稲田朋美議員が麻生首相を叱咤-「ぐだぐだ言わず、理念を語れ」 |
稲田朋美衆議院議員が、ホームページ「今日の直言」欄で、昨日の自民党「両院議員懇談会」における自身の発言を紹介している。
http://www.inada-tomomi.com/diarypro/diary.cgi
まず、全文を引いておく。
麻生総理の政策は間違っていなかった。ただ国民の自民党に対する信頼が揺らいでいます。
一週間地元有権者と対話をしまして、永田町の騒ぎは一体なんなんだと、自民党はなにガタガタやってんだ、というのが有権者の声であります。
署名する意思もなく、したこともない人の署名が出る、「鳩山幽霊献金」を批判できますか。それから、総括をするだけで“麻生降ろし”をするとは思わなかったという人、ホームルームじゃないんですよ。
それから署名を撤回した人たち、この人たちの取り下げ書をどうして取って公表しないんだ、執行部はどうして勝負しないんだ、ということを言いたいのです。
それからまた、党と違うマニフェストで戦う、そういう人がどうして党の看板で戦うんですか。党を出て行ってやるべきじゃないんでしょうか。
今私たちがやるべきことは、立党の精神に立ち戻ることです。立党の精神に立ち戻って、真の保守政党であるという旗を立ち上げて、その旗のもとで戦うことではないんでしょうか。
総理は今回、解散の後の記者会見でぐだぐだ言うのではなく、理念をおっしゃってください。自民党の立党の精神に立ち戻って、その原点を、そして自民党自身が国民政党として生まれ変わる、そういった選挙をして下さい。
先に稲田氏は、7月3日付で、「教育と安全保障政策で正々堂々と政権を争うべきである」として、具体的に以下の「提言」を行っている。
一、国家目標としての道義大国日本の再建
一、総理の靖国神社参拝
一、集団的自衛権の解釈の変更
一、村山談話、河野談話の撤回
一、四月二十八日主権回復記念日の創設
一、歴史教育の見直し
一、誠実、勤勉、信義を基本的価値観へ
総論的な最初と最後の項目をひとまず措けば、いずれも麻生氏が意識的に避けてきた課題ばかりだ。
懇談会での発言冒頭の「麻生総理の政策は間違っていなかった」は、要するにリップサービスに過ぎず、「ぐだぐだ言うのではなく、理念をおっしゃってください」が稲田氏の言いたいことだろう。
その点、昨日の麻生氏の記者会見は、大いに物足りないものだった。下記に全文を引いておく。
一本調子で理念を感じさせない(しゃべるスピードも遅い)この程度の演説では、到底劣勢を挽回できないだろう。今回、まじめさだけは伝わってきたが、そんな人ならいくらでもいる。
麻生内閣総理大臣記者会見 平成21年7月21日
http://www.kantei.go.jp/jp/asospeech/2009/07/21kaiken.html
【麻生総理冒頭発言】
(はじめに)
麻生太郎です。
私は、本日、衆議院を解散して、国民の皆様に信を問う決意をいたしました。日本を守り、国民の暮らしを守るのは、どちらの政党か、どの政党か、政治の責任を明らかにするためであります。
1 反省とおわび
私は、就任以来、景気を回復させ、国民生活を守ることを最優先に取り組んでまいりました。その間、私の不用意な発言のために、国民の皆様に不信を与え、政治に対する信頼を損なわせました。深く反省をいたしております。
また、自民党内の結束の乱れについてであります。私が至らなかったため、国民の皆様に不信感を与えました。総裁として、心からおわびを申し上げるところです。
謙虚に反省し、自由民主党に期待を寄せてくださる皆様の思いを大切にして、責任を全うしてまいります。今回の総選挙に際し、国民の皆様と3つの約束をさせていただきます。
2 景気最優先
私が、昨年9月24日、内閣総理大臣に就任をした当時、世界は、百年に一度、そう言われた金融・経済危機に見舞われました。アメリカ発の世界同時不況から、皆さんの暮らしを守るのが政治の最優先の課題になったと存じます。
私は、政局より政策を優先し、自民党・公明党とともに、経済政策に専念してきました。はなはだ異例のことではありますが、半年余りの間に、4度の予算編成を行いました。お陰様でその結果が、ようやく景気回復の兆しとして見えてきたところです。7,050円まで下がっていた株価は、今日は9,600円台まで回復をしております。企業の業績の見通しもよくなりつつあります。
しかしながら、中小企業の業績や雇用情勢などは依然として悪く、いまだ道半ばにあります。
経済対策、この一点にかけてきた私にとりましては、確かな景気回復を実現するまでは、総理・総裁の任務を投げ出すわけにはまいりません。日本経済立て直しには、全治3年。したがって、景気最優先。日本の経済を必ず回復させます。これが、1つ目のお約束です。
3 安心社会の実現
2つ目の約束は、安心社会の実現です。私たちの生活には、雇用や子育ての不安、年金や医療の不安、格差の拡大など、多くの不安がつきまとっています。
私が目指す安心社会とは、子どもたちに夢を、若者に希望を、そして高齢者には安心を、であります。
雇用に不安のない社会、老後に不安のない社会、子育てに不安のない社会、それを実現する政策を加速します。行き過ぎた市場原理主義からは決別します。
特に、雇用については、従業員を解雇しない企業に対し助成するということで、今、月平均で約240万人の雇用を守っております。また、失業しても、雇用保険が支給されない方々に対しては、職業訓練の拡充や訓練期間中の生活保障を行います。更に、パートやアルバイトの人たちの待遇を改善します。
少子化については、妊婦健診を無料にする助成を行いました。更に、小学校に上がる前の幼児教育を無償にすることにも取り組みます。
4 責任
そのためには、財源が必要です。
私は、景気が回復した後、社会保障と少子化に充てるための消費税率引上げを含む抜本的な税制改革をお願いすると申し上げました。国民の皆様に負担をお願いする以上、大胆な行政改革を行います。
国会議員の削減、公務員の削減や天下りとわたりの廃止、行政の無駄を根絶します。増税は、だれにとっても嫌なことです。しかし、これ以上に私たちの世代の借金を子や孫に先送りすることはできないと思います。政治の責任を果たすためには、選挙のマイナスになることでも申し上げなければなりません。それが政治の責任だと思います。
5 民主党には、任せられない
他方、民主党は政権交代を主張しておられます。しかし、景気対策、福祉の財源、日本の安全保障、いずれをとっても自民・公明両党の案に反対するだけで、具体的な政策が見えてきません。
町工場の資金繰りの支援や仕事を打ち切られた人たちへの生活支援など、極めて緊急を要した予算にさえ反対し、国会の審議を引き延ばしました。若い世代の保険料の負担を抑えるための年金改革法にも反対したのです。
子ども手当に5兆円、高速道路の無料化に2兆円など、財源の裏打ちのないケタ違いのバラマキ政策であります。予算を組み替えれば、何十兆円もわいて出てくるような夢物語。国連決議に従って、北朝鮮の貨物を検査する、そういう法案についても審議に応じず、廃案にしてしまいました。この結果に一番喜んでいるのは、北朝鮮ではないでしょうか。
財源を伴わない空論に、日本の経済を任せるわけにはいきません。安全保障政策のまとまっていない政党に、日本の安全を委ねるわけにはいかないのです。日本の未来に責任が持てるのは、私の信じる自由民主党だけです。
今回の総選挙は、どの政党が政権を担うのにふさわしいのか、国民の皆様に判断をしていただく大切な機会です。
私は、皆様の生活を守るため、景気の回復と安心社会の実現をお約束します。今度の総選挙は、安心社会実現選挙であります。国民に問うのは、政党の責任力です。この約束ができなければ、責任を取ります。これが、3つ目の約束であります。
政治の責任を果たす。重ねて申し上げます。子どもたちに夢を、若者に希望を、そして高齢者に安心を。そのために、私は、私の信じる自由民主党の先頭に立って、命をかけて戦うことを皆さん方にお誓いを申し上げます。
ありがとうございました。