「拉致議連・家族会・救う会訪米団」について |
「拉致議連・家族会・救う会訪米団」のワシントン訪問が決まった。
まず、11月11日、西村眞悟代議士(拉致議連幹事長)を先頭に、飯塚繁雄、増元照明(家族会)、西岡力、私(救う会)の5人が、先発隊で成田から出発する。
平沼赳夫代議士(拉致議連会長)以下、議連本隊は14日に合流予定である。
今回はあくまで議連が中心の訪米だ。日米の政治家同士の活発な議論に期待したい。
核問題で曖昧な妥協に走り、かつ人権問題を無視しつつ、北朝鮮の「テロ国家指定」を解除する、といった愚行に出ないよう、アメリカ政府に釘を刺すのが一番はっきりした目的だが、訪米団の意義はそこにとどまるものではない。
理念に則った日米有志による連携強化という、より長期をにらんだ目的がある。
西村代議士のメール・ニュース最新号に、訪米について重要な指摘があるので、以下に転載しておきたい。
「眞悟の時事通信」 No.317 平成19年11月 5日(月)より
http://www.n-shingo.com/cgibin/msgboard/msgboard.cgi
(前略)
さて、この二回の党首会談で騒いでいるところでは、念頭にないであろうが、国民の運命に関する事態が動き始めている。
北朝鮮による拉致被害者救出問題のことである。
10月31日、アメリカのアービッシュ国務次官補代理が拉致議連幹部に会談を申し込んできたので、ドノバン主席公使を交えて公使公邸で会談した。
アメリカ側の話を総合すると、アメリカは北朝鮮が核無力化に合意すれば、「テロ支援国家リスト」から北朝鮮を外す方向で動いている。これに関する日本側の意見を聞きたくて会見を申し込んできたようだ。
もちろん、拉致議連幹部は、拉致被害者救出を無視して如何なる譲歩もあり得ないと強く主張した。そして、アメリカがテロ支援国家リストから北朝鮮を外せば、日本国民のアメリカに対する失望は計り知れないと伝えた。
北朝鮮の核が無力化するんですよ、とアメリカ側が言ったときに、私は、アメリカは12年前のクリントン大統領の時代にも騙されたように、また北朝鮮に騙されているんだと言った。
アメリカ側が、核が使われた時の惨害を考えてくださいと言ったときに、アメリカに言われなくとも2回も落とされた日本の方がよく分かっていると言った。
議会人として、日本人の感情はフランクに伝えておくべきだと思ったからだ。
しかしながら同時に感じたのは、この時、我が国はインド洋においてアメリカ艦船に対する給油活動を放棄している訳で、一方では相手への給油という貢献を中断しておきながら、他方では日本人救出へ共同歩調を求める立場の弱さである。
アメリカが「テロ支援国家リスト」から北朝鮮を外せば、日米同盟に修復しがたい傷を与えますぞ、と言ったものの、では日本はインド洋で何故同盟国にふさわしい貢献をしてくれないのかと言われれば、窮することは確かであった。しかし、アメリカ側はそこに突っ込んでこなかった。その真摯な態度が印象に残る。
翌日の11月1日、ヒル国務次官補とアービッシュ次官補代理が外務省を訪ね、北朝鮮問題の打ち合わせをしている。同時にアメリカは大使館においてインド洋での日本の給油活動が如何に大切であるかと与野党議員を相手に説明会をしている。
日本の政情空白のなかで、アメリカは尽くすべきことは尽くすべく着々と動いている。
ニューヨークの爆破も日本人拉致も、ともに「テロ」である。
その「テロとの戦い」はインド洋でも朝鮮半島でも行われるべきである。西はアメリカが主体、東は日本が主体である。
我が国は、インド洋での給油の継続という日本の貢献を掲げながら、西の「拉致というテロとの戦い」においてアメリカの貢献を強く求める立場にあったのだが、現在むざむざとその立場を放棄しつつある。東西の課題を総合的に捉えることも出来ないでいる。
拉致議連幹部は、11月中旬、ワシントンに行ってアメリカ議会人と接触して「テロ支援国家」から北朝鮮を外してはならないと伝える予定である。
しかし、我が国は、ワシントンに大使館を保有しているのだ。東京にあるアメリカ大使館が日本の議員を招いて日本の洋上補給活動が如何に必要であるかをアピールしたように、ワシントンにある日本大使館も、アメリカの議員を招いて、拉致被害者救出というテロとの戦いのためにテロ支援国家リストから北朝鮮を外してはならないと強く説得すべきである。その為の在外公館ではないか。
(後略)