東ドイツ秘密警察シュタージを描いた名作 |
反体制活動の監視に当たる東ドイツの秘密警察シュタージの要員が、自分のありように疑問を抱き、密かに監視対象の劇作家を守ろうとし始める。ところが、上司がどうも上がってくる報告がおかしいと気づき……という辺りからのサスペンスの持続、悲劇的展開から、ラストのある種の救済に至るまでの流れは見事である。
おぞましい拷問シーンなどは出てこない。実際のシュタージはもっとひどいことをしたはずだが、芸術作品としてはこのぐらいの描き方が妥当だろう。
最後の救済は、東ドイツ崩壊と共にやってくる。
主人公たちが見せる厳しい表情は、たとえば、非人間的な全体主義体制との「平和共存」を唱えるふやけたインテリなどとは対照的だ。