野田佳彦とリチャード・ニクソン |
若手下院議員の頃、数々の共産主義スパイの追及で反共の闘士として名を馳せながら、大統領時代のリチャード・ニクソンは、外政面でも内政面でも社会主義勢力に宥和的過ぎるとして、保守派の批判に晒された。
外政では、デタント(緊張緩和)と称する対共産圏平和共存政策、内政では、「インフレ対策」と称して賃金価格統制に乗り出したことなどがそれに当たる。
野田佳彦は、鳩山由紀夫、菅直人よりはましだった男として、ただその程度に終わった男として記憶されよう。
かつては、民主党では珍しい理念的保守派として期待された時期もあった。
ところが首相になった途端、野田は、内政では日教組のドン輿石東に尻尾を振り、外交では視野狭隘で頑なな岡田克也に兄事する姿勢を見せた。
一川保夫、田中直紀を防衛大臣に指名し、松原仁を重要な時期に拉致担当相から外した人事などは、ニクソンのウォーターゲート事件(本来、大統領が辞めるほどの事件ではなかった)を遙かに上回る政治スキャンダルと言える。
ニクソンに関し、当時アメリカ保守連合(American Conservative Union, 米国最古の「民間臨調」的保守派組織)の会長だったスタントン・エヴァンス(M. Stanton Evans)の有名な言葉がある。
There are two things I don’t like about President Nixon: his domestic policy, and his foreign policy.
(仮訳)ニクソン大統領については、気に入らない部分が二つある。すなわち彼の内政政策、そして外交政策だ。
野田にも当てはまる言葉だろう。
ニクソンは大統領の座を追われて後、病に倒れたが、やがて健康を回復し、外交問題を扱った示唆に富む著作を何作か発表した。
野田が政治的に復権することはないだろう。参院選挙の応援などにうつつを抜かすのではなく、沈思黙考、せめて「敗軍の将、兵を語る」一書なりとも後世に残してもらいたい。下記エントリ参照。
■歴史的大敗の教訓―野田佳彦とモンダル(Mondull)
http://island.iza.ne.jp/blog/entry/2342854/
■野田首相が国防やエネルギー安全保障を批判、「2030年代にGDPゼロ」を目標に
http://island.iza.ne.jp/blog/entry/2935360/
■ルーピー鳩山を超えペテン師菅と並んだ「変節漢」野田佳彦
http://island.iza.ne.jp/blog/entry/2938133/