国基研北朝鮮問題を論じ尽くす(5) |
『諸君!』緊急復活号の座談会から、私の発言部分の5回目である。
チェイニー回顧録とライス回顧録を合わせ読むと大変面白い。ブッシュ政権内には、外交方針を巡りさまざまなせめぎ合いがあったが、ハードライナーのチェイニーは副大統領として、国務省的宥和派のライスは国務長官として最後まで政権に残ったため、せめぎ合いが二人に凝縮された感がある。下記エントリ参照。
■核と瀬戸際政策(1)―正論臨時増刊号より
http://island.iza.ne.jp/blog/entry/2582125/
■核と瀬戸際政策(2)―正論臨時増刊号より
http://island.iza.ne.jp/blog/entry/2583064/
島田 大量破壊兵器の拡散を止めるには、アメリカが後退しないように、我々が強いメッセージを発し続ける必要もあります。核の拡散では、アメリカはずるずる後退していった前例がある。
チェイニー副大統領の回顧録には、ブッシュ政権が北のテロ国家指定を解除した時の様子が書いてあります。ライスが解除を主張したのに対し、チェイニーは無原則だし、拉致問題を重視する日本との関係がおかしくなると強く反対した。
ところがライスは、「日本政府は何ら異を唱えていない、ただ、国内の政治状況にどう対処するかという問題があるので、二十四時間待ってほしいと言っているだけだ」とブッシュに説明した。ところが、その日チェイニーがシーファー駐日米大使から受けた報告はそうではなく、日本ではアメリカの対北政策への不安や不満が高まっていると書かれていた。しかしブッシュの判断の翳りもあり、結局ライスに負けてしまった。
あの時、福田政権がもっと明確に「日本は反対だ」というメッセージをアメリカに伝えていれば、チェイニー側が勝った可能性も充分あると思います。この教訓を生かさなくてはなりません。