「放置国家」 日本を象徴する寺越事件 |
今日は金沢を訪れ、北朝鮮をめぐる動きについて1時間弱の報告を行った。「救う会石川」が主催し、石川県が後援した講演会である。
数年前に建てられた石川県庁19階の展望ロビーが会場で、非常に眺めがよい。
家族会の寺越昭男さん(石川県在住。父・昭二さんが拉致被害者)や特定失踪者・安達俊之さんの母、道子さんも招かれていた。
石川県選出の国会議員には、遺憾ながら、拉致問題に真剣に取り組もうという人はいないようだ。森喜朗(しんきろう)氏も、もちろんその一人である。
13才で拉致された日本人被害者は、横田めぐみさんだけではない。1963年、漁船で操業中、叔父二人とともに拉致された寺越武志さんも、当時13才の少年だった。
以来45年近く、武志さんは、北朝鮮にいることが確認されていながら、祖国の政府から見捨てられてきた。「放置国家」日本を象徴する存在と言える。
森喜朗氏の感覚では、まあ北でそれなりに暮らしているようだからよいではないか、波風立てて得する者はいない、ということなのだろう。それゆえ、武志さんらは北に「海難救助」されたというフィクションを積極的に受け入れてきた。
13才の少年を真剣に救おうとしない政治家が、13才の少女を真剣に救おうとするはずがない。
武志さんの叔父二人、寺越昭二さん、外雄さんも、それぞれ拉致当時、36才、24才とまだ若かった。寺越事件とは、日本人青年二人と少年一人が、北朝鮮当局によって将来を奪われた国家犯罪に他ならない。
日本政府は、速やかに寺越事件を拉致認定すべきである。森喜朗氏の顔よりも、国の名誉と国民の命の方が大事だ。