国際原子力機関・事務局長の「米朝合意」批判 |
下記ニュースについて
こうした国際原子力機関(IAEA)事務局長の「米朝合意」批判の声は、日本政府が、外交上、大いに利用すべきものだ。
麻生首相は、IAEAの次期事務局長選挙に、日本から候補(天野之弥ウィーン国際機関代表部大使)を立てる意向を公にしている。
IAEAの存在意義を高めるような行動(すなわち米朝野合の不承認)を通じて支持を集めるという王道を進んでもらいたい。
アメリカや中国に賛成票を投じてもらうため、米朝合意に同意しようといった本末転倒の外務省的発想に引きずられてはならない。
存在意義を掘り崩された機関の事務局長ポストを取っても(外務官僚は天下りポストが増えて喜ぶだろうが)、より一層資金提供を求められるぐらいで、何ら国益に寄与しない。
韓国紙・朝鮮日報(日本語版)
2008/10/18
核問題:IAEA事務局長、米朝合意に不満示す
今月初め、米国と北朝鮮が合意した核開発計画の検証に関する合意書について、国際原子力機関(IAEA)のモハメド・エルバラダイ事務局長(写真)が韓国政府の関係者と会った際に不満をあらわにしたことが、17日明らかになった。
外交消息筋によると、エルバラダイ事務局長は今月13日、オーストリアのウィーンで韓国政府の関係者と会い、「核開発計画の検証に関する米朝両国の合意書では、IAEAの役割が“相談と支援”に限定されているが、これは好ましいことではない」と話したという。世界の核問題に関し、最も権威が認められているIAEAが、実質的な検証の場から排除されていることに対し、不快感をあらわにしたのだ。
エルバラダイ事務局長はまた、6カ国協議で米国側の首席代表を務めるクリストファー・ヒル国務次官補の交渉のやり方に対しても批判的な考えを示し、「核開発計画の検証の方式は、北朝鮮が“メニュー”のように選ぶものではない」という趣旨の発言をしたという。
このようにIAEAが不満をあらわにしたのは、米朝両国の合意が「原則」に基づくものではなく、政治的な「妥協の産物」であり、これによって自らの役割が縮小したという認識を持っているためだ。米国をはじめとする6カ国協議の関係国はこれまで北朝鮮に対し、IAEAの基準に基づく未申告の施設への強制査察を求めてきたが、結局、「北朝鮮の同意を得て」査察を行うという方向へ一歩後退することになった。柳明桓(ユ・ミョンファン)外交通商部長官は最近、「IAEAの特別査察は、相手が同意しなくても査察を行える権限を有しているが、6カ国協議の枠組みではそこまで実現できなかった」と述べた。
北朝鮮の核問題をめぐっては、これまでIAEAの「原則」と6カ国協議関係国の「政治」が対立するケースがたびたびあった。韓国政府の関係者は「IAEAの活動は、すでに確立した規定に従ったものであるため、融通が利かない。このため、北朝鮮はIAEAが介入することに強い拒否感を示し、それによって交渉に臨むべき米国もIAEAと対立してきた」と話している。6カ国協議で「検証(verification)」という用語を使うのも、北朝鮮がIAEA式の「査察(inspection)」という用語に拒否感を示してきたためだとされている。
任敏赫(イム・ミンヒョク)記者