民主党代表たちの不見識な外交論 |
(07/8/10 写真追加)
ここ数年、民主党の代表を務めてきた小沢一郎、前原誠司、岡田克也三氏は、いずれも、対北朝鮮政策に関して、甚だしい不見識ぶりを示してきた。
岡田氏は、帰国した五人の被害者をすぐさま北に戻すべきだと主張し、また金正日は、上海視察で衝撃を受け、改革開放を進める決心をしたようだ云々と浅はかな「分析」を恥ずかしげもなく披瀝していた。
北朝鮮で育った拉致被害者の子どもたちを日本に来させろというのは非常識だと盛んに金正日の肩を持ったグレゴリー・クラーク(現・国際教養大学〈秋田県〉副学長)と同程度の知力・倫理観しか持ち合わせていない人物といえる。
※ 本ブログ、「憐れむべきグレゴリー・クラークの迷妄 」参照
http://island.iza.ne.jp/blog/folder/24361/
前原氏の、“拉致より核を優先し北へのエネルギー支援に参加を”云々という視野の狭い、かつ主体的な状況認識を欠いた議論についても、以前一度、本ブログで批判し、対案を提示しておいた.
※ 「民主党・前原誠司氏に問う」
http://island.iza.ne.jp/blog/entry/189249/
小沢氏については、昨年、国連安保理における対北朝鮮決議の際に見せた、無責任な言動を批判したことがある。
以下、昨年8月に「“立ち上がれ!日本”ネットワーク」の依頼で書いた原稿(抜粋)を掲げておきたい。
“幇間外交”から“闘う理念外交”へ
島田洋一(福井県立大学教授)
現代アメリカ外交史上、最も醜悪なシーンの一つとして米保守派の雑誌などがしばしば掲げる写真がある。
2000年10月、北朝鮮に飛んだマデリーン・オルブライト国務長官が、満面に笑みをたたえ金正日とグラスを鳴らし合う場面である。外交を社交とはき違え、しかもあろうことか、野蛮人・金正日の方が、グラスの持ち方が正しい(オルブライトは無造作なわしづかみ)。二重の意味で目を覆いたくなるシーンなのである。
中国共産党幹部のもとを次々訪れる日本の「親中派」政治家の姿も同工異曲だ。民主化人士弾圧、脱北者強制送還、反日刷り込み教育等々を続ける相手に何の注文も付けず、ひたすら機嫌を取る“幇間外交”は、日本の国柄を傷つける振る舞いである。
北のミサイル連射直後に北京にいた小沢一郎民主党代表の態度もひどかった。「日本一国の制裁では効果はない」などと普段言っている以上、バシッと中共幹部に制裁への協力を促すのかと思いきや、何も言わず社交三昧で帰ってきた。
そのあげく、「初めの勢いはどこへやら」などと、安保理で中共と対峙した日本政府(特に安倍官房長官、麻生外相)の踏ん張りを皮肉っていた。
若い頃の小沢氏には随分期待もしたが、ここまでいじけた、小さな人間になるとは思わなかった。残念である。
その安保理外交を主導した安倍晋三氏は、「自由・民主・法の支配・人権」の拡大深化を外交理念に掲げ、「闘う政治家」であり続けると誓っている。これまでの行動に照らし、安倍氏なら、実際そうした“闘う理念外交”を展開してくれるだろう。
まず、具体的に目標にしてもらいたいのは、上記理念と最も相容れない存在、北朝鮮・金正日体制の打倒だ。何も公約に「金正日の駆除」を掲げる必要はないし、「圧力の強化」を加速させ、結果としてつぶすということで充分である。
それを戦略的に追求していけば、自然、 理念を同じくする「闘うもの」同士の連携が、国境を越えて強まっていくだろう。
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