議員を、側近兼飲み友だちに重用している辺りにも軽さが感じられる。
渡辺氏は、適度の注目を楽しみつつ満を持して立つつもりかも知れないが、山花貞夫(旧社会党)の二の舞ともなりかねない。
山花は、社会党の枠を超えた「リベラル新党」の結成を模索しつつ、なかなか決断できず、ようやく意を決して仲間と離脱届を出そうとした日の朝に阪神・淡路大震災が発生(1995年1月17日)、混乱の中で新党結成は立ち消えとなり、失意の内に世を去った。
渡辺氏のこの日の造反も、夜のニュース以降は、元タレント飯島愛さん死亡の報にかき消されがちだった。
いざ決起という日に、大物タレントに関する大事件でも起これば、渡辺氏の満を持した会見も簡単に吹っ飛ぶだろう。いまある機会をムダにすべきでない。
【渡辺元行革相会見詳報】(1)「私の持論…閉塞感打破には解散総選挙」
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/081224/stt0812241631006-n1.htm