民主党・川上義博議員が浅はかな質問? |
民主党の川上義博参議院議員が、拉致問題に関して、かなり浅はかな質問を準備しているらしい。
関係者によれば、要するに、
・科学的鑑定や従来の経緯を踏まえ日本政府がニセモノと発表した横田めぐみさんの「遺骨」に関し、北が悪意をもって騙そうとしたと見るのは早計で、第三者のDNAがうっかり混入したのかも知れない、
・この問題で日朝がもめる以前の状態に戻って交渉すべきである、
・そして、拉致問題は日朝国交正常化の後に解決すればよいのではないか、
といった趣旨らしい。
まず、DNA鑑定について言えば、木を見て森を見ずの議論という他ない。
実は、同様の質問は過去にも、民主党の首藤信彦議員が衆院外務委員会で行っている(2005年3月30日)。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000516220050330004.htm#p_honbun
それに対する政府側の答えは次のようなものだ。
○ 瀬川勝久政府参考人(警察庁警備局長)……今御質問の中で、いわゆるコンタミネーション、汚染の可能性ということも御指摘をされましたけれども、そういった問題については、鑑定人において十分考慮され、骨片をまず十分に洗浄した上で鑑定を行ったものと聞いております。その表面を洗浄した液からはDNAは全く検出されていないということでございまして、骨表面の汚染物質によるDNA鑑定の結果ではないということが鑑定書の中においても明らかになっているところでございます。
それから、お尋ねの鑑定に供したDNAの増幅物は保存されているのかということでございますが、具体的な鑑定の内容につきましては捜査上の問題でございますので差し控えさせていただきますけれども、一般論として申し上げれば、こういった鑑定に際しましては、鑑定の客観性を確保するために、可能な範囲で再鑑定のための考慮というものが払われているものであるということは申し上げておきたいというふうに思います。
ただ、本件の鑑定は、事の重大性、重要性を十分考慮しまして、鑑定人において二度にわたって行われました。二度とも同様の結果が出たものであるということを申し上げておきたいというふうに思います。(引用終わり)
DNA鑑定の精度については、それを実施し、データを独占している政府が回答すべき問題で、ここで議論するつもりはない。
木を見て森を見ずと言ったのは次の意味だ。
横田めぐみさんの「自殺」に関し北が出してきた「証拠書類」はおしなべてニセモノであり、土葬した遺体を数年後、元夫が掘り返して火葬したという話は荒唐無稽であり、金英男氏が再婚後にも関わらず前夫人の遺骨を入れた容器を職場の机の上に置いていたという証言も荒唐無稽であり(しかも同僚であった蓮池薫氏がそれを否定している)、高温で焼いたからDNAは出ないはずという北の主張は、なぜ火葬に立ち会ってもいない当局者にそうした断言が出来るのかという疑問を当然呼び起こすものである。
こうした一連の流れの中で、遺骨DNA鑑定の問題も見なければならない。北は一貫して、横田めぐみさんの「死亡」を何とか信じさせようと、卑劣な小細工を続けてきたのである。
そんな相手と、まず「国交正常化」すれば、拉致問題も解決に向かうなどと考えるのは、愚かという他ない。
川上議員は、元々自民党にいたが、郵政選挙で落選し、その後、小沢一郎氏に拾われて、民主党から先の参院選で当選した人物だ。小沢氏の理念不在の政治姿勢を象徴する存在とも言える。