国家基本問題研究所 北朝鮮問題を論じ尽くす(4) |
『諸君!』緊急復活号の座談会から、私の発言部分の4回目である。
「拉致は日朝二国間の問題でしょう。多国間協議の場には(あるいは国連決議には)なじまない」云々とうそぶく中国当局に対し、これまで日本の当局は何の反論もしてこなかった。
しかし最低限、「中国にも拉致被害者がいるでしょう。その内の一人は、航空機爆破テロ実行犯の教育係を務めさせられた。中国政府は、自国民も巻き込まれた国際テロ事件に眼をふさぐのか」くらいは、おおやけに言い返すべきだ。
拉致・核・統一・そして中国の野望――
櫻井よしこと国家基本問題研究所 北朝鮮問題を論じ尽くす
櫻井よしこ/田久保忠衛/西岡力/島田洋一/ホン・ヒョン/朴相鳳
島田 中国当局に圧力を掛けるアイディアが一つあります。実は中国にも北朝鮮による拉致被害者がいて、確実なのは一九七八年に拉致された二人の女性です。その内の一人は大韓航空機爆破事件の実行犯、金賢姫さんの中国語教育係でした。つまり、中国人が拉致された上、国際テロ作戦に関与させられているのです。他にも朝鮮族を中心に数百名が拉致されているとも言います。ところが中国政府はこれらの事実が国民に知られ、無為を追及されることを大変恐れていて、報道規制をかけているのです。
そこで日中韓三国首脳会談、もしくは日中、韓中の席で、日韓の側から、「中国人も拉致されているではないか。一緒に北に圧力をかけましょう」と、それがメディアに載るような格好で持ち出すことが重要なのではないか。
日本の外務省は、中国自身が認定していない拉致被害者の問題を出すと場が緊張しかねないとつまらないことを気にしていますが、国連の場などでもどんどん持ち出して、中国のネット社会に知られるような形で公にしていくことが戦略的に非常に重要であると思います。