日米共同声明は常識的内容―TPP交渉参加で安倍「売国」批判はおかしい |
日米首脳会談後に発表された共同声明におけるTPPに関する文言は常識的なものだと思う。
農業を含むすべての産業分野において、悪平等的な保護ではなく、秩序ある自由化が必要で、それをも拒否すれば、成長はなく、日本は衰退する他ない。
TPP交渉参加自体を「売国」とする守旧派の非難はあまりに狭隘だ。何よりも中国を牽制するルール作り、その中で日本の国益を守るしっかりした交渉に向け、安倍政権を建設的態度で叱咤激励したい。
おかしな結果が出れば、その時こそ国民運動を起こし、国会で批准しなければよいだけだ。政権が調印したが議会が批准していない条約など、例えばアメリカの場合、幾らでもある。国連海洋法条約しかり、包括的核実験禁止条約しかり、温暖化に関する京都議定書しかりだ。
安倍政権を一定程度信用するなら、交渉参加自体を政治問題化すべきではない。
読売新聞 2013年2月23日
TPP交渉参加へ関税撤廃前提とせず…日米首脳
【ワシントン=池松洋、小川聡】安倍首相は22日午後(日本時間23日未明)、米ホワイトハウスでオバマ大統領と初の首脳会談を行った。
両首脳は、環太平洋経済連携協定(TPP)に関し、すべての品目の関税撤廃が前提ではないとの方針を確認し、共同声明を発表した。首相はこれを踏まえ、帰国後に国内産業への影響を改めて試算した上で、TPP交渉への参加を表明する意向を固めた。……
TPPに関する日米共同声明では、「全ての物品が交渉の対象とされる」と指摘したうえで、〈1〉日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というように、両国ともに2国間貿易上のセンシティビティー(慎重に扱うべき事柄)が存在する〈2〉最終的な結果は交渉の中で決まっていく〈3〉交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない――との3点を確認。日米の事前協議に関連し、自動車と保険部門に「残された懸案事項」があると指摘し、米側の要望も踏まえて必要な協議を続けることも明記した。
産経
TPP交渉参加へ米から「満額回答」 反対派説得、下地整う
2013/02/23
【ワシントン=柿内公輔】日米首脳会談の焦点だった環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への日本の交渉参加問題は、最大のポイントだった関税撤廃の例外品目が認められる可能性を共同声明で確認し、安倍晋三首相が大きな得点を稼いだ格好となった。
包括的な関税撤廃を目指すTPP交渉に、果たして「聖域」としての例外品目が認められるのか。日本側の関心事について、交渉を主導する米側の態度はこれまで不透明だった。それに伴い日本の世論も紛糾。行き詰まりの打開へ、安倍首相は「直接オバマ大統領から感触を得たい」とまなじりを決して会談に臨んだ。
引き出した答えは、「満額回答」に近いといっていい。声明は具体的に農産品を例に挙げ、日本が関税撤廃の例外を望む「センシティビティ(敏感な問題)」が存在すると明記。最終的な取り扱いは「交渉の中で決まる」と確認した。
安倍首相は記者会見で、声明骨子を念を押すように読み上げ、「聖域なき関税撤廃は前提ではないとの認識に立つ」と強調した。
大統領から、「感触」どころか、関税撤廃の聖域を事実上容認する言質を文書の形で引き出し、安倍政権が反対世論を説得する下地も整った。意気軒高な首相はさっそく帰国後に会談の成果を各党に説明して回るとし、交渉参加の判断について前のめりになっている。
一方、米側も完全に押し切られたわけではない。「すべての物品が交渉対象」との従来の主張を声明で確認。米国内で日本の市場開放が不十分との声が強い自動車や保険を「懸案事項」に列挙した。
日本政府同行筋は「目標は高く掲げるが、実際は交渉次第ということ」と深刻に介さないが、交渉参加に向けて火種が消えたわけではない。
The White House
February 22, 2013
Joint Statement by the
The two Governments confirm that should Japan participate in the TPP negotiations, all goods would be subject to negotiation, and Japan would join others in achieving a comprehensive, high-standard agreement, as described in the Outlines of the TPP Agreement announced by TPP Leaders on November 12, 2011.
Recognizing that both countries have bilateral trade sensitivities, such as certain agricultural products for
The two Governments will continue their bilateral consultations with respect to