宥和派ビクター・チャ(元NSCアジア部長)の提言その他 |
下記ニュースについて
下に紹介されている「米専門家」の意見の内、とりわけ注意を要するのは、ビクター・チャ(元NSCアジア部長)のものだ。日本のメディアは誤ってチャを「強硬派」と紹介してきたが、彼はクリストファー・ヒルと同発想の人である。
「ハードライナーのチャでさえ、こうした柔軟な提案をしている」といった捉え方をしてはならない。
Victor Cha and Christopher Hill
チャの議論に従えば、北はまず何か国際緊張を高める行為をし、その「一時停止」や「参観(北が許す範囲での査察)」や「段階的廃棄」の約束をするたびに、周りから何か支援を得られることになる。
「強硬」どころか、これは宥和政策の定義そのものだ。
ビクター・チャについては、チャック・ダウンズの寸評が的を射ている(下記エントリ)。
チャック・ダウンズとの懇談 (2007/05/04)
http://island.iza.ne.jp/blog/day/20070504/
デヴィド・アッシャーの、日本もミサイル配備を考えるべきという主張はその通りで、私自身、何度も強調してきたところだ。
北のミサイル発射準備―日本は「敵基地攻撃力」の整備を (2009/02/25)
http://island.iza.ne.jp/blog/entry/929855/
イザ!ニュース
北とイランのミサイル連携 早急な対応必要 米専門家
2009/03/02 00:08更新
【ワシントン=有元隆志】北朝鮮がイランの衛星打ち上げに協力していたことは、両国の密接な連携を印象づけるとともに、弾道ミサイルの長射程化の脅威が一層増大することを意味する。米専門家からは弾道ミサイル問題を北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議で取り上げ、早急に対応すべきとの意見が出ている。
朝鮮半島情勢に詳しい情報筋によると、北朝鮮はこれまでもイランのミサイル開発計画に協力してきた。北朝鮮の技術者がイランに長期間滞在し、ミサイルの制御装置や誘導装置の設計などに携わった。
北朝鮮はイランに習い、現在発射準備を進めている長距離弾道ミサイル「テポドン2号」について、衛星打ち上げと主張している。
これについて、ウッド国務省副報道官は2月27日の記者会見で、衛星としても、北朝鮮に弾道ミサイル関連活動の停止を求めた2006年7月の国連安保理決議の違反になるとの認識を示した。ヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)も前日の会見で、「北朝鮮は衛星打ち上げと言っているがまさにミサイル発射に見える」と語った。
キャロリン・レディ国家安全保障会議(NSC)元不拡散問題担当部長は「衛星とミサイル発射の技術はほとんど変わりはない」として、北朝鮮とイランのミサイル協力は「懸念すべきことだ」と指摘する。
6カ国協議の米次席代表を務めたジョージタウン大のビクター・チャ教授は、弾道ミサイル問題を早急に6カ国協議で取り上げ、話し合いを開始する必要があると強調する。チャ教授は2月中旬に行われた下院外交委小委員会公聴会での証言で、「平壌はただでミサイル放棄はしないだろう。米国はミサイル交渉と国交正常化やエネルギー支援と連動させ放棄を働きかけるべきだ」と語った。
デービッド・アッシャー元国務省上級顧問(東アジア担当)は、北朝鮮が核兵器の小型化に成功し、核弾頭搭載のミサイルを配備する事態に備え、日米間で早急に協議を開始すべきとしている。同氏は「ミサイルが日本を標的にしたらどうなるか。日本にとって許容できることとは思わない」と述べ、抑止力を高めるために、北朝鮮を標的としたミサイルの配備も議論すべきだと提案した。
北朝鮮問題担当のボスワース特別代表は2日から日本、中国、韓国を訪れるが、弾道ミサイル問題も協議するとみられる。