北朝鮮には、「炊き出し」方式の民衆支援を |
救う会全国協議会ニュース(2007.08.30)で、平田隆太郎事務局長が次のように書いている。http://www.sukuukai.jp/mailnews.php?itemid=1334
本日の新聞によると、外務省が「拉致再調査で人道支援を検討中」との記事が掲載されていた。これは北朝鮮側に誤解を与える危険な対応となることが危惧される。
……確かに(水害で)一定の被害はあった。それに対応するというのであれば、「拉致再調査」とは切り離してやるべきである。それも、本当に困った人に食糧等が渡るように、炊き出し支援など、消費のモニターが可能な支援をすればいい。
国連機関は配給のモニターをしているが、いくらモニターしても、保存可能な穀物は後で権力者に回収されるだけである。ご飯やパンにして、その場で消費してもらうのが一番である。
「拉致再調査」などを要請しても、時間稼ぎに使われるだけで、その結果も見えている。再び偽の死亡情報を聞かされるのはまっぴらである。
文中の「炊き出し支援」について、数年前、ニューヨークの国連本部を訪れた際、行ったやりとりがあるので、参考のため旧稿から引いておきたい。
『諸君!』2003年4月号
拉致-アメリカ世論に訴える
「救う会」先遣隊報告
島田洋一
……
日本代表部の入っている建物から国連本部までは、歩いて三分もかからない。二月七日午後、森川徹・一等書記官の先導で大島賢三・国連事務次長(人道問題担当〈兼〉緊急援助調整官)の部屋を訪れた。
大島氏は、日本人中、国連で最高地位にある者として、拉致問題でもできるだけの努力をしたい、と述べた後、国連による食糧配布モニターは着実に改善傾向にあり、北朝鮮側も誠実な対応を見せてきている、日本としても北朝鮮への食糧「人道」支援に積極的に貢献すべきだと力説した。
私の方からは、「あの体制下では、食糧は主に弾圧側の体力維持に使われていると見ざるをえず、援助には反対せざるをえない。ただし、金正日による人災・犯罪としての飢餓をめぐり、周りの国々が互いに非難し合うという図は愚かであり、日本政府による食糧供給には今後も強く反対するが、他国政府のやることに一々反対して回るつもりはない」との考えを述べた。
またその関連で、私が、たとえば北が国際的な炊き出し部隊を受け入れ、その場で確実に子供たちの口に入るというなら、いくらでも援助に賛成する、国連はそうした提案を北にぶつけるべきではないかと言うと、大島氏は、「彼らは、それなら飢え死にする方を選ぶといったプライドをもった人たちではないだろうか」と消極的な姿勢を示した。
が、これは妙な言い方で、「選ぶ」権限を唯一もっている金正日自身は、飢えとはほど遠い美食三昧の日々を送っている。むしろ「民衆を外の空気にさらし、食糧は外国から来ている事実を知らせるぐらいなら、飢え死にさせることを選ぶ」といった悪辣な連中によってあの国は支配されているというべきで、であるなら、現行のモニターなども裏からの操作で無力化されていると見るのが自然だろう。
なお、大島次長は、何のモニターもなされていない韓国政府から北への直接援助などは、軍に回っている可能性が高いとの認識を示し、この点では意見が一致した。
……