合理的に考えれば曽我ミヨシさんは生存している |
下記ニュースについて
曽我ひとみさんと一緒に襲われ、拉致された母ミヨシさんについて、「殺されたに決まっている」などと、根拠もなく、軽々しく発言する人々が保守派の中にもいる。かつて、石原慎太郎氏や平沢勝栄氏にも、その種の発言があった。
が、これは不見識であると同時に、合理的な発想とも言えない。
まず、ひとみさんは、拉致された後、船の中で、北朝鮮の女性工作員と思われる人物がたどたどしい日本語で、自分以外の誰かに話しかけるのを聞いている。その相手はミヨシさんだったと考えるのが最も自然だろう。
また、同時期に拉致された地村保志・浜本富貴恵さん、蓮池薫・奥土祐木子さん両カップルの証言によれば、北朝鮮の港に着いた時点で、一緒にいたはずの相手の姿が見えず、「指導員」に質したところ、「お前の相手は日本に帰した」と言われたという。
曽我さん親子とまったく同じ日に鹿児島から拉致された市川修一・増元るみ子さんカップルの場合も、おそらく同様だったろう。
ただ、上記カップルの場合は、いずれも数年後に、北朝鮮側は、結婚を視野に再会させている。
しかし、曽我さんの場合は親子であり、北朝鮮当局の論理では、あえて再会させる必要はない。
それどころか、米脱走兵ジェンキンス氏とひとみさんの結婚を前提にすれば、そこにミヨシさんという要素が加わると、話が複雑になりかねない。
ひとみさんは当然、結婚後、ミヨシさんも同居をと願うだろうし、一方、ミヨシさんの方は、この結婚をよく思わない可能性があるからだ。
要するに、最も蓋然性が高いのは、曽我ひとみ・ミヨシさん親子が、北の港に到着後、時間差で船から降ろされ、以来、引き離されたままになっているケースだ。
「年寄りだから殺された」(石原慎太郎氏)という発想もおかしい。拉致当時ミヨシさんは46才とまだ十分若かったし、また例えば、和服の着付けや日本女性の所作一般を工作員に教える教育係としてなら、まだ二十歳前後のひとみさんより母ミヨシさんの方が、むしろ適任だったろう。
ミヨシさんは現在70歳代半ば、引き合いに出して悪いが、たとえば78歳の「救う会」佐藤勝巳会長より若い。
高齢の韓国軍捕虜が脱北に成功している事例の数々を見ても、ミヨシさんは生存と考えて救出に当たるのが当然である。
産経ニュース 2007.10.17
「めぐみさんにかばんもらった」 曽我さん帰国5年で会見
……曽我さんとともに拉致され、消息が分からない母のミヨシさん=拉致当時(46)=のことに質問が及ぶと、「今まで1日1日、母のことを考えながら生活してきた。職場に行ったとき、同年代の『お母さん』を見ると、私にも母がいたらみんなと一緒に楽しく生活できるのにと、いてもたってもいられない気持ちになる」とつらい胸の内を明かした。
asahi.com
2003/9/26
石原都知事、曽我さんの母親めぐる発言を陳謝
東京都の石原慎太郎知事は都議会の答弁の中で、拉致被害者の曽我ひとみさんの母ミヨシさんについて「殺されたんでしょ、その場で」と発言したことに対し、26日の都議会で、「配慮にかけた」と述べ陳謝した。
石原知事は、田中均・外務審議官宅の不審物事件で「爆弾をしかけられて当たり前」などと発言したことについて、25日の都議会代表質問で問われ、外務省や拉致事件を批判する中で、「年寄りだからって曽我(ひとみ)さんのお母さんなんて殺されたんでしょ、その場で」と発言。しかし、ミヨシさんの安否は確認されていない。
この日は都議会の一般質問があり、知事は答弁の冒頭で、「国内外の多くの専門家の意見を聞き、わたしなりに解釈しての発言だったが配慮に欠けたもので反省している。一日千秋の思いで肉親の帰りを待ち望んでいる被害者、家族の方々の切実な願いを心ならずも傷つけてしまったことは痛恨の極みであり、陳謝いたします」と語った。