五百旗頭真氏 「拉致なんて、あんな小さな問題を……」 |
下記は、以前から「日本教育再生機構」(八木秀次理事長)のウェブ・サイトに載せてあるコラムだが、ここにも転載しておく。
福田首相の、外交政策に関するブレーンNO.1は五百旗頭真・防衛大学校長らしい。首相が発足させた「外交政策勉強会」の座長も同氏だ。
五百旗頭氏の外交史研究からは、私も多くを学んできたが、下記でも触れたように、氏の、拉致問題に関する姿勢(「拉致なんて取り上げるのは日本外交として恥ずかしいよ。あんな小さな問題をね」)や、日本の名誉がかかった問題についての発言には首肯しがたいものがある。
類は友を呼ぶ。
事なかれ主義者・福田氏の今後の外交に、危惧の念を覚えざるを得ない。
「教育再生」に向けた提言[12]
島田洋一
(安倍)政権誕生から4日目の9月29日、首相官邸において、安倍晋三首相、塩崎恭久官房長官はじめ政府「拉致問題対策本部」関係者と拉致被害者「家族会」、「救う会」役員による懇談会が行われた。
終了後、横田早紀江さんが記者団に対し、首相が思わず涙した場面が大変印象的だったと語っていた。
実は私もその場にいて、強い衝撃を覚えた一人である。私の記憶では、あれは出席者が一通り発言し、司会役の中山恭子補佐官が首相に再度コメントを求めた時だった。
いつも通り話し出した安倍氏が、「五人の被害者の方がタラップを降りてきた時の喜びを、他の皆さんにも味わわせねばならない、今は私がその責任をもつ立場にあります」という段になって突然声を詰まらせた。
すぐ持ち直したものの、テーブルを囲んでいた約20名のみならず、壁際に椅子を並べメモを取っていた多くの政府関係者にも、首相の決意と責任感がこの上なく明確に伝わったはずだ。
官邸から帰る道すがら、全く対照的な場面が脳裏に甦ってきた。
5,6年前、後輩の結婚披露宴直前の控え室でのことである。話が拉致問題になり、五百旗頭眞氏(現・防衛大学校長)が興味なさげに次のように語った。
「拉致なんて取り上げるのは日本外交として恥ずかしいよ。あんな小さな問題をね。こっちは、はるかに多くの人間を強制連行しているのに」。
私が「救う会」に関わっているのを知る何人かが、一瞬身を堅くするのが分かった。反駁しようかと思ったが、場が場だけにグッと押さえた。それだけに一層不快な記憶として残っているのだろう。
その後五百旗頭氏が認識を改めたことを望むが、次代の国防を担う若者たちが、「拉致なんてあんな小さな」という空気のもとで教育されてはならないと思う。
安倍首相を突き上げた思いが、できるだけ広く深く教育の場に浸透していくよう願っている。
DATE: 2006-10-26