《実例》国際会議での「拉致vs慰安婦」論戦 |
下記は、約2年前、月刊誌『正論』に載せた旧稿である。
米海軍系シンクタンク主催の国際会議において、私が拉致問題に関して報告をしたところ、韓国政府系の研究者やリベラル派のNGO代表らが、「慰安婦問題」を盾に反論してきたシーンなどにも触れてある。
『正論』2005年6月号
韓国政府の反日「演出」の意図と日米韓同盟崩壊の悪夢
島田洋一(福井県立大学教授)
盧武鉉に見るモラル崩壊
「愛国無罪」というまさに「極右」的スローガンのもと繰り広げられる中国の政府公認反日暴行のひどさを見ていると、ついつい韓国はまだ大人だ、落ち着きがあるという気にさせられる。
が、これは下には下があるというだけの話で、盧武鉉政権とそれを支える層におけるモラルの崩壊、軽薄さ、羞恥心の欠如は、やはり驚くべき水準にある。
そして、これは悪化こそすれ、改善の見込みはないだろう。この数カ月、訪米、訪韓などを通じ、さまざまな事態を実見し、多くの人々と意見交換する中でそう感じた。
私は、北朝鮮による拉致被害者を「救う会」の活動に参加しており、また、先に検定を通過した扶桑社『新訂・新しい公民教科書』の監修者でもある。
テロ国家に囚われた同胞の救出も、進歩派イデオロギーに毒された教科書の正常化も、いずれもそれ自体として重要な課題であるが、さらにいえば、伝統的価値の崩壊を防ぎつつ、正義を実現できる力を持った国家の確立を目指すという日本の保守革命を追求していく中で、両者は必然的に連動してくるものだと思う。
盧武鉉大統領を中心とする韓国の親北左翼勢力は、これらの課題に対し、常に妨害者として立ち現れてきた。その傾向は最近ますます露骨になってきている。
まず、拉致問題については、経済制裁を中心とした北朝鮮への圧力強化に反対するだけでなく、逆に圧力を中和するような対北支援を行い、拉致被害者に関し重要情報をもつと思われる脱北者を抱え込み表に出さないなどの形で、救出運動を妨害し続けている。
盧武鉉支持者に対し、韓国は日本より遙かに多い拉致被害者を出しているのに、なぜ真剣に北に迫らないのかと訊くと、「韓国は遙かに多い被害者を出しながら我慢しているのに、なぜ、日本はこんなに騒ぐのか」といった倒錯した答えが返ってきたりする。
そう語る当人は、もちろん何も我慢してはいない。北を刺激して緊張が高まり、ワイン片手に他愛ない話に耽る生活が脅かされるのを懸念しているだけだ。
我慢を強いられているのは、被害者およびその家族であるが、そうした同胞の痛みは、盧武鉉支持者の目には入らない。まさにモラルの崩壊を典型的に表す情景である。
最近、盧武鉉氏が、日本人拉致について「理解はするが、日本が過去に朝鮮人民に対し遙かに大きな被害を与えたことも考えるべきだ」という趣旨の発言をした。拉致問題を相対化、矮小化し、できれば日本も太陽政策に引き込み、北に援助金を出させたいという思惑に発したものだろうが、拉致と「日本の過去」を絡めるこうした発言は、韓国の進歩派から様々な機会に出てくる。
拉致問題も、歴史・教科書問題も、いずれも保守革命の重要な一環と述べたが、相手が両者を絡めてくる以上、現実の戦いの場でも、拉致戦線と教科書戦線は連動せざるを得ないのである。
国際会議の場での拉致と慰安婦
私自身が体験した最近の実例を挙げよう。
3月初め、ホノルルにある米海軍系のシンクタンク、アジア太平洋安全保障研究センター(APCSS)が主催する会議に招かれ、3日間にわたる討議に参加してきた。
出席者は米韓両国が中心で、米側が、米軍の制服組、ペンタゴンや国務省の東アジア担当者、朝鮮問題の研究者や国際援助NGO代表など十数人、韓国側が、政府系シンクタンクや大学の研究者、ペンタゴンに近い軍事問題専門家、韓国系の在米研究者などやはり十数人、それに、中国、ロシア、日本から各一人ずつが加わるという構成であった。対北強硬派が中心のペンタゴンとは、かなり立場を異にする人も含まれていた。
私は「周辺諸国から見た南北の和解と協調」と題したセッションで、拉致問題の現状、日本の制裁関連法などについて報告し、「制裁は金正日に対するメッセージではない。制裁は、金正日の周囲にいる人間へのメッセージである。すなわち、『あの男を除去せよ。そうすれば、制裁の解除だけではなく、日本から多額の援助も期待できるだろう』」と述べて締めくくった。
ペンタゴン、米軍からの出席者は、おおむねボディー・ランゲージで同意を表してくれたが、中国人、ロシア人ゲストの報告も終わり、全体討議に入るや、北への「人道支援」に当たっているというアメリカのNGO代表や太陽政策派の韓国人研究者等から、「日本は拉致問題にこだわり、何かというと拉致を前面に出し制裁などというが、過去に慰安婦問題などで朝鮮人民にきわめて大きな苦痛を与えたことを忘れるべきではない。むしろ和解の精神で、北への支援に乗り出すべきだ」「植民地支配で計り知れない被害を朝鮮人民に与えた日本に、拉致問題で北を厳しく追及する資格があるのか、正直言って疑問に思う」などの批判的コメントが相次いで出た。
私はそれに対し、次のように答えた。
慰安婦問題も含め、歴史に関する韓国や北朝鮮側の言い分には、多大の誇張や歪曲があるが、時間の関係もあり、ここでは踏み込まない。
韓国側発言者に聞きたいのは、日本の資格云々は別にして、少なくとも歴史的に何の負い目もない韓国人は、同胞の拉致を北に対し厳しく追及する資格をもつはずだろう。なぜやらないのか。
米側発言者には次の質問をしたい。仮に、訳の分からぬアフリカの独裁者が、多くのアメリカ市民を拉致し、その上で、「アメリカはかつてアフリカから遙かに多くの黒人を拉致して奴隷にした、長い間差別も続けた。お互い様だ」と開き直ったとする。アメリカ人は納得するのか。
この種の討論で時間のある際は、慰安婦問題に関し、次のように付け加えることにしている。
韓国人は血の気の多いエネルギッシュな民族だ。もし、日本軍が手当たり次第に若い女性をトラックに乗せ、連れ去ろうなどとしたら、朝鮮人の父や兄たちが、娘や妹を守るため必死になって抵抗し、至るところ流血の事態に至ったはずだ。ところが、そんな報告はなされていない。事実を曲げてまで、自分たちの祖父や父の世代が腰抜けだったと世界に宣伝する愚行はやめるべきだ。
中身に立ち入った反論が不可欠
3月中旬に一週間ほどソウルに滞在した際、ちょうど島根県議会が「竹島の日条例」を通過させた。これに対し、人事権を握られ、常に時の政府の意向を伺うテレビ局は仕様がないとして、日頃政権に批判的な『朝鮮日報』『東亜日報』等の大手新聞までもが、今にも日本が島を奪いに来ると言わんばかりの扇情的見出しを連日掲げていたのには呆れた。
直後に訪韓したライス米国務長官に対し、盧武鉉氏は、会談時間のかなりを割き、竹島問題や教科書「歪曲」に関し、強く日本の非を鳴らすレクチャーを行ったらしい。会談の模様について、『東亜日報』(電子版)4月13日付に興味深い記事が出た。
「日本の右傾化、軍国主義の風潮が憂慮される」(韓国政府当局者)
「日本は民主主義の国だ。そのような方向に進むことはない。そのような見方は、中国の偏執症的妄想(paranoia)だ。韓国はあまりにも中国の見方で日本を見ているのではないか」(米国務省関係者)
3月下旬、ライス米国務長官の訪韓の際、韓国政府当局者と米国務省関係者が交わした対話の内容だ。盧武鉉大統領が、ライス長官に韓日関係史を「講義」したちょうどその時だ。
私が仄聞したところでも、ライス長官は、盧武鉉氏のレクチャーに相当いらだちを感じたらしい。
昨年、韓国外相が訪米し、対北融和政策の意義について4,50分に及ぶ「説明」をした際、パウエル国務長官は最後まで我慢して座っていたが、ライス大統領補佐官(いずれも当時)は、10分ほど経過したところで「ちょっと失礼」と席を外し、かわりにハドリー副補佐官(現補佐官)が入ってきて、「残りの時間、拷問に耐えた」という話を、やはり米側関係者から聞いたこともある。
その後、日本の中学校教科書検定結果が発表される前後から、韓国政府や大手メディアは、竹島を日本領とする記述が入っているとして、扶桑社公民教科書を許し難い「歪曲」教科書だと糾弾し、日本は反省のできない憐れな国である旨、今後、大統領が先頭に立って国際的に訴えていくと宣言した。
そして実際、たとえば4月6日、ジュネーブで開催中だった国連人権委員会の席上、韓国の崔革・駐ジュネーブ代表部大使が、「日本は、第二次世界大戦期間に強制動員と軍慰安婦のような深刻な人権蹂躙を犯した。しかし最近、日本の歴史教科書は、このような事実を歪曲・削除している」と批判し、「元軍慰安婦の女性たちが亡くなる前に、日本が過ちを改めなければならない。そうしなければ、取り返しのつかない歴史の羞恥を残すだろう」と日本非難を展開したという。
肝心の国連人権委員会における北朝鮮非難決議を、今年も棄権で逃げた韓国政府を、各国の人権NGOは憫笑している。が、こちらは「歴史の羞恥」の範疇に入らないらしい。
ともあれ、本題と無関係な韓国側の言いがかりに対し、日本の嶋秀展代表が、「日本はこれまで、歴代首相や官房長官の公式声明を通じ、過去の問題に対する真の謝罪と遺憾の意を明らかにしてきた」と反論し、崔大使が、「日本政府は、軍慰安婦問題が法的に解決されたと主張して、それに関連した歴史的人権侵害の事実を歪曲・削除した歴史教科書を認めることで、韓国国民を再び失望させた」と再反論したという(『東亜日報』4月7日付)。
韓国政府が、今後も同様の日本非難を積極的に展開するという方針を打ち出している以上、従来の日本側当局の「反論」は明らかに弱すぎる。気の進まない話題ではあるが、「慰安婦」や「強制連行」の実態に立ち入って、相手の議論の虚偽を突く必要があり、政府は、そのための論点整理や英文パンフレット作りなどを急がねばならない。
在韓米軍撤退は日本の国益に適う
盧武鉉氏自身は、日米、日韓関係を悪化させ、北の利益に奉仕するといった明確なエージェントとしての意識で動いているわけではなく、一言でいえば、軽薄な左翼ということであろう。
竹島・教科書騒動も、大統領を中心とする韓国政府が煽り立てているという様相が濃い。が、軽薄という要素だけですべてを説明するのは危険だろう。韓国政府内部および周辺に、盧武鉉氏の軽薄さを利用し、米韓同盟、日米協力関係を掘り崩そうと自覚的に動いている勢力の存在が見え隠れするのである。
盧武鉉氏は、3月23日、「皆さんが感じている怒りと重苦しさを、少しでもほぐして差し上げようとこの文を書きます」といった文章で始まる、場末の文学青年風の国民向けメッセージをホームページに掲載した。
「われわれは、心配な気持ちを抑えて、言いたいことをこらえてきました。韓日関係の未来のためにでした」、しかし、「今やこれ以上黙過できない事態に至ってしまいました」「日本の島根県が『竹島の日』と宣布した2月22日は、百年前日本が独島を自分の領土に編入したまさにその日です。まさしく、過去の侵略を正当化し、大韓民国の光復を否認する行為です」「歪曲された教科書が再び生き返ろうとしています。これもまた、侵略の歴史を正当化する行為です」などと稚拙な歴史認識を披瀝し、ため息が出るほどひどい国日本との長く苦しい戦いを、品位をもって戦い抜きましょうと訴えている。
が、私のソウル滞在中に会った韓国人の中に、「これ以上黙過できない」ほど日本に対する「怒りと重苦しさ」を抱えた人は一人もいなかった。「竹島の日条例」通過の数時間後、メディアの報道ぶりによると最も緊迫しているはずの時間帯に日本大使館前に行ってみたが、抗議活動をしているグループは15人程度、それを50人以上の記者・カメラマンが、手持ちぶさたに包囲していた。一歩、大使館前の道路を離れた街中は、まさに平常通りの一言である。盧武鉉氏の国民向けメッセージは、独り猿芝居という他ない代物であった。
が、その前日、3月22日の陸軍第三士官学校卒業式での大統領演説となると意味合いが違う。
盧武鉉氏は、「北東アジアのバランサーとしての役割を果たしていく」「われわれの選択により、北東アジアの勢力図は変化するだろう」などと、北朝鮮と対峙する日米韓三国の隊列から離脱するといわんばかりの発言をしている。
これは、どちらの側が正しいのかという判断を放棄している点で非道徳的である上に、常に国力の面で劣勢なのは北朝鮮側だから、事実上、北に肩入れし続けると宣言したも同然である。
ホームページに漫然と連ねられた国民向けメッセージと異なり、士官学校卒業式の演説となれば、大統領府の上級スタッフが当然深く関与する。盧武鉉氏の軽薄さを利用し、日米韓同盟体制を掘り崩そうとする勢力が中枢部にあると見ておかざるを得ないのである。
が、いずれにせよ、このまま行くなら、盧武鉉政権は、日本の保守勢力を決定的に敵に回すことになる。
自由の拡大と人権の確保を、伝統的価値を重視する形で推し進めようと考える人々(以下、保守派と呼ぶ)にとって、東アジアにおける当面の課題は、まず北朝鮮・金正日体制の打倒であり、次いで、中国を一党独裁から住民の意思に基づく体制へと移行させること(一国のままとどまるのか、それとも旧ソ連のように分裂するのかも含め)であろう。
そのためには、何よりも日本、アメリカ、韓国の保守派がしっかり連携していく必要がある。盧武鉉政権は、連携の対象ではない。韓国の多数世論が、盧武鉉式発想、政治手法では、もはや米韓関係、日韓関係がもたないと思うところまで事態が悪化し、その危機の中で、韓国保守派が巻き返しに成功する展開に期待する他ないだろう。
アメリカの保守派は、事態を動かす切り札の一つとして在韓米地上軍の撤退を考えているようだ。
盧武鉉政権は、繰り返し、北の核問題が解決するまで在韓米軍を移動させるべきではないとの意向を米側に伝えている。が、米側は、「核問題が解決するまで」という韓国政府の主張が、大部分、抑止力低下への正当な懸念ではなく、米軍を人質状態に置き、縛りをかけたいとの思惑に発している事情を見抜いている。
抑止力維持のため、アメリカの自動介入を保証する「仕掛け線」として米地上軍を38度線近くに配備しておかねばならないという主張は、米国内では、最早少数派であろう。
北の攻撃対象となり、また、いざという時、韓国内の親北左派勢力に物理的に包囲され、身動きできなくなる恐れがある大規模米地上部隊の韓国常駐は、圧倒的にマイナス要素の方が大きい。
先に触れたホノルルの会議でも、米陸軍の出席者等から、「韓国の若者の多くが、平和を危うくしているのは米軍だというような状況の中で、駐留を続けるつもりはない。願い通り出て行ってやるから止めるな」といった強烈な発言も出た。
国務省関係者が、在韓米軍が撤退に動くと、次は日本からも撤退かという不安が地域に走り、日米同盟まで揺らぎかねないと慎重論を唱えたが、軍関係者から、それは国務省一流のためにする議論だと即座に反論が出るなど、在韓米軍撤退をはっきりオプションにした上での活発な議論がなされた。
私は以前から、在韓米地上軍撤退は、日本にとって歓迎すべき展開だと考え、そう書いていた。例えば、『現代コリア』2003年6月号から引用しておきたい。
米軍が、自軍兵士の犠牲を最小限に抑えつつ、北の中枢部を効果的に叩ける体勢を築くなら、軍事的オプションはより確かなものとなる。その分、金正日周辺や中国は一層不安感を高めるだろう。(核問題の)「平和的解決」を導き出す上で好ましい展開といえる。
「平和的解決」とカッコ付にしているのは、レジーム・チェンジを通じた解決という意味である。
盧武鉉へのモラル攻撃
三月中旬、ソウル滞在の初日、米保守派の間で尊敬を集めるヘンリー・ハイド下院外交委員長(共和党)の、「アメリカの助けが欲しいなら、韓国は、まず誰が敵なのかをはっきりさせるべきだ」という趣旨の発言に対し、鄭東泳統一部長官が、「適切でなく、同意できない」「(北への支援は)韓国が独自に判断すべきもの」と強く反論したという記事が韓国紙一面に大きく載った。
北朝鮮問題などでハイド議員の補佐役を務める外交委員会上級スタッフ、デニス・ハルピン氏が、私と入れ替わりに訪韓し、その後、東京で1時間ほど会う機会を得たが、ハイド委員長のみならず、米共和党の保守派議員は、盧武鉉、鄭東泳氏らの、北の人権蹂躙に無関心で、かつ、国際政治にきわめて無知でありながら、米側の意見に耳を貸そうとしない傲慢な姿勢に、いよいよ怒りの念を高めているようだ。
ハルピン氏も、韓国での会議で、「米韓関係は危機にある。盧武鉉大統領が、ロサンジェルスで、北が自衛のため核保有するというのも一理あると発言したのを聞き、米議会は大変驚いた。北が感じる脅威のみを正当とし、9.11テロ以降のアメリカが感じている脅威を韓国が認めないのなら、同盟の未来は再考するほかない」など厳しい発言をしてきたらしい(このあたりの詳細は、『現代コリア』5月号の拙稿、および6月号の座談会参照)。
なお、三月中旬、訪米中の朴槿恵ハンナラ党党首が、保守派の牙城ヘリテージ財団で行った講演内容を韓国の新聞で知り、これで朴槿恵はアメリカ保守派の信用を完全に失ったと感じた。
「米国は北朝鮮に対し、核を放棄できるよう具体的かつ現実的な提案を示す必要がある」などと、盧武鉉同様、米側に「柔軟姿勢」を迫ったものだが、どうも、米保守派が注目する場所で、あえて米側の強硬姿勢をたしなめる発言をして帰ってきたと対内的にアピールしたかったらしい。米韓関係の危うい現状を認識しない、野党党首として情けない言動だったといえる。
韓国内で、保守派の人々に、朴槿恵評を聞いたが、「名誉総裁的に、飾りとして置いておく分にはよいが、政党リーダーの器ではない」「朴正煕元大統領の長女ということで担がれたにすぎず、若い頃から政治の勉強などしていないので、政策に理念もない」「金正日と平壌で一度会ったことで、北を刺激すると、金正日との個人的パイプが切れてしまう、それはよくない、と考えている節がある。取り込まれのパターンの一つだ」といった散々なものだった。
さて、この原稿を書きながらインターネットでニュースを見ていたところ、『中央日報』の世論調査で「韓国の安保における最大の脅威国」を日本とした人が37%で一位という記事が目に入ってきた。4月13日に専門調査機関が行ったもので、「最大の脅威国」は、日本(37.1%)、北朝鮮(28.6%)、米国(18.5%)、中国(11.9%)の順だったという。
昨年1月時点の調査では、米国が39%で最大の「脅威国」、アメリカの数字が減ったのは意識面で改善といえるかも知れないが、しかし、20代、39代の層が50代以上の2倍を越える率でアメリカを「最大の脅威」とし、日本とアメリカを合わせた数字が55%超、大統領も野党党首も宥和主義者、一体韓国はどこに行くのかと不安を覚えざるを得ない。