危うい高村外相の「主張」およびライスとの「一致」 |
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高村外相が、北朝鮮の核申告について、「具体的な検証の方法を定め、早く検証にとりかかることが必要だ」と主張し、ライスとの会談でも、「実効的な検証方法で合意し、早期に実行できるよう日米両国が連携していくことで一致」したというが、力点の置き所を誤っているのではないか。
これでは、米朝の欺瞞的合意を追認することになりかねない。「北朝鮮の朴宣春外相は特に反論はしなかった」らしいが、北にとってはありがたい展開だから当然だろう。
本日、全文(英語版・日本語版)公表予定の、「拉致議連・家族会・救う会」米国議会あて書簡から、一節を引いておく。
今や、北朝鮮の核申告が「完全かつ正確」からほど遠いことは、誰の目にも明らかである。プルトニウムの量についてのみ申告があったが、核兵器製造施設の場所など極めて重要な情報が抜け落ちている。ウラン濃縮の実態や核拡散についても何ら申告がなされていない。こうした露骨に「不完全」な申告を受け入れた上で、それが「正確」かどうかの検証手続きを議論するというのは欺瞞でしかない。
6カ国協議外相会談 高村外相「早期に検証着手を」
08/7/24 01:37更新
【シンガポール=阿比留瑠比】北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議参加国の外相が23日夕(日本時間同)、シンガポール市内のホテルで初めて一堂に会し、非公式会合を開いた。高村正彦外相は北朝鮮の核申告について、「具体的な検証の方法を定め、早く検証にとりかかることが必要だ」と主張し、北朝鮮を除く各国外相も検証の重要性を指摘した。これに対し、北朝鮮の朴宣春外相は特に反論はしなかったという。
また、高村氏は「拉致問題を含む日朝関係の進展が必要だ。まだ当面の約束対約束の段階であり、行動対行動の段階に早く移すことが必要だ」と述べた。これに関連し、米国のライス国務長官は「拉致は悲惨であり、北朝鮮が調査を通じて真相を究明し、解決に向けた行動をとる必要がある」と言及した。
一方、日本が拉致問題の進展がない限り行わないとしている北朝鮮へのエネルギー支援について、参加国から直接的な言及はなかった。この問題に関しては、朴氏が「他の当事者の義務も検証が必要だ」と述べ、北朝鮮の核申告に対応した各国のエネルギー支援は義務であるとの認識を間接的に指摘するにとどまった。
一方、この点について北朝鮮のスポークスマンは会合後、「今回の会議が推進力となり、さらなる参加国の義務の履行を促すことを期待している」と述べた。
また、会合後の帰り際、高村氏が隣席の朴氏に「諸懸案を解決して日朝関係を進めましょう」と話しかけたところ、朴氏は「同意する」と短く応じたという。
外相会合の意義について高村氏は同夜、記者団に「北朝鮮を含む参加国が、こういうことが必要だと外相レベルで改めて確認した」と強調した。ただ、外相会合は実務者による協議の場とは異なるため、具体的な検証方法などに踏み込む話はなかった。
これに先立ち、高村氏はライス氏と会談し、北朝鮮の核申告に関し、実効的な検証方法で合意し、早期に実行できるよう日米両国が連携していくことで一致。また、ライス氏は拉致問題にかかわる日朝協議が進展するよう、北朝鮮に働きかけていくことを約束した。