元・拉致議連会長・石破茂氏に問う |
本日付のZAKZAK(夕刊フジのウェブ版)に、石破茂氏のインタビュー記事が載っている。かなりの長文である。
http://www.zakzak.co.jp/top/2007_08/t2007080125.html
このエントリの最後にも、抜粋を貼り付けておく。
現在の拉致議連(第一期の議連が、明らかに北に取り込まれた中山正暉会長の意識的サボタージュにより、開店休業状態となったため、有志議員が新たに発足させた)で、初代会長を務めたのが石破氏であった。
当時は一応、若手保守グループの一員とされており、教育正常化など他の議連で中心的位置にあった中川昭一氏らが、無役の石破氏を推したらしい。
その後、石破氏は、小泉首相、福田官房長官コンビから防衛庁長官に一本釣りされ、それを機に、拉致問題から遠ざかる。
石破氏を引き継いだ2代目会長が中川昭一氏、中川氏の閣僚就任に伴い、3代目の会長となったのが平沼赳夫氏である。
中川氏は熱い人だ。
閣僚になってからも、多忙な日程を割いて、全国集会などには必ず顔を出す。都内で、家族会、救う会が勉強会後に行う夕食会といった小さな場にも、わざわざ激励に来てくれたりする。
平沼氏も、実に頼りになる人である。
小泉第二次訪朝後、小泉氏に近い、あるいは近づきたい議員などが、経済制裁に異を唱える場面が何度もあったが、その都度、平沼会長がリーダーシップを発揮し、強い方針に全体をまとめ上げていった。
安倍首相も、官房副長官時代、福田官房長官と暗闘を繰り広げながら、陰に陽に救出運動をバックアップし、その後も、主導的立場で、拉致問題解決に取り組んできた。
西村真悟氏も、決して忘れられてはならない人だ。炎天下、一緒に並んで、議員会館前に座り込んだこともある。
こうした「熱い」議員たちに比べ、特に積極的行動をとるわけでもなく、いつのまにかフッと去っていった初代会長石破氏の姿は、私には、不可解な印象として残っている。
拉致被害者(および救出運動を続ける家族)を厄介者と捉える福田康夫氏に接近したという話も聞こえてきた。
防衛オタクを自認する石破氏だが、不正義を力づくでも排するといった感情が特に強いわけでもなく、まさにオタク的心情で政治に接している人のような気がする。
その石破氏が、「国民の意志を完全に無視している」「責任を取るべき人が取らないのは組織ではない」といった、厳しげな言い回しで、安倍退陣を迫っている。
私は、そこに、理念に基づく強い意志といったものを感じることはできない。
政局をにらんだ、オタク政略的発言ではないのか。
今の時点での安倍退陣が、拉致問題解決に、一体どういう点でプラスになるのか。
元・拉致議連会長としての石破氏に問いたい。
2007/08/01
石破元防衛庁長官「自民は病んでいる」強い危機感
「退陣なければ自民終わる」
参院選で自民党は歴史的惨敗を喫しながら、安倍晋三首相が“居座り”を決め込んでいる。だが、有権者の6割近くが安倍退陣を望み、7割以上が内閣改造に期待していないことが1日、夕刊フジとiMiネットの共同ネット調査で明らかになった。党内で退陣論は大勢となっていないが、石破茂元防衛庁長官(50)は夕刊フジのインタビューに応じ、「退陣しなければ自民党は終わる」と改めて迫り、「自民党は病んでいる」と強い危機感をあらわにした。
「首相は『私を選ぶか小沢(一郎・民主党代表)さんを選ぶかの選挙』とあれほど言った。それで(有権者は)小沢さんを選んだ。そのことをどう思うと聞かれて、首相は『私は使命を守る』と言う。答えになっていない。国民の意志を完全に無視している」
石破氏は「安倍続投」に強い異議を唱える。
有権者の声も石破氏の意見に近い。大敗を喫した参院選から一夜明けた先月31日、安倍首相は会見で続投を宣言した。これを受け、夕刊フジはiMiネットと緊急のネットアンケートを行い、全国の20-70代の909人から回答を得た。
「首相は退陣すべきか」の問いに「退陣すべき」が56.88%、「退陣すべきでない」の23.32%を大幅に上回った。「党役員人事・内閣改造に期待するか」の問いにも「期待しない」が73.27%に及び、「期待する」はわずか10.34%。「早期解散、総選挙をすべきか」には「すべき」が55.34%、「必要ない」が24.53%だった。
有権者の多くが安倍首相の人事手腕に「NO」を突きつけ、半数以上が早期退陣を望む結果となった。
だが、党内は非主流派の古賀誠元幹事長からも「辞めるだけが責任を取ることと思わない」と続投を支持する声が相次ぎ、安倍退陣論は大勢とはなっていない。
その理由について、石破氏は「昨年の総裁選でほとんどの議員が安倍首相を支持したからだ。また、小選挙区制度になって党が絶大な力を持っている。小泉純一郎前首相のときには『公認しないぞ』(の脅し)もあった。その恐怖が残っている。党内の恐怖政治的なものが底流にはある」と分析する。
その上で、「責任を取るべき人が取らないのは組織ではない。その責任を追及する声が上がらない組織は病んでいる。このまま追及する声がないようなら、そんな党は存在意義がない」と危機感をにじませた。
安倍首相の続投にはあくまでも「反対」論を貫く石破氏。安倍首相が会見で「使命を果たすのが私の責任だ」と述べたことにも、「私には理解できない。総理は『私の内閣』とか『私の使命』とかそういう言い方をするが、内閣は個人のものではない。『私の使命』って王様じゃないんだから。使命は国民が与えるもの。参院選で『あんたとの約束は解消だ』と国民は言っている」と切り捨てた。
参院選で石破氏は鳥取県連会長として選挙にあたったが、敗北した。安倍内閣によって起きた逆風を肌で感じた。
「私だったら即座に辞めて、落ちた人のところに謝って回る。でも総理は落ちた人の気持ちが分からない。総理は週末ごとに大きな私邸だかなんだか知らないがお帰りになり、普通の人が行けないようなレストランでお食事になる。選挙の苦労もしていない。苦しい状態にある人にシンパシーが持てない。選挙で奥さんともども土下座して落選した人の気持ちはわからない」
続けて、「総理は自分で辞めると言わない以上、誰も辞めさせられない。首相が退陣せねば、自民党が終わってしまうという気持ちは変わらないが、終わらないようにしないといけない」と今後も党再生に向け、発言を続ける構えだ。
安倍首相は、大幅な党役員人事・内閣改造を断行し、政権の延命に躍起となっている。
永田町の関心は早くも人事に移行し、森喜朗元首相は31日、安倍首相との会談で、「自分の趣味の仲間内でやろうというのは、考え直した方がいい。各グループ(派閥)の指導者の力を借りて、老壮青一体で、いよいよ『安倍はやるな』という体制をつくった方がいい」とクギを刺し、各派閥に配慮した挙党態勢による人事を要求した。
これに対し、渡辺喜美行革担当相は同日の講演で、「派閥や年功にかかわらない『純化路線』で安倍カラーを全面的に出すほうが筋が通っている。そういう路線を突き進めていくべきだ」と、強く求めた。
党内で大きく分かれる安倍人事への注文。安倍首相が党内実力者の声を配慮し、派閥均衡の人事を行えば内閣支持率のさらなる低下は必至で、有権者からはいよいよ見放される。安倍カラーを全面に出した人事なら、各派実力者も黙ってはいないだろう。
安倍首相が断行する人事には、政権延命どころか、それこそ命取りとなりかねない危機をはらんでいる。
石破氏は「本当の能力主義の人事をすること。お友達内閣、論功行賞内閣から、挙党一致ではダメ。挙党一致は派閥均衡みたいな話だ。派閥や当選回数を一切無視して、この人が一番、この分野をやるのにふさわしいという人を入れるしかない。それしか生き残る可能性はない」と、厳しい注文を付けた。
【いしば・しげる】 鳥取県生まれ。衆院・鳥取1区、当選7回。津島派。慶大法学部卒業後、三井銀行に勤務し、86年7月の総選挙で鳥取全県区から全国最年少(当時)で初当選。防衛副長官や農水政務次官を歴任し、小泉内閣で約2年間、防衛庁長官を務め、安全保障問題の論客として知られる。