国務省にいて国務省と戦う―ボルトン回顧録 |
ジョン・ボルトン(前米国連大使、その前は国務次官)は、新著『降伏はオプションではない(Surrender Is Not an Option)』の中で、ブッシュ政権の北朝鮮政策が宥和的方向に傾いた理由として、次の点を強調している。
多くの「ハードライナー」の政権からの離脱は、フットボールで、ディフェンス・チームから選手をはずしていったようなものだ。ディフェンスの数が次第に減っていくことで、ついに、官僚オフェンスですら、得点をあげ始めることができた。
4月にワシントンで会った際も、ボルトンは、ブッシュ大統領が中東重視で北朝鮮を後回しにしているのかという質問に対し、「いや大統領の判断というよりも、一貫して宥和政策に固執する国務官僚が、押し合いの中で優位に立ってきたということだ」と、政治の判断が曖昧になる中で、官僚機構が影響力を増してきたとの見方を示していた。
国務省官僚は、対北政策でも対イラン政策でも、常に「圧力より永遠の対話」路線を取ろうとする。
ボルトン回顧録は、外の敵との対決以上に、国務省にいて、あるいはその外延上にある国連にいて、国務省といかに戦ったかの詳細な記録として大変貴重である。