シャランスキー・インタビューに見るライス・ヒルの誤り |
旧ソ連時代、いわゆるrefusenik(リフューズニク。移住を当局に求めて、拒否され迫害されたユダヤ系の人々など)の代表格で、長く収容所暮らしを強いられたナタン・シャランスキー(現在はイスラエル在住)のインタビュー記事が『ウォール・ストリート・ジャーナル』電子版11月3日付に載った。
http://www.opinionjournal.com/editorial/feature.html?id=110010819
表面的、一時的な動きに惑わされることなく自由の拡大に邁進すべきとする主張は、あの強大なソビエト当局と臆せず闘った人だけに、さすがにブレがない。
記事の中から、一つ、次のセリフを紹介しておこう。
Under totalitarianism the challenge is to fight evil, and in free societies it is to see evil.
(訳)全体主義の下における難題は悪と闘うことであり、自由社会における難題は悪を悪と認識することである。
ソ連の収容所の中から、西側インテリの甘さや弱さを日々痛切に感じていた人の言葉だけに重い。
道義的明快さ(moral clarity)やガッツを欠く政治家や外交官が、ふらふらと邪悪な勢力とのシニカルな妥協に走っては騙される。シャランスキーが言うとおり、繰り返し見られるパターンである。
ロナルド・レーガン以前のデタント(緊張緩和)外交の謬りが、今また、ライス・ヒル路線として甦っているわけだ。
そこに「新たなアプローチ」と言うべきものはない。
「無能力化」は、結局、“再稼働に時間が必要な部品取り外し”にまで後退した。北は再稼働をちらつかせることで、今後いくらでもゆすり取れるとほくそ笑んでいるだろう。