パックネ政権のストレートな愚かさに対応するには |
安倍、オバマ、朴槿恵三者会談を見ていて、米大統領クリントンがイスラエル首脳とアラファト・パレスチナ解放機構議長との握手を数次にわたって演出してきた事例を思い出した。
アラファトは握手の裏でテロを使嗾することをやめなかった。パックネ氏も、日本の評価を落とすための偽史テロをやめないだろう。
ただ、違いもある。よく指摘されたように、アラファトはイスラム過激派によるテロが起こるたび、英語の談話では遺憾風のコメントを出しつつ、アラビア語の談話では殉教者を称えるがごときコメントを出すのが常であった。そこに計算高いあくどさ(支持者にとってはしたたかさ)が見て取れた。
パックネ政権の場合は、韓国内向けでも英語による対外発信でも、同じくストレートな日本中傷を行っている。第三国への「告げ口」も大っぴらで「陰で隠れて」という狡猾さが感じられない。そこにはストレートな愚かさがある。
産経新聞の阿比留瑠比氏が、「(韓国大統領パックネは)日本国民にも感情があり、韓国側の言動に心痛を覚えているという当たり前の道理が理解できないらしい」と書いている。その通りだ。
パックネ氏らがそれを理解できないのは、名誉感情も気概も欠いた河野洋平のような政治家やマスコミ人、外務省リベラル・エリートばかり相手にしてきたせいだろう。彼らイコール日本人とすれば、確かに、誹謗中傷を強めれば強めるほど相手はより「配慮」を示してくるという計算が成り立つ。
慰安婦問題を議題に近く行われる予定の日韓外務省局長級協議に関し、外務省幹部が「日本も主張したいことがある」と述べているという。
その「主張」なるものが従来通り、「何度も謝ったじゃないか」「おカネも提示したじゃないか」「河野談話は死んでも見直さないと言ってるじゃないか」という類であるなら、韓国側は益々日本を舐めてかかってくるだろう。
かつて小泉訪朝を段取りした田中均外務省局長も外務省リベラル・エリートの一人だった。金正日は、田中氏イコール日本国民と見る過ちを犯し、「5人生存8人死亡。責任者を処罰した。はい終わり」で拉致問題に片を付けられると思った。
理念を欠く田中氏であったがゆえに期せずして金正日をはめられたとも言えるのだが、それを結論とするのは誤りである。
名誉感情も正義感もない妥協屋と相手に見られることが、テクニックとして有効な場合もある。しかし特に終盤には、「ふざけるな」と机を叩き、名誉も正義も守る本性を露わにせねばならない。
田中氏がそういう人間だったなら、北は「生存者」リストに少なくとももう数人加えてきたであろう。
理念のない田中氏だから相手をはめられたのではなくて、理念がなかったから、あの程度しかはめられなかったのである。
ストレートな愚かさには、ストレートな理念と正義感で臨むという王道を行く他ない。
産経 2014.3.27
【阿比留瑠比の極言御免】
韓国・朴大統領「わがまま」全開…物事の優先順位が分からない
……さて、3カ国会談では、安倍晋三首相がわざわざ韓国語で「お会いできてうれしい」と語りかけたのに対し、朴槿恵(パク・クネ)大統領は返事も会釈もせず、硬い表情を崩さなかった。
……日本では一般に、事の軽重、物事の優先順位が分からないことを「愚か」と呼ぶが、韓国では全く基準が違うのだとみえる。……
理解し難いのは、世界でこれだけ日本の悪口をまき散らしながら、当の相手が自分の「演技」に付き合うのは当然だと考えているフシがあることだ。しかも米国まで巻き込んで、である。どこまで自己中心的で甘えているのか。
その上、朴氏は今回の3カ国首脳会談直前にも、独紙で「日本の一部の政治指導者らが、過去の歴史問題や慰安婦問題で韓国国民の心に傷を与え続けた」などと日本批判を展開している。これから会談する相手への配慮などまるでない。
……朴氏は日本が韓国国民を傷つけたと繰り返すが、日本国民にも感情があり、韓国側の言動に心痛を覚えているという当たり前の道理は理解できないらしい。
……(政治部編集委員)
産経 2014.3.26
日韓「慰安婦」で4月中旬にも局長級協議 「日本にも主張したいことがある」
……日本と韓国が4月中旬にも、慰安婦問題を協議する局長級協議を行う方向で合意していることが25日、分かった。複数の日韓外交筋が明らかにした。韓国の朴槿恵(パククネ)大統領が安倍晋三首相とオバマ米大統領による日米韓首脳会談を実現するための環境整備として求め、日本側が受け入れた。ただ日本側は、国費を投入した慰安婦への福祉事業など韓国側の求めには応じない方針で、冷え込んだ両国関係の改善につながっていくかは不透明だ。
……外務省幹部は協議を受け入れた理由について「過去の慰安婦事業に対する韓国政府の不誠実な対応など、日本も主張したいことがある」と指摘。安倍首相は慰安婦募集の強制性を認めた平成5年の「河野洋平官房長官談話」を見直さない考えを表明しているが、首相の支持基盤である保守層の反発を考慮すると、これ以上の譲歩は国内的に難しい事情もある。
オランダのハーグで会談する(左から)韓国の朴槿恵大統領、オバマ米大統領、日本の安倍首相=2014/03/25(ロイター=共同)
US President Bill Clinton and Jordan's King Hussein smile and look on as the PLO's Yasser Arafat and Israel's Benjamin Netanyahu shake hands after peace negotiations at the White House in October 1996.