永住許可が乱発される危険について |
外国人参政権問題に関する国家基本問題研究所(櫻井よしこ理事長)の立場について、一部に誤解があるようだ。
すなわち、国基研は、参政権は日本国籍者に限るべしと主張する点で明確だが、一方、外国人の日本国籍取得に関し基準が甘いのではないかという疑問の声である。
そうではない。
近々、外国人参政権問題に関する提言最新版を出すので詳しくはそちらを見てもらいたいが、とりあえず、西岡力企画委員執筆の「直言」コラムを、まだ会員限定期間が過ぎるまで数日あるのだが、ここに転載しておく。
今週の直言
【第22回】 平成22年1月25日
永住許可の乱発を止めよ
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力
●一般永住者が10 年で5 倍に急増
民主党は、戦前から日本に在留する者とその子孫である特別永住者だけでなく、一般永住者にも地方参政権を与えようとしている。一般永住者は約50 万人いるが、一番多いのが中国人14 万人で、続いてブラジル人11 万人、フィリピン人7 万人、韓国・朝鮮人5 万人である。一般永住者が平成10 年以降、5 倍以上に急増していることはあまり知られていない。
平成10 年末に一般永住者は9 万3364 人だったが、平成20 年末には49 万2056 人となった。中国人一般永住者は3 万1591 人から14 万2469 人へと、やはり約5 倍となっている。
●平成10 年に永住許可要件を大幅に緩和
韓国・朝鮮籍が99%を占める特別永住者は10 年間で11 万人減少し、41 万6309 人である。この趨勢で行けば、数十年で姿を消す。したがって、外国人参政権問題の焦点は、急増する一般永住者、その中で最も多い中国人永住者が日本の内政に関与することを許すのかという問題なのだ。
一般永住者急増の背景には入管行政の方針変更がある。平成10 年に永住許可の要件が日本在留20 年から10 年に大幅に短縮された。最近、法務省は「専門知識や技術を持つ外国人」への永住許可要件を在留5 年に短縮する方針を固め、早ければ来年の国会に入管法改正案を提出する予定という。
1 月19 日、法相の私的懇談会「第5次出入国管理政策懇談会」が千葉景子法相にその趣旨を盛り込んだ報告書を提出している。永住許可要件の安易な緩和は国家の基本を揺るがしかねない重大な問題をはらんでいる。
●求められる永住許可要件の厳格化
永住許可を得ると、外国籍のまま無期限かつ活動制限のない在留が認められる。デモや集会などの政治活動も自由に行える。中国共産党がその気になれば、日本国内に朝鮮総連のような組織を作ることも可能だ。極端な場合、スパイ活動や政治目的の破壊活動を行った場合でも、自国大使館に逃げ込むか、自国に逃げ帰るなら、逮捕することが困難となる。
外国政府や外国政党に忠誠を誓う外国人集団を永住者として国内に抱え込むことは、入管法に定める永住許可要件「日本国の利益に合すると認められること」に反している。
少なくとも、一党独裁体制をとる中国の国民への永住許可要件は、米国や韓国など我が国と価値観を同じくする自由民主主義国国民と同一であってはならない。中国国籍者でも民主化運動家、チベット人、ウイグル人など共産党の弾圧から逃れてきた者へは政治亡命者として永住許可を優先的に出すべきだ。
いまこそ永住許可要件を抜本的に見直し、永住外国人の急増を止めなければならない。