安倍首相続投、「価値観外交」推進に期待する |
下記、産経の記事、よくまとめられていると思う。
私は、今回の参院選では、安倍首相の続投、比例区における中山恭子、衛藤晟一両氏の当選、以上三点だけは何とか確保されねばと思っていたので、結果を見てホッとしている。
安倍首相には、国民300万以上を餓死させても退陣など考えもしない金正日を見習って、首相の座に固執し、とりわけ「価値観外交」の本格的展開に邁進してもらいたい。
「潔く身を引いた方が再起しやすい」との声が側近にもあるというが、間違いだ。一旦身を引けば、おそらく「次」はない。
参院選が終われば、人事全般で安倍カラーを強く打ち出すという当初の方針に則って、中央突破を図ってほしい。
舛添要一氏が、昨夜のインタビューで、今後の人事は、お友だち内閣(桝添らしい卑俗な表現だ)でなく挙党態勢でといったつまらない発言をしていた。
自分を外相か厚労相に起用しろと言いたいわけだろうが、理念があやふやで自己顕示欲のみ強い桝添など、首相の足を引っ張る存在でしかない。
その他、加藤紘一はもちろん、加藤に発想が近い左傾・媚中派議員なども排除しておかないと、久間起用の二の舞になろう。
細かい法律や予算を通さねば動かない内政課題に比べ、外交分野は、さほど議会に縛られることなく、首相のリーダーシップが発揮できる。
今後の「価値観外交」推進に期待を掛けるゆえんである。
産経新聞 07/7/30
国のため筋通せるか 首相退陣せず「敵は『戦後レジーム』」
「厳しい、苦しい状況だが、首相の責任を放り投げるわけにはいかない。国民との約束、責任を果たしていくことが私に課せられた使命だ」
29日夜、自民党本部4階に特設された開票速報場に現れた安倍晋三首相は、きっぱりと退陣を否定した。中川秀直幹事長は辞表を提出し、青木幹雄参院議員会長も辞任をほのめかしており、首相への退陣圧力が今後強まることは確実だ。側近議員からも「潔く身を引いた方が再起しやすい」との声が上がるが、首相が頑(かたく)なにイバラの道を進もうとしているのはなぜか-。
「敵は『戦後レジーム(体制)』そのものだ。近づいてみると本当に高く険しい壁だけど、これを越えないと日本の未来は見えてこないんだよ…」
開票日直前、首相は親しい議員にこう漏らした。厳しい逆風に落ち込んでいるかと思ったが、その表情は意外なほど明るかったという。
そんな首相も開票1週間前は憔悴していた。連日の全国行脚にもかかわらず、自民党の極秘調査では、各選挙区の自民党候補の支持率は大幅に下落。年金記録紛失問題への批判に加え、赤城徳彦農水相の“絆創膏騒動”などが報道番組で連日、嘲笑を浴び、自民党不信は全国に蔓延していた。
そんな中、首相は小泉純一郎前首相に電話をかけた。連日の遊説へのお礼が名目だったが、両氏が連絡を取ることはまれだけに、首相には「藁にもすがる」との思いがあったのかもしれない。
ところが、小泉氏は実に淡々としていた。
「この選挙は『勝ってよし、負けてよし』だ。首相は何も気にすることはない。前に言った通りだよ」
小泉氏が「前に言った」のは、3月7日夜の会合だった。小泉氏は「参院選は負けた方が面白いぞ。民主党の小沢一郎代表は自民党内に手を突っ込んでくる。民主党の反小沢勢力も黙ってはいまい。そうなれば政界再編だ」と断言し、「政権選択の選挙は衆院選だ。首相はそれだけを考えていればいいんだ」と結んだ。
「自民敗北」をむしろ歓迎する小泉氏の考えは、4カ月間余りまったく変わっていなかったわけだ。小泉氏は選挙戦終盤に窮状を訴えてきた自民中堅を「参院1人区は小選挙区だから、風が吹けばひっくり返るのは当たり前じゃないか」と喝破した。
中曽根康弘元首相も先週、首相官邸にメッセージを送った。
「参院選でいかなる結果がでようとも、首相は自らの政治信条に従い、豪胆にやればよい」
中曽根内閣のスローガンは「戦後政治の総決算」。小泉内閣は「聖域なき構造改革」。安倍内閣の掲げる「戦後レジームからの脱却」はその延長線上にある。両氏はそれほどのテーマに取り組むならば、世論の反発は当然で、むしろ歓迎すべきだとの思いを伝えたかったようだ。
「この状況で首相が退陣すれば、自民党が瓦解する。まさに小沢氏の思うつぼではないか」(閣僚経験者)との声もある。首相の盟友で、「ポスト安倍」の有力候補でもある麻生太郎外相もそうした考えだ。
7月6日の閣議後、首相執務室に立ち寄った麻生氏はこう切り出した。
「うちのじいさん(故吉田茂元首相)の内閣では、参院で自由党(自民党の前身)が過半数を取ったことは一度もないってご存じでしたか?」
麻生氏は、吉田元首相が、昭和26年のサンフランシスコ講和条約調印式に国民民主党の苫米地義三最高委員長を野党代表として同席させるなど、反対勢力をあの手この手で籠絡(ろうらく)した逸話を紹介し、こう結んだ。
「逆風とかいろいろ言われてますがね…。まったく心配いりません。お国のために筋を通せば国民は理解してくれますよ」
衆参が大きくねじれた状態で政権運営は可能か。野党に妥協を重ねながら政策を進めていくこともできるが、野党の土俵で相撲をとることになる。反発を覚悟で「戦後レジームからの脱却」を正面から国民に問う手もある。
当面は内閣改造・党役員人事である。おそらく秋の臨時国会前には新内閣が発足することになろうが、その顔ぶれをみれば、首相が目指す道筋が読み取れるだろう。
首相の舵(かじ)取りひとつで、日本の命運は大きく変わる。(石橋文登)