キャンベル訪日中止をよき前例に |
米国務省のカート・キャンベル次官補が、成田空港まで来ていながら、霞ヶ関・永田町訪問を取りやめ、帰国した。
東京で誰かに会えば、「キャンベルは移転案Aに難色を示した」「いや、A案には中立的でむしろB案に強く難色を示した」など、それぞれに思惑をもった噂が飛び交うことになる。
鳩山政権が普天間問題で迷走を続ける中、自らの「発言」や「意向」なるものが政争の具に供されることを嫌ったものだろう。
君子阿呆に、いや危うきに近寄らず。賢明な判断と言える。
鳩山“トラスト・ミー”政権が続く限り、安全保障問題で日米のハイ・レベル協議は一切持たない方がよい。混乱や不信を増幅させるだけだ。今回の訪日中止はよき前例になると思う。
北朝鮮の国内情勢が不穏になってきたようである。信頼できる韓国の専門家も、金正日がいつチャウシェスクのようになってもおかしくない状況と言っている。
米側に求めたいのは、北朝鮮問題でクリストファー・ヒルの轍を踏まず、金融面を中心に締め付けを強めることだ。六者サル芝居など再開してはならない。その意味でも鳩山政権と何も打ち合わせる必要はない。
時事通信の記事と、キャンベル訪日中止に関する国務省報道官の発言を引いておく。
時事
米国務次官補が訪日中止=「タイ混乱で取りやめ」と説明
【ワシントン時事】米国務省のクローリー次官補(広報担当)は15日の記者会見で、アジア歴訪中のキャンベル次官補(東アジア・太平洋担当)が、17日に予定していた訪日を取りやめ帰国すると発表した。改めて日程を調整するとしているが、対日政策の要である国務次官補が直前になって訪日を中止するのは異例だ。
沖縄県の米軍普天間飛行場移設をめぐる日本側の再検討作業が混迷の度を深めていることから、訪問の成果が見込めないための「日本パッシング(素通り)」との憶測も呼びそうだ。
同省当局者は取材に対し、訪日中止に「政治的な意味合いはない」と指摘。15、16両日に予定していたタイ訪問をバンコクでの大規模反政府集会による混乱で中止したのに伴い、日程調整したところ、十分な時間が取れなくなったと説明した。
また、別の同省関係者は、帰国の理由について「家庭の事情だ」と語った。
キャンベル次官補は7日から、マレーシア、ブルネイ、インドネシアなどを訪問。シンガポールから成田経由でワシントンに戻る。
東京では外務省幹部らと会談し、普天間移設や北朝鮮核問題に関する6カ国協議再開などについて意見交換する予定だった。ただ、タイ訪問中止により時間的な余裕ができることから、17日の会談をキャンセルする十分な説明になっていないとの見方も出ている。(2010/03/16-12:58)
US Dept of State
Philip J. Crowley, Assistant Secretary
Daily Press Briefing
March 15, 2010
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Assistant Secretary Kurt Campbell remains in the Asia Pacific Region. He had meetings today in