櫻井よしこと国家基本問題研究所―北朝鮮問題を論じ尽くす(2) |
オピニオン誌『諸君!』の「緊急復活」号に載った座談会から、私の発言部分を先に一部紹介した。以下はその続き(2回目)である。
国家基本問題研究所では、かねてより、日本は韓国による朝鮮半島自由統一(南による北の吸収統一)を自らの戦略とすべきだと主張して来た。
例えば、チェコとスロバキアが、統一してチェコスロバキアであろうが、独立した別個の存在であろうが、両地域とも自由民主体制を取り親日的である限り、日本にとって特に関知するところではない。
朝鮮半島に関しても原理的にはそうだが、現実には、北が現体制崩壊後、なお南とは別個の存在であり得るのは、中国が保護国(事実上、中華人民共和国内の一「自治区」)としたような形のみだろう。すなわち、かつて東ドイツが、名目上は独立だったが、実態はソ連の衛星国だったのと同様である。
中共が朝鮮半島北部の港をすべて自身の軍港として使える状態が、日本にとって望ましいはずがない。
反韓、嫌韓感情から、北朝鮮を中国が取ろうが韓国が取ろうが大差ない、あるいは韓国が統一した方がなお悪い、朝鮮はとにかく分裂させておくべきだ、などと論じるのは危険だと思う。
櫻井よしこ氏の言うとおり、日本人の多くが今やわれわれと同意見とすれば喜ばしいが、果たしてどうか。
ニュース・メディアなり専門機関が、「日本にとって朝鮮半島がどのような形になるのが望ましいか」をテーマに継続的に世論調査してくれないかと思う。
拉致・核・統一・そして中国の野望――
櫻井よしこと国家基本問題研究所 北朝鮮問題を論じ尽くす
櫻井よしこ/田久保忠衛/西岡力/島田洋一/ホン・ヒョン/朴相鳳
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島田 (急変事態に備えた)準備不足の背景には統一への韓国内の世論の問題があるのではないでしょうか。日本でも外務省あたりでは、北朝鮮が中国の保護国になっても、それで改革開放が進み、経済が安定して発展するならそれでいいという発想が強いと思います。
日本人一般においても、中国が取ろうが韓国が取ろうが関係ない、あるいは大差ない、混乱が飛び火してこなければよいと漠然と考える人は少なからずいるように思う。韓国国内で、統一すると西ドイツのような苦労が待っているから中国に任せておいたほうがいいという意見がどのくらいあるのか、私は気になります。
ドイツ統一では、コール首相が極めて熱心で、西ドイツ国内の慎重論を押さえ込む形でリーダーシップを発揮した。そのあたりの状況は、韓国ではどうなのでしょうか。
櫻井 朴さんのお答えの前に一言。私は、日本人のほとんどが韓国による統一を望んでいると思っています。そのことは明記しておくべきだと思います。
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