日本政府はボルトンらハードライナーとの連携強化を |
日本政府はボルトンらハードライナーとの連携強化を
麻生太郎外相が、去る5月9日の衆院外務委員会において、今後1週間程度で北朝鮮側に履行の動きがなければ、関係国と追加制裁を含めた対応を協議する考えを明らかにした、と報じられてからすでに1週間以上が経過した。
日本もクリストファー・ヒルと同じで、いくらでもデッドラインを延ばすのかと見くびられないためにも、日本政府は即座に、まず独自の追加制裁を行うべきだ。
5月18日付の『ウォール・ストリート・ジャーナル』で、ジョン・ボルトン前国連大使が、国務省は今やなりふり構わぬ「合意を救え(save the deal)」モードに入っており、この先どんな裏合意を交わし、どこまで北の言いなりになるかわからない、との見方を示した上、ブッシュ大統領は直ちに2月13日の「六者合意」(実際上は、米朝二国間合意を六者の場で追認したもの)を、北の合意違反を理由として破棄すべきだと主張している。
まことに常識的な判断といえよう。
もはや北朝鮮特使といった方がよい行動パターンに陥っているヒル氏は、米財務省が世界に宣言したバンコ・デルタ・アジアへの制裁措置をくつがえし、北の違法資金がアメリカの銀行を通じて金正日の懐に流れるべく、悪あがきを続けているようだ。
国連の不正追及などで知られるジャーナリストのクローディア・ロゼット(以前、北朝鮮問題専門家チャック・ダウンズが自宅で増元照明氏と私に手料理を振る舞ってくれたとき、ロゼットも呼ばれていて、長時間話をしたことがある)は、ヒル氏のことを「驚嘆すべきカモ特使(amazing chump envoy)」と表現しているが、多少なりとも原則を重んじる人なら、そう言いたくもなろう。
http://claudiarosett.pajamasmedia.com/2007/05/10/and_in_exchange_pyongyang_will.php
先日、チャック・ダウンズが「米民主党は陰に陽にヒルにエールを送っている。なぜならブッシュ政権が失敗するのを望んでいるからだ」と語っていたが、国務省といい民主党といい、日本にとっては迷惑な話だ。
あるアメリカの評論家が、最近のブッシュは背中に「俺を蹴ってくれ(kick me)」と書いた紙を貼られて気づかない男に似ていると評していたが、ヒル氏による底なしの譲歩など、まさに事実上、ブッシュの背中にそうした紙を貼るような行為といえよう。
ヒル氏自身も、ワイングラス片手ににこやかに肩に手を回してくる金正日の手下らに、「キック・ミー」を背中に何枚も貼られているのだが、一向に気づかないようだ。
日本政府は、アメリカのハードライナーたちと連携を強め、米国務省との関係はあえて緊張させるべきだ。そうした「日米関係のきしみ」が、ヒル氏は無理にしても、ブッシュ氏の目を覚ますことにはつながるだろう。