次期韓国大統領候補(キム・ムンス知事)との懇談 |
以前のエントリでも触れたが、7月10日から数日間、国家基本問題研究所・訪韓団の一員としてソウルを訪れた。
写真は、次期韓国大統領の有力候補、金文洙(キム・ムンス)京畿道知事(右から3人目)を囲んだ朝食懇談会(7:00-9:00)の模様である。
国会議員時代(ハンナラ党)の金氏には、一度、日本での拉致問題シンポジウムで報告してもらったことがある。
2005年1月、中朝国境地帯における脱北者の現状を調査した同氏が、北京のホテルで記者会見を始めたところ(下写真)、乱入してきた中国公安が部屋の電気を消した上、同氏を引きずり出そうとした。
金文洙氏は両手で机をつかんで離さず、11時間以上籠城した後、最終的にホテルの廊下において記者会見を行った。
さて今回、金文洙知事は、まず左翼勢力による違法デモに対する李明博大統領の弱腰を批判し、次のように語った。
外国公館がこれだけたくさんある市内の中心地で、60日間も無法行為を許している。これで信用されるはずがない。私も最近、日本の経済人から、韓国に行って大丈夫か、投資して大丈夫かとよく質問される。(共産主義者に権力を奪取された)ボルシェビキ革命の際でも、当局の対応はこれほど弱くなかったろう。
また左翼活動家だった自身の過去を振り返り、次のようにも述べた。
朴正煕時代は、デモが10分できれば成功だった。デモの謀議をするだけで捕まった。私は、盧泰愚時代に、仁川でデモを組織して捕まった。昼間3,4時間暴力的なデモを行い、懲役2年6ヶ月を宣告された。
北朝鮮に関しては、以下のような発言があった。
北の崩壊は時間の問題だ。崩壊しない共産主義はない。
北の軍部は、中国の軍幹部のみならず、ロシア、韓国の軍幹部とも関係をもっている。体制崩壊時、中国に支援を要請するグループはあるだろうが、北の軍部は一枚岩ではない。今はそう見えるだけだ。
金文洙氏は、「中国が国連や六者協議参加国の合意なしに、北朝鮮を軍事的に押さえることは不可能」「人道支援はすればするほどよい」とも語ったが、これらの点にはやや異論がある。
いずれにせよ、金文洙氏が韓国保守派のホープであることは間違いない。
国基研・訪韓団の活動を踏まえ、櫻井よしこ氏(理事長)が、韓国の保守派オピニオン誌『月刊朝鮮』9月号に論考を寄せた。
その日本語版「日本から視た韓国の現状と未来展望」が、国基研ホームページに掲載されている。一部のみ下記に抜き出しておく。
……中国の長期戦略は朝鮮半島全体への支配権の確立だと見るべきだ。だからこそ、韓国は北朝鮮の脅威とともに、その背後の中国の脅威にも、焦点を当てなければならないのである。
……
中国はこうして、背後を固め、足下を固め、南進の準備を整えた。過去二〇年間、国民が飢えようが、文革という内戦が続こうが、絶えることなく最優先で続けてきた軍拡に裏打ちされた軍事力がある。南進の当面の目標は台湾の獲得であろう。
だが、北朝鮮に万一の異変が生ずる場合、中国は必ず、北に対して行動を開始する。中朝国境地帯の中国軍の状況を見れば、そう考えるのが自然である。国境地帯での準備は、脱北者の大量流入を防ぐためと中国は説明するが、額面どおりには受けとり難いのだ。
再びここで強調すべきは、その中国に支えられているのが北朝鮮だということだ。北朝鮮問題は、即、中国問題なのである。
……