イスラエルのシリア空爆--もう一つの論点 |
9月6日にイスラエルがシリア領内の核疑惑施設を空爆、それを契機に、シリアと北朝鮮の秘密核協力をめぐる報道が相次いだことは周知の通りだ。
この問題がライス・ヒル宥和路線に一定のブレーキを掛けたことも間違いない。
ただ、あまり指摘されない重要論点がある。
イスラエルは、脅威となる敵性国家(シリアも北朝鮮同様、世襲の専制体制)の核兵器開発を、空爆という武力行使によって阻止したわけである。今後も必要に応じて、同じ行動を取るだろう。
一方、日本は北朝鮮に対する軍事オプションを自ら放棄してしまっている。
実際使うかどうかは別にして、単独軍事行動というオプションが日本にあれば、「ブッシュ政権が、北の核保有を黙認するような宥和路線を進めるなら、日本は脅威を取り除くため軍事行動に出ざるを得なくなる」という対米圧力、牽制にもなるはずだ。
北は今この瞬間にも核兵器製造を続けている。
北が核兵器の大増産をやめるなら、数発程度の保有は黙認し、拉致を含む人権問題も棚上げする、経済支援も行うというライス・ヒル路線は、日本にとって到底容認できるものではない。