フィリピン元大統領の言葉とパックネ氏の言葉—日本への「恨」について |
「恨みを抱き続けてわれわれの未来が危険にさらされてはならない」というフィリピンのラモス元大統領の言葉を、誰よりも韓国の大統領パックネ氏は拳々服膺すべきだろう。
ただし、「村山談話や河野談話が日本の公式な見解であると理解しているが、最近、これらを否定する動きが出ている」と安倍首相を暗に非難したというパックネ氏の言にも理屈はある。
日本の愚かな勢力が韓国側の「反日無罪」感情を増幅させたことは間違いない。
この時に当たり、外務省系アドバイザーらの姿勢は、村山談話や河野談話の固守を内外に再び訴えることで批判を収めようというものだ。
しかし、歴史に素直に向き合い、国と先人の名誉を守ろうとする首相や国民が存在する限り、自虐的虚偽に決着を付けようという正常化の動き(パックネ的に言えば「否定する動き」)が絶えることはない。
つまり、外務省系アドバイザーらの進言を入れれば、鳩山由紀夫や菅直人のような首相が未来永劫続くのでない限り、日韓関係は必ずまた「破綻」する(首脳会談などなくても別に構わないのだが)。
また、「破綻」するような日本でなければ、国自体が、中国共産党によって破綻させられるだろう。
結局、一時的な「騒ぎ」は甘受した上で、まず河野談話、次いで村山談話を、実態を踏まえた、非自虐的でバランスの取れたものに改める他ない。
官邸主導で戦略的に、しがし直ちに踏み出す必要がある。
産経 2014.1.7
【首相靖国参拝】
「批判すべきでない」元フィリピン大統領が地元紙に寄稿、中韓と同調せず
フィリピンのラモス元大統領は同国の有力紙「マニラ・ブレティン」(4日付)に寄稿し、安倍晋三首相の靖国神社参拝に中韓が猛反発している問題で、フィリピンは中国に同調した日本批判をすべきでないとの立場を示した。
ラモス氏は、最近の日中間の対立を「地域・世界政治における互いの影響力の減衰を図る行動」とするとともに、「アジア太平洋で起きている新たな冷戦の一環だ」と位置づけた。
同氏は、旧日本軍の占領支配を「現在も遺憾に思う」としつつも、「われわれが中国と同様に悲憤慷慨したり、(日本に)厳しい態度をとるのは適当だろうか」と問いかけた。また、「恨みを抱き続けてわれわれの未来が危険にさらされてはならない」と強調し、参拝を問題視する必要はないとの姿勢を明確にした。
ラモス氏は1992~98年の大統領在任中、日本などから直接投資を積極的に呼び込み、低迷していた国内経済を発展させた。
一方、シンガポールのストレーツ・タイムズ紙(4日付)の社説は、新藤義孝総務相の靖国参拝について、「安倍首相の参拝で再び開いた傷口に塩を塗り込むに等しい」と批判した。
また、靖国問題が解決されなければ、「独断的な中国が自身の愛国的路線を推進する道徳的根拠を与えてしまう」とし、中国の動向にも強い警戒を示した。
同紙はシンガポール政府の強い影響下にあり、先に参拝に「遺憾」を表明した政府に歩調を合わせたとみられる。(黒瀬悦成)
産経 2014.1.6
【韓国大統領の新年会見】
「日本が関係壊す」「河野談話が公式見解では」 首脳会談に慎重姿勢
記者会見を開いた韓国の朴槿恵大統領=6日、ソウル(共同)
【ソウル=名村隆寛】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は6日、ソウルの青瓦台(大統領府)で年頭の記者会見を行い、日韓関係について「韓日両国の協力関係の環境を壊す言動が繰り返され、非常に残念に思う」と述べ、安倍晋三首相の靖国神社参拝など最近の日本の動向を批判した。
朴大統領は、日本を「重要な国」としつつも、日韓関係は正しい歴史認識に基づいたものであるべきだとの立場を強調。「村山談話や河野談話が日本の公式な見解であると理解しているが、最近、これらを否定する動きが出ている」と安倍首相を暗に非難した。
その上で、日韓首脳会談について「両国関係の発展に向け役立つ結果が出せるよう、事前の十分な準備が必要だ」とし、会談実現には慎重な姿勢を見せた。
一方、朴大統領は今年を朝鮮半島の統一時代の基盤を構築する年と位置づけ、「北朝鮮の核問題が南北統一の最大の障害である」とし、「周辺国との緊密な協力を通し解決に努める」と述べた。また、昨年12月の張成沢国防副委員長の粛清後、北朝鮮の情勢が不安定化している可能性に触れ、「あらゆる可能性、シナリオに備えなければならない」とし、安保体制強化の必要を訴えた。
その一方で、北朝鮮への人道支援については、継続する考えを表明。今月末からの旧正月に合わせた離散家族再会を北朝鮮に呼びかけた。
記者会見は約80分にわたって行われた。朴大統領の記者会見は、外遊の際や訪問国のメディアとのインタビューを除き、昨年2月の就任以来、初めて。